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全4クール、1年間にわたる壮大な物語を駆け抜けたオリジナルTVアニメ『プリンセッション・オーケストラ』(以下、『プリオケ』)。全50曲を超える膨大な楽曲群と、劇中の芝居に歌をシンクロさせる「歌アフレコ」という至難の業は、いかにして成し遂げられたのか。
INTERVIEW & TXET BY はるのおと
当初、歌は20曲以下だったはずが……
──長く関わった作品の放送が終わっての、率直な気持ちを教えてください。
諏訪 凄まじい達成感というか、途方もない道のりを歩んできたなと感じています。当初思っていたより『プリオケ』が大きなプロジェクトになり、かなりの密度と時間をかけて関わってきたので……もう、『プリオケ』の制作がない状態を思い出すことができないくらいになっています。
菊田 僕も一緒で、この3年ほどは仕事のプライオリティの高いところに必ず『プリオケ』があり続けたので、それがなくなる実感がないですね。ただ「あっという間に終わった」という感じではないかな。とにかくこの3年間が濃かったので、「まだ3年しか経ってないの?もっと経っているような」という感覚です。
──企画段階では、音楽の方向性についてはどんなふうに決めていったのでしょうか。
諏訪 方向性については菊田さんをはじめとしたElements Gardenの皆さんや大沼(心)監督とは何度かお話をして、最終的には「僕たちくらいの世代が胸を熱くした、かっこいいアニソンを次世代に届ける」というのを大きなテーマにしました。他にも、ベンチマークとなるような最近の子供向けアニメの楽曲の方向も選択肢としてもありました。ただ、今回はせっかくElements Gardenさんにすべての曲を手がけていただくことが決まっており、弊社キングレコードもアニソンを手掛けてきた歴史のあるレーベルでもありますので、お互いの得意分野を掛け合わせられる形としても自分たちがアニソンを聴いて胸を熱くしていた音楽体験を次世代の方々に届けていく。その考えは初期段階から制作陣の目線として考えていたことでもありました。
──『プリオケ』は50曲以上の膨大な歌唱曲がありましたが、そのボリュームも当初から想定していたのでしょうか?
諏訪 それが、まったく想定していなくて(笑)。原作を手がけた金子(彰史)さん、シリーズ構成・脚本を手がけた逢空万太さんがシナリオベースで想定していた曲数も通常のアニメ作品と比較すると多いほうではあったのですが、気付けばこれだけの楽曲数になっていました。
菊田 当初の予定では半分くらいだったような?確か20曲なかったくらいでしたよね。
諏訪 そこから曲を作るために打ち合わせするうちに、「ここで新曲が披露されたら熱いですよね」みたいな話がどんどん出てきて、菊田さんも快くそれを受け入れてくださって自分たちの首を絞めてしまうような形にはなりました(笑)。その結果、これだけの曲数になり、どれも素晴らしいものにしてくださったと感じております。
菊田 自分が昔好きだったアニソンを思い出してみると、音楽単体ではなく、映像やシーンと密接に結びついているんですよね。『プリオケ』の音楽面でのテーマを考えると、その体験を大事にしたかったので、「今こういう曲が流行っているから、こういうのを入れましょう」みたいな音楽性やジャンルというよりは、いかにアニメの内容に合った曲にするか。それを諏訪さんと2人でずっと話を重ねていました。
諏訪 そういったやりとりを重ねたおかげで「このキャラで、このタイミングだからこういう楽曲の方向性にしましょう」という必然性を持って楽曲制作に着手していただけました。企画当初からキャラクターごとに劇中歌の音楽性の根幹は意識していこうという考えではありましたが、キャラクターも成長していくので、それに合わせて音楽的なバリエーションが増えていきました。そのため、『プリオケ』全体としてもジャンルレスの音楽展開になったという印象があります。
──最初のプリンセス3人の劇中歌は1クール目、2クール目、3クール目と増えていきました。
菊田 大変でした。単純に曲の速度を上げるとか、音の数を増やすとかするのが正解というわけでもないですから。歌詞やサウンドで、キャラクターごとにどう変化を付けていくかは本当に難しかったです。
諏訪 Elements Gardenさんは最初からフルスロットルでやっていただいていますし、そこからどう広げていくかの話はたくさんしましたよね。「この子の到達点ってどこなのか?」みたいな話から、最終的には「この子たちにどんな成長をしてほしいか」みたいな話も何度も重ねた思い出があります。
格別の音楽演出ができた第24話と第48話
──Elements Gardenは劇伴も手がけられています。こちらはどんなふうに作られていきましたか?
