アメリカ・コロラド州で、道路から動こうとしない野生のビーバーを、なんとか安全な場所へ避難させようとする警察官のユーモラスな攻防戦が発生した。
地元の警察署が公開したボディカメラの映像には、道路を一時封鎖し、熱心に説得を試みる警察官と、マイペースを貫くビーバーの姿が記録されている。
交通量の多い道路に現れた野生のビーバー
コロラド州ファイアストーンの交通量の多い道路にいたのは、1匹のアメリカビーバーだ。
近くの湿地から迷い込んだとみられるビーバーは、きちんと横断歩道を利用しよとしたようだが、車が行き交う道路はビーバーにとってはとても危険である。
ファイアストーン警察署の警察官が現場に到着したとき、ビーバーは横断歩道の上にいた。
警察官による必死の説得工作
警察官らは、ビーバーが車にひかれるのを防ぐため、すぐに道路を封鎖した。
その後彼らは、ビーバーを説得し、安全な場所へと誘導しようと試みた。
警察官が身につけていたボディカメラの映像には、道路から動こうとしないビーバーの姿が記録されている。
警察官が早く移動するように声をかけるのだが、逆にそれがカチンときちゃったのか、まったく動かなくなってしまった。
警察官の一人が、「今まで一度も体験したことのない事態だ」と映像内で語っている。
結局警察官の1人が、オレンジ色のボード型車線分離標を持ち、それでビーバーをなんとか安全な水のある場所へと誘導することに成功した。
排水管を駆使する移動の達人
幸いにもビーバーは、頑固な態度を見せたものの、健康状態に問題はなかったという。
アメリカビーバーは普段、道路の下を通る排水管を上手に使って移動している。
今回の個体も排水管を利用して移動していたが、何らかの理由で地上に出てしまい、道路を直接渡ろうとした可能性が高い。
ファイアストーン警察署は、このような予想外の野生動物を守るために、いつでも協力すると発表した。
自然を支える生態系エンジニア
アメリカビーバーは北アメリカに生息するネズミの仲間の中で最も大きく、世界でもカピバラに次ぐ巨体を誇る。
今回はちょっと職人気質を出し、お騒がせしちゃったビーバーだが、自然界ではとても貴重な存在で、泥や木で川をせき止めてダムを作り、多くの生物が暮らす豊かな湿地を生み出す「生態系のエンジニア」として重要な役割を担っている。
近年の研究では、ビーバーが作り出した湿地は周囲の森林に比べて最大14倍もの炭素を泥の中に蓄積し、通常の10倍の速さで大気中の炭素を封じ込める力があることが判明している。
さらに、彼らの作る湿地は水分を豊富に蓄えるため、山火事の拡大を防ぐ天然の防火帯としての役割まで果たしている。
ビーバーはかつて、毛皮を目的とした人間の乱獲によって絶滅の危機に瀕し、開発によって生息地を奪われてきた。
現在では世界的に保全活動が行われているが、「ったく人間のせいで、移動も自由にできないなんてふざけんな。こっちは自然守ってんだぞ」と思ったり、思ってなかったりしたのかもしれない。











