これからの時代の臨床検査技師に求められる役割と課題について

2026年4月14日
一般社団法人日本臨床衛生検査技師会

報道関係各位

 

臨床検査DXとAIが臨床検査に与えるインパクト

~臨床検査技師による医師などの業務負担軽減の提案~

これからの時代の臨床検査技師に求められる役割と課題について

済生会熊本病院名誉院長 副島秀久先生

日本臨床衛生検査技師会代表理事会長 横地常広 対談

JAMTマガジン2026年4月号巻頭特集より

 

臨床検査分野にAIやロボティクスの導入が進み、医療行為の一部を医師の指示で、看護師や臨床検査技師など、他の医療従事者に分担する仕組「タスク・シフト/シェア」が実現しやすい環境に整備されていくことが期待されています。厚生労働科学研究「標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究」に携わった済生会熊本病院名誉院長/社会福祉法人恩賜財団済生会 支部熊本県済生会 支部長である副島秀久先生に、当会の代表理事会長である横地常広が、これからの時代の臨床検査技師に求められる役割と課題についてお聞きしました。


 

臨床検査技師及び衛生検査技師の職能団体である一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(東京都大田区)の会員向け広報誌JAMTマガジン2026年4月号での特集をサマリーとしてまとめています。

 

 

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左:済生会熊本病院名誉院長 / 社会福祉法人恩賜財団済生会 支部熊本県済生会 支部長 副島秀久先生

右:一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 代表理事会長 横地常広

 

 

【ポイント】

●AI・医療DX時代に「必要とされる臨床検査技師」とは?

検査業務そのものは自動化・効率化が進む可能性が高い。そのため臨床検査技師は、従来の検査室中心の業務にとどまらず、医療チームの中で新しい役割を作る必要がある。

 

●検査データを活用し「新しい価値を生み出す人材」が求められる

検査室には膨大なデータが蓄積されているが、十分に活用されていない。今後は検査データから医療の改善や新しい知見を生み出す役割が重要になる。臨床検査技師にもデータ活用の知識や教育が必要だと考えられる。

 

●医療の質向上には「標準化」と「データ活用」が不可欠

診断から治療・退院までの一連のプロセスを文書化、医療の質を向上させるための重要なツールであるクリニカルパスや、クリニカルパスをデジタル化した電子パス(ePath)などを活用することで、医療の質と効率を高められる。

そのためには電子カルテや検査データの標準化とデータ共有の仕組みが重要である。

 

臨床検査技師は自ら働く場を狭めていないか?

臨床検査技師はこれまで検査室中心の業務に従事してきましたが、医療DXやタスク・シフト/シェアの進展により、役割の見直しが求められています。過去にも病棟採血や検体集配など業務拡大の試みはありましたが、職域を守る意識が強く、病院全体のニーズに応えることができませんでした。現在は医師の働き方改革が進み、医療側、看護側からの臨床検査技師へのオファーも増加しています。済生会熊本病院では、臨床検査技師が循環器病棟に常駐していますが、ほかの領域でも常駐の希望が多くみられます。
利便性、迅速性、医療の質向上など、チーム医療が発揮されています。臨床検査技師は検査室内にとどまらず、自らの価値を創出するには何をすべきか、新たな役割を担う姿勢が必要だと考えられます。

 

検査だけではなく、データから新しい価値を創出する

臨床検査技師は日常業務以外に、いかに価値を作り出すかが課題です。臨床検査室には日々膨大な検査データが蓄積されていますが、その多くは十分に活用されていないのが現状です。今後は単に検査を実施するだけでなく、クリエイティブな視点でデータを解析し、新たな知見や医療の改善につなげる役割が臨床検査技師に期待されています。また、今後病院間でデータを統合・比較するためには標準化も不可欠であるが、臨床検査技師にはこのデータの統合なども求められています。そのためには、データの扱い方や基本的なデータサイエンスの理解も重要です。

 