菊田 音響監督の本山 哲さんとすり合わせながら作りました。絵や背景、あと色々なシーンがわりとポップな感じだったので、通常流れている音楽は合わせてポップな作り方をしているものが多いです。ただ敵側はキャラクターごとにわかりやすく、「敵側ですよ」という音の作り方をしました。例えばバンド・スナッチが出てくる場面ではギター、ベース、ドラムが鳴っているとか、赤の女王と白の女王の曲は共通のメロディが鳴っているとか。そうした工夫はしています。
──これだけのボリュームの曲数を乗り切るために、Elements Garden内で工夫したことはありますか?
菊田 工夫というか、世界観をより共有しやすいように、担当作家は人数を絞りました。
諏訪 これも触れておきたいのですが、今回は上松(範康)さんが書かれた「ゼッタイ歌姫宣言ッ!」以外は、Spirit Gardenさんに作詞いただけました。クリエイターさんの苦労は僕では計り知れないという前提ではありますが、これだけの数の歌詞を書かれたのは大変だったろうなと思ってはいます。
──音楽面で、特別に達成感があったシーンは?
諏訪 僕は各所で何度も言っているのですが、第24話における赤の女王との戦闘シーンで「Super Higher Dreamer!!!」から「ゼッタイ歌姫宣言ッ!」に繋がるメドレー演出が最高でした。元々大沼さんから「このシーンでこの2つの楽曲をメドレー的に使用してみたい」という映像演出的な観点からご相談をいただき、僕からは菊田さんにほぼそのまま伝えるような形で「良い感じにできますか?」と非常に抽象的なご相談をしてしまっていたのですが、菊田さんの方で、両楽曲を繋ぐ第24話だけのブリッジのフレーズを新しく作っていただきました。そのおかげで2クール目のクライマックスは本当に格好良いシーンになり、感動したことをよく覚えています。
菊田 大変でしたけど、結果的に上手くいったし、自分もすごく好きなシーンです。
諏訪 同じように最終話となる第48話の歌唱シーンでも、大沼さんから映像演出のイメージをいただきまして、音楽演出を本山さん、菊田さんと一緒に決めていきました。
菊田 「ゼンセカイ歌姫宣言ッ!」が入るところですよね。
諏訪 色々な可能性を検討したのですが、最終的には菊田さんに「これってイントロなの?」というくらいの新しいフレーズを作っていただきました。そもそもプリンセス5人で歌う「ゼンセカイ歌姫宣言ッ!」自体、流れるのが初めてなのにいきなり特別バージョンというところも非常に豪華というか、面白いのですが、本当に格好良いシーンになったと思います。
──『プリオケ』の精神的な前作にあたるような『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズでも同様の演出はありましたが、あちらの経験があったからこそできたという部分はありますか?
菊田 それが少し違うんですよ。
──ちなみに、「ボツになったけれどやりたかった」という曲のアイデアなどはありますか?
