画像生成AIで作られた偽物のかわいらしい花の画像に騙されて、あるはずもないその「花」の偽の種を購入してしまった被害者がかなり出たらしい。
その花は子猫の顔のような見た目をしており、確かにとても可愛らしい。手元で咲かせてみたい!と思ってしまっても仕方がないのかもしれない。
本物だと信じた人たちは通販サイトにお金を払い、海外から種が届くのを心待ちにしていた。確かに種は届くかもしれないが、こんな可愛い花が咲くことは決してないのだ。
AIで生成された、可愛すぎる「猫の花」 今月の17日、National Geographic Wild PlanetというFacebookグループに、「Cat’s Eye Dazzle(キャッツアイ・ダズル)」という名前の植物の画像が投稿された。
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image credit:Snopes
この投稿は現在非公開になっているが、同じ画像はX(旧Twitter)上でも紹介されていた。
通販サイトで、この「存在しない花」の種が売られていた! あまりにもキュートなこの植物、実は画像生成AIと、Photoshopなども使って作られたフェイク画像である。Cat's eye Dazzle flowers beautiful , I love it pic.twitter.com/JdITO4lKAN
— Loubna (@Loubnalabriny) April 23, 2024
だがこの存在しない「猫の花」の種を販売する通販サイトが複数現れた。ebayやEtsyといった有名サイトでも販売され、少なからぬ人が購入してしまったらしい。
アメリカで多肉植物やエアープランツなどを紹介・販売するサイト、PARTLY SUNNY PROJECTSを運営しているソーニャ・デトリニダードさんは、TikTokに動画を上げて以下のように警告している。
届いた種を植えても、こんなポケモンのような子猫の花は決して咲きません。払い戻しを要求しても返金されることはありません。
TikTokで動画を見る
ebayで検索してみると、この記事を書いている現在も「Cat's eye dazzle seeds」の種は販売されているようで、発送元はインドネシアになっていた。履歴のアーカイブを見ると、かなりの数が購入されているようだ。
この植物の種を扱っている通販サイトの多くは中国系のようだが、ちゃんとしたガーデニングの通販サイトに見えるので、信用してしまう人も多かったのかもしれない。
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image credit:Plantonto
本物に見える?見えない? AIで生成した画像は、今はまだ何となく「見ればわかる」という人も多いと思うが、今回はモノが花の種ということもあって、比較的年齢の高い、AIアートなどにはあまり縁のない層が引っかかってしまったらしい。
だがAIの進化にともなって、さらに本物そっくりな画像が続々と生成されてくると、どれが本物でどれが偽物なのか、判断するのが難しいケースも増えてきている。
画像を解析してAIによるものか人の手によるものかを判別するサイトもいくつかあるのだが、その正確性や信頼度は残念ながらまだまだのようだ。
AIの手を借りなくたって、この世界には何か別のモノを取り込んだようなビジュアルの謎植物はたくさんあるのだが。
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実際に種を購入した人からのレポートが さて、この花については海外掲示板のredditでも話題になっていたのだが、redditユーザーのカナダ人unlovelyladybartlebyさんは「酔っぱらった勢いで」種を購入。先日現物が届いたそうだ。
unlovelyladybartlebyさんが注文した「猫の花」はこちら。
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image credit:unlovelyladybartleby/reddit
そして届いた種がコレ。何の種なのか、まだ特定はできていない。
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image credit:unlovelyladybartleby/reddit
ついでに注文した「青い蓮」の種もいっしょに到着。
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image credit:unlovelyladybartleby/reddit
いっしょに頼んだパンジーとペチュニアの種は、どうやら本物らしいとのこと。「猫の花」に関しては、地元の生態系への影響を考慮して、室内で発芽を試みるそうだ。
まだ発芽したという書き込みはないのだが、いったいどんな植物が育つのか、続報を待ちたいところである。
References:People Are Buying Fake 'Cat's Eye Dazzle' Flower Seeds from China, Based on AI-Generated Photos / written by ruichan/ edited by parumo
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