アメリカ・ニューヨーク市で、28歳の女性が高校生になりすまして公立高校へ通っていたとして逮捕された。
彼女は自分が16歳であると偽っていたが、不審に思った教職員が彼女のSNSを発見。
女性は身分詐称と不法侵入などの罪で起訴されたが、現在のところ無罪を主張しており、目的などについてはまだわからないそうだ。
28歳女性が16歳と偽って高校に通う
まるで映画のような事件の舞台となったのは、ブロンクスにあるウェストチェスター・スクエア・アカデミー[https://www.westchestersquare.org/]という公立高校である。
逮捕されたのは、1997年生まれで28歳のケイシー・クラッセン容疑者。彼女は2026年4月13日から同高校に通い始め、約2週間後の4月27日に事件が発覚した。
クラッセン容疑者は「シャマラ・ラシャド」という偽名を使い、「2010年生まれの16歳」と偽って、女子高生ライフを満喫していたらしい。
彼女は同校のマークス・リッチ校長に対し、自分がオハイオ州出身で、ニューヨークに引っ越して来たばかりだと話していたという。
クラッセン容疑者は約2週間授業に出席し、学生証まで発行されていた。だが、そんな中で教職員の1人が、彼女自身のFacebookのプロフィール[https://www.facebook.com/kacy.ault]を発見した。
そこには彼女が1997年7月29日生まれであることが記されており、なんと赤ちゃんを抱いた本人の写真が複数投稿されていたのだ。
リッチ校長がそのプロフィールを本人の目の前に突きつけると、彼女は自分の本名がケイシー・クラッセンであること、実際には28歳で娘がいることを認めた。
年齢を偽って高校生を演じた理由について、彼女はより多くの公的扶助を受け取れるよう、友人に「強要」されたと話しているという。
書類がなくても学校に通える?アメリカならではの事情
日本の感覚だと、転校するにせよ住民票などの書類は?卒業の記録は?そもそも高校受験はどうしたのか?など、疑問がいろいろ湧いてくると思う。
ニューヨーク市の公立学校でも、本来なら年齢確認書類や住所証明、過去の学校記録などが必要になる。
だが同時に、「書類がそろわない子供でも、教育から排除しない[https://www.nysed.gov/essa/mckinney-vento-homeless-education]」という考え方も強いのだそうだ。
背景にはアメリカならではの事情がある。移民や里親のもとでの一時保護、家庭崩壊やホームレス状態の家族など、複雑な事情を抱えた子供が多く存在する。
そのため、「出生証明書がすぐ出せない」「学校記録が不完全」「保護者が安定していない」というケースも珍しくない。
そんな子供たちを救済するため、住居が不安定な子供や若者は、必要書類が不足していても、学校登録を拒否されない仕組みが整えられているのだ。
精神的に追い詰められていたシングルマザー
その後の調べで、クラッセン容疑者自身についていろいろと判明した事実が報道されるようになった。
彼女は2023年5月、カンザス州エリス郡で、夫の虐待から逃げ出し、生活を立て直すための支援住宅プログラムに参加していたという。
このプログラムは、DV被害や経済的困窮などの問題を抱えた女性や家族を支援するもので、一定期間滞在しながら仕事探しや生活再建を進めるものだという。
当時彼女は住む場所もお金もなく、完全にゼロからのスタートだったようだ。当時彼女は、このプログラムのおかげで自立することができたのだという。
本当に、自分を見つめ直す経験でした。私は以前、かなり物質的な人間だったと思います。
でも、私はほとんどすべてを失ってしまいました。今こうして人生をやり直せたことは、結果的に自分にとって一番良かったと思っています
彼女は友人の死をきっかけに精神的に追い詰められ、摂食障害やうつ病に苦しみ、精神科病棟に入院していた。
夫だけでなく、自分自身の家族ともうまく行っていなかったようで、「両親は私のことなんて気にかけてくれない」とも語っている。
私は拒食症だったんです…両親は私が仕事に就くことさえ許してくれませんでした。一人暮らしも許してくれなかったんです。
私が拒食症だとわかると、両親はウィスコンシン州の精神病院に入院させました。私はそこで3年間過ごしました
夫側からは違った話も
だが、彼女の元夫ケネス・オルト氏の話は少し違っている。彼は元妻の逮捕を受けて、次のように語っている。
彼女は女優になりたがっていて、ニューヨークのことをよく話していました。今何が起きているのかは、私にもわかりません。
彼女が本当にそんなこと(年齢を偽って高校に通う)をやれると思っていたなんて、少しおかしく感じました
2人は2021年に結婚したが、その2年後に破局を迎えた。ケネスさんが語ったところでは、当時クラッセン容疑者は、以前の交際相手との間に生まれた2歳の娘の親権も失っており、娘は彼女の両親のもとで暮らすようになったという。
そのため、彼女は自分が自立して落ち着き、生活を安定させることが、「家族を取り戻すための大きな一歩」だと考えていたようだ。
ケネスさんによると、娘の親権を取り戻すには、6か月間仕事を続け、安定した住居を確保し、金融記録も維持する必要があった。
私は彼女と一緒にそれをやっていくつもりでした。私は彼女を虐待したことはありません。普通の夫婦と同じように、良い時も悪い時もありました
クラッセン容疑者は、カンザス州でのプログラムを「卒業」したあと、約2年間にわたって介護助手として働き、知的障害のある成人のサポートをしていたそうだ。
しかし昨年、彼女は突然仕事を辞めてしまい、ケネスさんとも連絡を絶った。その後彼は共通の知人から、「ネットで知り合った人物に会うためノースカロライナ州へ向かい、その後ニューヨークへ行ったらしい」と聞かされたという。
彼女に悪感情はありません。必要な助けを受けてほしいと思っています
どちらの言い分が正しいのかを判断する術は我々にはない。だがクラッセン容疑者がさまざまな問題を抱えていたことだけは確かなようだ。
本人は無実を主張、利用されていた可能性も?
実は彼女をよく知る支援関係者が、クラッセン容疑者が人身売買に巻き込まれていた可能性に言及している。
彼女は警察の調べに対し、「友人に身元を偽るよう強要された」「その人物がより多くの公的扶助を受けるため、自分を利用していた」と供述しているのだそうだ。
またこうした事情から、単なるなりすましではなく、誰かに利用されていた可能性を懸念する見方も出ているという。
クラッセン容疑者は4月27日、身分詐称と不法侵入の罪で起訴されたが、本人は無罪を主張しているという。
今後の裁判では、偽名で高校に通った経緯に加え、「友人に強制された」という本人の主張が、どこまで裏付けられるのかも焦点になりそうだ。
References: Woman accused of posing as NYC high school student claimed she spent three years in psych ward[https://nypost.com/2026/05/09/us-news/woman-accused-of-posing-as-nyc-high-school-student-claimed-she-spent-three-years-in-psych-ward/]