諏訪 率直にはこれだけの楽曲数になっているということからもわかるように、基本的には全て叶えていただいたと思っています。強いていうなら、(空野)みなものお父さんとお母さんの出会いの馴れ初めを歌うようなデュエットソングではありましたが、流石に使用するシーンがなさそうで、泣く泣く断念しました(笑)。
菊田 懐かしい。あったあった。
諏訪 そもそも初期段階では登場キャラクターの誰まで歌わせるかというところを決め切っていなかったので、歌唱キャラ自体も広げていくなら、みなものお父さんとお母さんの歌も聴きたいですね、という経緯でした。その前提があった上で、空野誠志郎を日野 聡さん、空野ようこを南條愛乃さんという素敵なキャストが演じることが決まりましたので、「この2人が愛を歌う壮大なバラードが聴きたい」とは真剣に思っていました。
菊田 弟の(空野)りくも含めて、「歌う家族」というアイデアはありましたね。
諏訪 あとは3クール目の重要キャラトーマも歌うという話もありました。トーマに限った話ではないのですが、非常に多くのキャラクターが登場するプリオケだからこそ、「このキャラクターに歌が必要か」という議論を何度もした記憶があります。トーマについては既にかなりのドラマが詰まっているキャラクターでもありましたので、“歌”という要素が必ずしも必要という結論には至りませんでした。先ほどの話にも近しいですが、トーマは花守ゆみりさんに演じていただいておりましたので、歌っていただけていたら、これも素敵なものができていたとは思いますので、やりたかったものとしては印象に残っています。
菊田 そもそも赤の女王や白の女王、バンド・スナッチも当初より曲数が膨らみましたしね。
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メインキャスト3人それぞれの新たな武器
──メインキャスト3人の歌唱面・表現面での変化についてはどのように感じられていますか?
諏訪 3人とも驚くほど成長しましたね。
菊田 最初のレコーディングは「ゼッタイ歌姫宣言ッ!」でしたが、その時は葵(あずさ)さんは初めてのレコーディングだったし、橘(杏咲)さんもまだ2回目とか。そんなキャリアの彼女たちが来て、当然、最初は1つ1つのレコーディングにすごく時間をかけて、僕らも丁寧にやっていました。それが、最終盤になると歌唱力が格段に上がっていて……まあ、この作品で何十曲録っているんだという話だから、当然といえば当然なのかもしれませんが。
諏訪 (笑)。
菊田 あと、彼女たちが「自分の武器の使い方」を覚えたなという印象もあります。ピッチやリズムを取るのが上手くなったといった技術的な向上はもちろんですが、自分が持っている武器は何なのか、それをどう活かすかがわかってきたというか。初期の頃は通常のレコーディング(CD音源)とアフレコレコーディング(劇中歌)の差があまりなくて、とにかくがむしゃらに全力投球という感じだったんです。でも終盤になると、「これはアフレコのレコーディングだから、こういう表情で歌おう」「通常のレコーディングはこう臨もう」と、自分の中で明確に棲み分けができるようになっていました。
諏訪 おっしゃるとおり、自分自身に対しても、楽曲に対しても、解像度がすごく高くなったと感じます。菊田さんを中心にレコーディングのディレクションしていただくなかで、やり取りのキャッチボールの精度がどんどん上がっていったと思います。彼女たちが「自分がやろうとしていること」「曲に求められているもの」「自分にできること」をしっかり理解したうえでアプローチしているのが伝わってくるんです。
──個別のキャストについて、特に印象に残っているエピソードはありますか?
菊田 3人とも印象深いですが、自分があえて1人挙げるなら(みなも役の)葵さんですね。彼女は元々すごく良い武器を持っているんですよ。でも最初のうちは、本人もその武器をどう扱えばいいのかわかっていない様子でした。それが場数を踏むことで、上手く使えるようになっていって。その武器は、自分としては「これは直したほうが良いんじゃないか」と思うようなことでもありましたが、最後のほうは逆に「あ、これは彼女にしか出せない武器だったんだな」と気づかされる瞬間が何度もありました。
──その「武器」というのは、具体的にどのようなものでしょうか。
菊田 表現力がそうですし……あとアフレコでもアドリブが得意なほうでしたけど、突然すごいものをぶっ込んでくるんですよ(笑)。「なんだ、その変なアプローチは!」というような……謎のチャレンジ精神があって。個人的には、それを最初は「うーん」と感じることもあったんです。
諏訪 菊田さんが何を言いたいか理解しました(笑)。葵さん特有の、ユーモアの部分ですよね。僕も最初は少し驚いた気もしますが、すぐに葵さんの持っている素晴らしい個性だと理解いたしました。レコーディングだけでなく、イベント等々を重ねるうちに「彼女が持ち込んでくれる予想を超えてくる爆発力とそれを体現する度胸は他の人にはなかなか真似できないな」と思うようになりました。
菊田 最初は未知数だった部分が、最高の武器として機能し始めたのは見ていて面白かったですね。
諏訪 正直、オーディションの段階では、葵さんがあそこまでパーソナリティの強い方だとは思っていなかったんですよね(笑)。真面目で明るいけれど、どこか引っ込み思案に見える、その雰囲気がみなもというキャラクターに合っているというのが配役の決め手だったと記憶しています。それがキャスト確定後の顔合わせの場や現場を重ねていくこと中で、すごく芯が強くて、アグレッシブな一面もあって「あれ?」って(笑)。そのギャップにはポジティブに驚かされました。
──葵さんはそうした成長があったと。識辺かがり役の藤本侑里さんは、以前にインタビューした際に「自分には成長のブレイクスルーのような瞬間は特になかった」みたいな話を語っていました。お二人から見て、藤本さんの変化はどう映っていましたか?
