大晦日といえば、なんだかんだいっても「紅白歌合戦を観て年越し」という人は多いはず。スターが一堂に会し行われる歌の競演......しかし、その裏側がどんなものなのか、じつはあまり知られていないことも多い。
まず、多くの視聴者が疑問に思っているのは、"楽屋"事情だろう。「あれだけの人数が出演して、楽屋はどうなってるの?」と疑問に感じている人は数多いと思うが、ちゃんと個室が存在するらしい。
舞台がある1階には7つの個室があるといい、そのうち2つは司会者用。今年なら、1番楽屋が嵐、2番楽屋が吉高由里子となるようだ。ここにはトイレとシャワールームも完備されているというから、さすが司会者は特別扱いだ。
問題は残りの5つ。ここからは1部屋に2人が入るらしく、これまでならば〈3番に北島さんと五木さん。4番に森さんと細川さん〉という序列だったよう。現在ならSMAPあたりもグループで1部屋もらっているだろう。さらに女性陣では、現在は和田アキ子が筆頭主。そこに仲が良い天童よしみなどを同室とするケースが多いという。
で、気になるのは大御所以外の人々だが、男性は地下一階の大部屋に入れられ、女性の場合は間仕切りがある鏡付きの部屋があてがわれるという(ただし、AKBグループはNHKホールの隣りにある放送センターのスタジオを楽屋として使用)。普通ならばよほどの新人ではない限り出演者ごとに楽屋が与えられるものだから、大部屋で一緒くたにされるなどありえない絵である。
さらに、どうでもいいけれど気にかかる紅白の謎といえば、弁当問題。一体どれだけの数を発注するのだろう?と思うが、じつは〈基本的にNHKの番組はお弁当はつかない〉らしい。さすがにスタッフや司会者にはお弁当が出るというが、どうやらそれ以外は"手弁当"なよう。ただし、和田アキ子は〈自分で握ったおにぎりを女性陣全員に届けたり〉するそうだ。和田アキ子のおにぎり......どんなにお腹がいっぱいでも、緊張で飯など喉を通らなくても、絶対に受け取り拒否などできまい。
もちろん、だからといってギャラがいいわけでもない。その証拠として、本書の著者は淡谷のり子か菊池章子が言った言葉として「日本薄謝協会だからNHKなのよ!」という名言(?)を紹介している。楽屋は大部屋、弁当も出ず、ギャラも安い......それでも許されるのが、天下の紅白というものなのだろう。
また、紅白の終了後は、テレビ番組やライブなどの掛け持ちがない人は、NHKアナウンサーが司会の軽い打ち上げを食堂で行う。
──こうして見ると、まるで"和田アキ子が大はしゃぎするための宴"という気さえしてくる紅白の舞台裏。だいたい紅白が"日本の国民行事"と呼ばれたのは獲得視聴率が80%時代の話であって、いまでは『半沢直樹』最終回くらいの数字でしかない。さらに、音楽の聴き方・かかわり方が多様化したことで紅白の存在意義はますますわからなくなっていく一方だ。
それでも、2012年の美輪明宏「ヨイトマケの唄」のような圧倒的パフォーマンスがあれば、紅白にだってまだ大きな話題をつくり出すことはできる。果たして、このSNS時代をうまく活かした"サプライズ"をNHKは生み出せるのだろうか......。
ちなみに今年、演歌の大御所から若手までが「ようかい体操第一」を踊ることは目に見えているので、好事家は要チェック&「寒いのがつらい」人は視聴を避けることをあらかじめオススメしておきたい。
(サニーうどん)