日本時間の2026年5月19日早朝、新たに発見された小惑星2026 JH2が地球からわずか9万1000kmという超至近距離を通過する。
これは地球と月の平均距離の約4分の1に相当し、一部の人工衛星よりも近い。
だが安心してほしい。衝突の可能性はゼロで、むしろ小型の天体望遠鏡があれば観測できるまたとないチャンスだ。
宇宙規模では超絶接近、だが地球に衝突はしない
小惑星「2026 JH2」は、NASAの小型天体データベース[https://ssd.jpl.nasa.gov/tools/sbdb_lookup.html#/?sstr=2026%20JH2&view=VOPC]によると、協定世界時(UTC)2026年5月18日21時23分(日本時間で19日午前6時23分)に、宇宙規模でいうと地球のすぐそばをかすめていくと予測されている。
最接近時の地球との距離はわずか9万1000kmになる。
9万1000kmと聞いてもなかなかイメージしにくいかもしれない。
地球から月までの平均距離は約38万4000kmあるので、2026 JH2は月の約4分の1の距離まで地球に近づく計算だ。
高度約3万6000kmを飛ぶ静止衛星(地球の自転に合わせて同じ場所にとどまって見える人工衛星)よりは遠いが、それより外側を周回する一部の人工衛星よりも近い位置を通過する。
とはいえ、衝突の可能性はまったくないそうだ。
NASA(アメリカ航空宇宙局)傘下のJPL(ジェット推進研究所)の計算によると、衝突リスクはゼロと明言されており、パニックになる必要はまったくない。
むしろこれは、めったにない天体観測の好機だ。
発見からわずか8日で最接近
2026 JH2が最初に観測されたのは、2026年5月10日4時46分 UTC(日本時間5月10日午後1時46分)のことだ。
アリゾナ州ツーソン近郊にあるマウントレモン観測所が発見し、2日後に国際小惑星センター(MPC)へ正式登録された。
発見からわずか8日後に最接近を迎えるという急展開を迎えた。
科学者たちはこの小惑星を地球近傍小惑星(NEO)のアポロ群に分類している。
アポロ群は、地球の公転軌道と交差する楕円軌道を持つ小惑星のグループで、1932年に発見された小惑星「アポロ」にちなんだ名称だ。
2026 JH2は太陽の周りを細長い楕円を描いて周回しており、地球近傍から外太陽系方向へと軌道が伸びているが、木星の軌道には届かない。
大きさはまだ正確にはわかっていない。
絶対等級(天体の明るさを標準的な距離で測った指標)26.1をもとに推算すると、表面の反射率によって直径15~35mと見積もられる。ビルの5~11階分の高さに相当する大きさだ。
潜在的に危険な小惑星ではないが衝突すると危険
2026 JH2は、「潜在的に危険な小惑星(PHA)」には分類されていない。
PHAは、地球近傍小惑星のうち、地球軌道との最小交差距離(MOID)が0.05天文単位(約750万km、月・地球間の約20倍)未満、かつ絶対等級が22.0等級より明るく、推定直径約140m以上と定義されている。
とはいえ、直径15~35mという小惑星が地球に衝突すると、どれほどの威力を持ちうるのか。
2013年2月15日、ロシアのチェリャビンスク州上空で直径約20mの小惑星が大気圏に突入し爆発した。
地上には達しなかったにもかかわらず、その爆風で約1500人が負傷し、多くの建物のガラスが割れた。
2026 JH2の推定サイズはこのチェリャビンスク天体とほぼ同じ規模にあたる。
もちろん今回は地球に衝突しないため、被害が生じる心配はない。
ただ、こうした小惑星が常に太陽系内を飛び交っていること、そして発見からわずか8日で最接近を迎えるほど短い時間しか警告が得られない場合があると知ると、惑星防衛の重要性を改めて考えさせられる。
NASAが直径25m未満の天体は大気圏で燃え尽きる可能性が高いと説明していることは、一定の安心材料ではある。
しかしそれより大きな天体が同じように突然発見された場合、8日間という準備時間では対応できることは限られる。
天体望遠鏡がなくてもライブ配信で観測できる
2026 JH2は地球に近づくにつれて急激に明るくなっており、5月12日時点では21.3等級だったものが、最接近前後には11.5等級程度まで明るくなると予測されている。
等級とは天体の明るさを表す単位で、数値が小さいほど明るい。
人の目で見える限界がおよそ6等級であるのに対し、11.5等級は小型のアマチュア望遠鏡があれば十分に観測できる明るさだ。
日本では最接近が早朝のため、実際に望遠鏡を向けられる環境は限られる。
しかし自宅のパソコンやスマートフォンからでもリアルタイムで観測に参加できる。
イタリアを拠点とする天文学者ジャンルカ・マージ氏が率いるバーチャル望遠鏡プロジェクトが、5月18日21:45 UTC(日本時間19日午前6時45分)からライブ配信を行う予定だ。
最接近のわずか22分前から配信が始まるため、小惑星が最大光度に達する瞬間をリアルタイムで追える。
配信はバーチャル望遠鏡プロジェクトの公式サイト[https://www.virtualtelescope.eu/webtv/]から無料で視聴できる。早起きが得意な方は、夜明け前のコーヒー片手に宇宙からの訪問者を見届けてほしい。
References: Near-Earth Asteroid 2026 JH2 extremely close encounter: online observation – 18 May 2026([https://www.virtualtelescope.eu/2026/05/12/near-earth-asteroid-2026-jh2-extremely-close-encounter-online-observation-18-may-2026/]