菊田 もちろん、彼女も変わっていないわけではないですよ。藤本さんは最初からポテンシャルが高くて上手かった。でも、当の本人はそれをあまり長所だと思えていなかったのかもしれません。
諏訪 藤本さんは、自分に課しているハードルが人一倍高いんだと思います。歌でも演技でも、常に高い水準を目指している。だからこそ、本人の中では「ここが壁を越えた瞬間だ」というような劇的な自己評価は下さないんでしょうね。でも、その真面目さこそがかがりというキャラクターとの高い親和性を生んでいました。
菊田 彼女が変化したのは、中盤くらいに「他の2人をどう支えるか、どう立てるか」を考え始めた瞬間だった気がします。自分を出すというところから、3人の中でのバランスを誰よりも冷静に見極めている、そんな頼もしさが出てきましたよね。
諏訪 最初は先頭に立って背中を見せていたのが、広い視野で、ある時は2人をサポートするというふうに、役割を使い分けられるようになっていったという印象があります。
──では、一条ながせ役の橘 杏咲さんについてはいかがでしょうか?
菊田 橘さんはもう、回を重ねるごとに「どこまでいくんだ」というくらい良くなっていきました。とにかく対応力が凄まじい。こちらが「A」というディレクションを出したら、即座にそれを咀嚼して、自分なりの考えを乗せて返してくれる。伸びしろの塊でしたね。
諏訪 プリオケのオーディション時点ではまだ10代だった橘さんですが、今は本当に頼もしく成長していまして、日に日に成長する姿にスタッフ一同驚かされていました。歌唱力だけではなく、役者としての表現力も凄まじい速度で成長していたと思います。メインキャストとしては最年少ではありましたが、彼女の存在があることで、葵さんや藤本さんにもポジティブな影響を与えていたんじゃないかという気もしますね。
菊田 1クールだとここまでの成長はわからない。4クールあるからこそ、その成長の軌跡がはっきりわかるんですよね。元々持っていた原石のような才能が、どんどん磨かれて熱を帯びていく。その過程を見守ることができたのは幸せなことでした。
諏訪 ながせというキャラクターは金子さん、逢空さんも当初から「天才キャラ」として描いていました。それを演じるハードルは非常に高かったはずですが、橘さんはまさにその言葉にぴったりとハマる存在でしたね。
──3人の今後が本当に楽しみですね。
諏訪 本当にそうですね。いつか彼女たちが大成した時に、「あの作品が成長の転換点だった」と言ってもらえるような、そんな場所でありたいという気持ちで僕らも向き合ってきました。ぜひ『プリオケ』を踏み台にして、大きく羽ばたいてほしいと心から思っています。
菊田 彼女たちの道はこの先も続いていきますし、また別の現場で成長した彼女たちと再会できたら、これ以上に嬉しいことはありません。
新たな手法での歌アフレコ
──歌に話を戻して、ここまでオルケリアの歌は話題になりましたが、それ以外のキャラクターの曲で、特に印象に残っているものを1曲教えてください。
菊田 1曲!?どれも思い入れがあって難しいなあ……風花姉妹の曲も良いし、バンド・スナッチの曲も捨てがたいし……。
諏訪 では手分けしましょう!菊田さんが選ばなかったほうを僕が言います(笑)。
菊田 では、僕はバンド・スナッチの「使命は赤きセレナーデ」を。これは構成にかなり工夫を凝らしました。最初はカリストしか歌っていないバージョンが流れて、あとで4人で歌うバージョンを作ろうという話があって。それで1人バージョンの時はあえてメロディを抜いている箇所を作って、4人になった時にそこにメロディが増えるとか、最初から想定しながら作れて面白かったです。あと4人の声が混ざった時のバランスがまた素晴らしいんですよ。低域から高域まで綺麗に分かれていて。