検査室から一歩外に出てニーズを見つける

日本の医療は機能分化が十分に進まず、非効率な体制となっている可能性が指摘されています。このような状況で、臨床検査技師は検査室にとどまるのではなく、臨床現場に出て他職種と関わりながらニーズを把握することが重要だと考えられます。検査業務の背景にある役割を理解してもらうためにも、孤立せず医療チームの中でニーズを見つけて業務をこなし、評価を得て存在感を高めていく姿勢が必要です。

 

クリニカルパスによる標準化への道のり

医療の質と効率を高めるためには、診療プロセスの標準化が重要であり、その手段の一つがクリニカルパスです。医師ごとに異なっていた診療手順を可視化し、ガイドラインに基づいて整理することで、治療のばらつきを減らし、チームで議論しながら改善できる仕組みづくりといえます。
さらに電子パス(ePath)の活用により、診療プロセスを電子的に管理するだけでなく、検査・処方・バイタルなど多様なデータを時系列で収集・解析できます。これにより、医療の質や治療効果、コストなどをデータに基づいて検証することが可能になります。

しかし、日本では電子カルテの仕様が統一されていないことや、データを活用する意識が十分に浸透していないことから、ePathの利点が十分に生かされていないのが現状です。医療の質向上のためには、データ収集と解析の重要性を理解し、標準化された形で活用していくことが今後求められます。

 

人生100年時代は二刀流、三刀流でチャレンジしたい

AIや医療DXの進展により、臨床検査技師に限らず、医療職の働き方は大きく変化していく可能性があります。こうした時代においては、一つの専門分野だけに依存するのではなく、データを利用した新たな価値の創出やAI開発の参加など新しい分野を開拓してほしいと考えます。さらに、病院に限らず在宅でも老健施設でも、医療資源が必要な患者さんは増えていき、新たなニーズも増えてくると思われます。長い職業人生の中では、技術の進歩によって価値が変化することもあり得ます。だからこそ、二刀流、三刀流で新しい分野にも挑戦し、自らの可能性を広げていく姿勢が求められます。多様な経験や人との対話を通じて視野を広げることが、人への理解を深める機会にもなります。壁を越えていくチャレンジ精神が必要です。

 

 

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特集記事はこちらからもご覧いただけます。


https://www.jamt.or.jp/news/asset/pdf/ff4c47d3bd5488637e51d693b2175986a856dd3e.pdf

 

 

「臨床検査DXとAI技術」が臨床検査技師に与えるインパクト 過去の記事

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604137331-O5-bb19K4nd

第4回 検査室の外で評価される時代に 臨床検査技師がAIに勝てる場はどこにある?

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604137331-O6-55NQ751a

第3回 AI使用現場の臨床検査技師に聞く

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604137331-O3-47n075Cd

第2回 有識者からの提言

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604137331-O4-gc3956A8

第1回 臨床検査技師に必要なモノ

 

「一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会」について

一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会(Japanese Association of Medical Technologists:JAMT)は昭和27年に発足した日本衛生検査技術者会が前身となり発展してきました。創立当初、検査技師に対する一般の認識は低いものでしたが、私達の活動を通じ、高度な検査技術を持つ技師の重要性が広く社会に認知されつつあります。また各国の検査技師会との交流を通じ、医療の国際化にも貢献しています。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604137331-O1-64gz951Y

 

【概要】

◇名 称 : 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

◇所在地 : 〒143-0016 東京都大田区大森北4丁目10番7号

◇代表者 : 代表理事会長 横地 常広

◇創 立 : 昭和27年7月27日

◇URL : https://www.jamt.or.jp/

◇事業内容:

1.公益目的事業

1)臨床検査精度保証事業 2)臨床検査精度管理調査事業

2.学術・職能支援事業

1)学術・技術振興事業 2)学術・職能教育研修事業 3)厚生労働大臣指定講習会 4)国際協力事業

5)会誌「医学検査」発行 6)学会開催 7)JAMT技術教本出版 8)支部運営 9)日臨技認定制度

3.政策渉外・組織強化事業

1)法・渉外活動 2)組織対策・組織運営 3)共済事業 4)調査研究

 

【読者・視聴者のお問合せ】

一般社団法人日本臨床衛生検査技師会

jamt@jamt.or.jp
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