銃をこっそりMRI検査室に持ち込んだところ、暴発する大事故が発生
 ブラジル・サンパウロにある病院で、母親の付き添いでMRI検査室に入った弁護士男性の持ち込んだ銃が暴発するという事故が発生した。

 MRI装置は強力な磁場が発生しているため、検査室に入る際には金属製品の持ち込みが固く禁じられている。

 男性は、同意書に署名したにもかかわらず、こっそりと銃を隠し持って検査室に入ったようだ。MRI装置に近づいた男性の銃は磁場で腰から引き抜かれ、不運にも男性の腹部に銃弾を撃ち込んだ。

MRI検査室に銃をこっそり持ち込んだ弁護士男性 1月16日、母親のつきそいで、ブラジル・サンパウロにある病院に母親を連れてきた弁護士のレアンドロ・マティアス・デ・ノヴァエスさん(40歳)は、MRI検査室に一緒に入ったことが原因で、命を落とした。

 原因は、レアンドロさんが隠し持って入った銃の暴発だった。

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 Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略称である「MRI」は、体内の水分の水素原子核(陽子)を標的とする強力な磁場 (および電波) を生成することによって機能する。

 陽子が磁場にさらされると、陽子の軸が整列する。筒の中で生まれる磁力は、 1.5T(テスラ)のMRIで、1万5000ガウス。地球磁場の3万倍という非常に強い磁石だ。

 MRIは、その磁石と電磁波を利用して、人体を任意の断面(縦・横・斜め)で画像表示することができる検査機器なわけだが、強力な磁場が発生するために、通常どの病院でも検査室に金属製品を持ち込むことを禁じている。

 金属類が電子機器の故障を引き起こしたり、検査に支障をきたしたりするからだ。

 実際にMRIの強力な磁場で様々な事故が発生している。

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 この日、レアンドロさんはMRI検査室に入る前に、病院のスタッフから全ての金属製品を取り外すよう求められた。

 しかし、レアンドロさんは腰に銃を隠し持って、そのまま入室。すると、銃がMRI装置の磁場によって引き抜かれて暴発し、レアンドロさんは腹部を負傷した。別の病院に搬送され治療を受けるも死亡 レアンドロさんは、別の病院に搬送され治療を受けたが、2月6日に死亡した。

 事故後、サンパウロの病院は声明を発表。病院側は、すべての MRI 検査室で慣例となっている「事故防止規約」に従っていると主張した。
患者と同伴者の両方が、検査室に入るための手順については、スタッフに適切に説明され、あらゆる金属製の物体を取り除くよう警告されました。

レアンドロさんと彼の母親の両方は、事故防止手続きに関する書類に署名しました。

ですが、レアンドロさんは所持していた武器については言及せず、「彼自身の判断によって」銃を持って検査室に入りました
 レアンドロさんの死去のニュースは、サンパウロの法律界を揺るがした。

 弁護士業界でも銃推進派として知られていたレアンドロさんは、生前TikTokやインスタグラムに12000人のフォロワーを持ち、銃を推進する内容の投稿をしていたという。

 警察の調べでは、レアンドロさんは所持していた銃を正式に登録し、有効な銃所持の許可証も持っていたということだ。

 ちなみに、MRIによる事故はこれが初めてではない。

 2018 年には、身内が必要とする金属製の酸素ボンベを持っていた32 歳のインド人男性が、ムンバイの病院で死亡した。

 男性の家族によると、酸素ボンベ機器はスイッチが切られてあったが、MRIに吸い込まれるやいなやスイッチが入り、衝撃で胸をつぶされた男性は、事故の10分後に帰らぬ人となったという。

 ちなみに、こちらの動画はいかにMRSの磁場が強力かという実験をしたものだ。

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How dangerous are magnetic items near an MRI magnet?
References:Lawyer dies after gun triggered by hospital MRI scanner / written by Scarlet / edited by parumo

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