──最初から「バンド」としてのバランスが完成されていたんですね。
菊田 そうなんです。普通は誰かの音域が重なってぶつかったりするものですが、見事なバランスで分かれていて。オーディションをされた方はすごいなと。
諏訪 ……そんな意図はなかったんですが(笑)。キャラクター性を重視して選ばせていただいたキャスト陣ですが、結果的に声の相性も完璧だったのは、まさに奇跡的なバランスでした。
菊田 たまたまだったんでしょうけど、声からして“バンド”になっていました。
──「使命は赤きセレナーデ」がエンディングで流れた第13話は、話が面白かったのもあって印象的でした。諏訪さんはいかがでしょう?
諏訪 せっかくですから、では、どんどん特に好きな楽曲を挙げていきます(笑)。僕はやっぱりエネミーサイドの楽曲ですね。赤の女王、白の女王、花の騎士、ナビーユ……立ち塞がる敵たちの曲は、オルケリアがどれだけ頑張っても「絶対に手が届かなそう」な絶望感が欲しいと思っていました。難しいリクエストをしてしまっていたのですが、どの楽曲もそれを体現してくださったキャストの皆さんの歌唱は、もう圧倒的の一言でした。「3人、もしくは5人が束になっても勝てない感じでお願いします」くらいの抽象的なリクエストに対して、声の迫力だけでねじ伏せるような毅然とした強さを表現してくださった。水樹(奈々)さんと花澤(香菜)さんの迫力は凄まじかったですし、逆にのちのち追加戦士枠となる鬼頭明里さんや伊藤美来さんは、強さの中にも迷いや葛藤を感じさせるような、絶妙な立ち位置や演じ分けを表現してくださいました。そして最後の下野(紘)さん。ナビーユとして覚悟を決めて世界を背負って歌う姿が本当に素敵でした。そうしたエネミーサイドの曲こそが、この作品の音楽的なクオリティを支えていたと思うし、僕も特に気に入っています。
──本作では、いわゆる歌アフレコという手法も取り入れられています。『戦姫絶唱シンフォギア』という前例があったにせよ、苦労もあったのでは?
諏訪 おっしゃるとおりで、『シンフォギア』とはあくまで別の作品です。金子さんや本山さんなど一部のメインスタッフが被っているところもありますが、アニメーション制作のSILVER LINK.さんも、僕も含めて多くのスタッフにとってこの手法は初めてだったんです。だからノウハウをそのまま受け継いだわけでないし、そもそも我々にとって『シンフォギア』はベンチマークであり、その水準を超えるべきものとして考えていました。だから僕らは僕らなりに試行錯誤しながら全48話を乗り切りました。正直、最初は「これ、本当に完遂できるのか?」と不安になるようなエラーも多発しました。歌を演出するために絵をどう演出するのか、歌のタイミングと作画をどう合わせるのか……オペレーションの話だけでも、気が遠くなるほどの回数、腹を割って話し合いを重ねました。
菊田 ある意味、ものすごく非効率なやり方だったのかもしれません。でも、僕はそれこそが尊いと思うんです。効率化だけを求めていたら、ここまでの熱量は生まれなかった。あの議論に費やした時間は、クリエイティブにおいて不可欠な、とても大事な時間だったんだなと今は思います。
諏訪 スタッフの「絆ゲージ」はMAXまで貯まりましたね(笑)。喧嘩ではないですけど、今の形に辿り着くまでのコミュニケーションの密度は凄まじかったと思います。今では笑って話せる最高の思い出だし、思い描いていた水準、それ以上のものになりました。音響チームもSILVER LINK.さんも本当に素晴らしいです。MVPと言える存在が本当に多い現場になったと思います。
菊田 音響チームはすごかったなあ。本当に職人技が光ることが多かったです。
──余談ですが、『シンフォギア』と『プリオケ』でどういった点で作り方が違ったんでしょう?
諏訪 細かい点は多々ありますが、『シンフォギア』ってコンテの段階で楽曲があって、その使用箇所を決めて作っていたと聞いています。それがあのチームが生み出した最適な手法だったと思うのですが、『プリオケ』は楽曲を作ったのがコンテより全然あとだった。その順番の違いが一番の違いでしょう。
菊田 セリフやシーンの流れを踏まえて楽曲を作れたのは、それはそれで面白かったんですけどね。
諏訪 だから大沼監督がやりたいことがあって、それをブーストさせるために音楽がある。『プリオケ』における音楽はそういった存在だったと思います。
誰かの“原体験”を作りたかった
──企画当初のテーマについては、どのような手応えを感じていますか?
諏訪 音楽に限ると「大人も子供も分け隔てなく楽しめる」というテーマを設定していて、子供に寄り添いすぎるのではなく、僕たちが子供の頃に胸を熱くした「最高にかっこいいアニソン」を本気で作ろうと決めていました。その思いにElements Gardenの皆さんが全力で応えてくださったし、その達成は、最近フリーイベントなどで歌が披露された時に確信できました。子供たちが目を輝かせ、その後ろで大人たちも一緒に楽しんでいる光景を見た時、「ああ、僕たちが目指した場所に辿り着けたんだな」と。
菊田 僕もまったく同感です。自分たちが子供の頃や学生の頃に触れたものって、一生の宝物として残るじゃないですか。僕らも誰かの“原体験”を作りたかったんですよね。それが、音楽という文化が続いていくためになると思うんです。現場でのお子さんの反応は、SNSの数字では測れない確かな手応えとして僕らの中に残っています。キャラクターショーとかも最近頑張っていますしね。
諏訪 ショッピングモールのイベントにあんなに多くのファミリーが来てくださるとは、正直驚きました。深夜アニメの制作が多いなか、これほど広がりを持った、しかも今どき経験しがたい4クールという大規模なプロジェクトに関われたことは、僕にとっても大きな学びだったし、大げさでなく価値観が変わりました。だからこそ……今はもう、「プリオケ・ロス」がすごくて(笑)
菊田 その気持ち、わかります。自分たち作曲家がこれほどアフレコやダビングの現場に足を運ぶことは珍しいですが、『プリオケ』で実際に行ってみて「アニメはこんなふうに、こんなに多くの人の手で作られているんだ」と再認識できました。毎週のように通っていた現場がなくなるのは、僕もすごく寂しいです。でも、この年になってこれほど熱量の高い仕事ができたことは、自分自身の成長にも繋がったし、若い才能や新しい仲間に出会えたことは、かけがえのない財産になりました。
──お二人と同じようにロスを感じているファンには、8月にJ:COMホールのライブにも参加してほしいですよね。
諏訪 初めてプリンセス5人が全員揃うステージになります。昼夜で一部の歌唱楽曲を変えながら、ガッツリとライブのみで構成する予定です。「オルケリア1stライブ」という名のとおり、全曲……というわけではないですが、オルケリアにとって集大成のような場にしたいと思っています。
──最後に、作品を愛してくれたファンの皆さんにメッセージをお願いします。
諏訪 プリンセスの曲は「成長」が大きなテーマになっています。今改めて第1話から聴き直していただくと、「あの結末を見据えた構造になっていたんだ」という発見があるはずです。そうしたプリンセスたちの歩み、そしてエネミーサイドの圧倒的な壁……その対比を音楽から感じ取っていただけたら嬉しいです。
菊田 第1話の彼女たちの歌声と、最終盤の歌声をぜひ聴き比べてみてください。その変化に、きっと驚くはずです。また歌詞の1つ1つにも、全編を見終えたからこそ響く伏線がたくさん散りばめられています。サブスクでもCDでも、『プリオケ』の曲を何度でも繰り返し聴いて、彼女たちの物語を反芻していただければ幸いです。
●イベント情報
オルケリア1st LIVE「PRINCESS RESONANCE」
2026年8月30日(日)
昼公演:13:30開場 14:30開演
夜公演:17:30開場 18:30開演
※公演時間は約120分(休憩なし)を予定しております。あくまでも目安となりますので、変更があった場合もご了承ください。
会場:J:COMホール八王子
出演者
葵あずさ(空野みなも/プリンセス・リップル役)
藤本侑里(識辺かがり/プリンセス・ジール役)
橘杏咲(一条ながせ/プリンセス・ミーティア役)
鬼頭明里(風花すみれ/プリンセス・ヴィオラ役)
伊藤美来(風花りり/プリンセス・ネージュ役)
チケット
チケット料金
・ファミリーチケット:大人:9,900円(税込)/子ども:5,500円(税込)
・一般チケット:9,900円(税込)
・特典グッズ付きファミリーチケット:大人:14,300円(税込)/子ども:9,900円(税込)
・特典グッズ付き一般チケット:14,300円(税込)
特典グッズ:イベントビジュアル使用!フード付きビックタオル
イベント内容やチケット購入に関しての詳細は、公式サイトをご確認ください。
https://princess-session.com/event/09.html
「プリンセッション・オーケストラ」クリエイターズセッションVol.2
2026年7月20日(月・祝)【開場】19:30 【開演】20:00
会場:LOFT/PLUS ONE(160-0021 新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2)
会場チケット:前売¥2,500 / 当日¥3,000(+drink)※会場チケットはLivePocketにて発売中
配信チケット:¥1,500 ※配信チケットはキャスマーケットにて発売中
※アーカイブは8/16(日)22:00まで購入可
出演:大沼 心(監督)、関根侑佑(助監督)、菊田大介(Elements Garden)
MC:諏訪豊(キングレコード/プロデューサー)
出演者さんへの質問はgoogleフォーム宛にどうぞ。
https://forms.gle/MN9eyQ3k93vwUEAu5
LOFT HP
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/349402
LivePocket(会場チケット販売URL)
https://livepocket.jp/e/1eeld
ツイキャス(配信チケット販売URL)
https://premier.twitcasting.tv/loftplusone/shopcart/424322
●作品情報
オリジナルTVアニメ『プリンセッション・オーケストラ』
【スタッフ】
企画原案:金子彰史
製作総指揮:上松範康
原作:UNISON/キングレコード
監督:大沼 心
助監督:関根侑佑
シリーズ構成・脚本:逢空万太
キャラクター原案:島崎麻里
キャラクターデザイン:秋山由樹子
色彩設計:長谷川美穂(緋和)
美術監督:平間由香、大崎 唯(アトリエPlatz)
撮影監督:木田健斗(チップチューン)
3D監督:濱村敏郎(ワイヤード)
編集:木村勝宏
音響監督:本山 哲
音響効果:安藤由衣
録音調整:安齋 歩
音楽:Elements Garden(菊田大介、笠井雄太、竹田祐介)
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:SILVER LINK.
【キャスト】
空野みなも/プリンセス・リップル:葵 あずさ
識辺かがり/プリンセス・ジール:藤本侑里
一条ながせ/プリンセス・ミーティア:橘 杏咲
風花すみれ/プリンセス・ヴィオラ:鬼頭明里
風花りり/プリンセス・ネージュ:伊藤美来
陽ノ下なつ:藍村 光
ナビーユ:下野 紘
カリスト:小林千晃
ギータ:千葉翔也
ベス:榎木淳弥
ドラン:武内駿輔
空野誠志郎:日野 聡
空野ようこ:南條愛乃
空野りく:若井友希
(C)Project PRINCESS-SESSION
関連リンク
オリジナルTVアニメ『プリンセッション・オーケストラ』公式サイト
https://princess-session.com/
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