未来ある11歳の尊い命が失われた、京都府南丹市の男児遺体遺棄事件。私は取材班のひとりとして現地入りし、逮捕前の安達優季容疑者と接触していた。

そこで目にしたのは、記者への応対と鑑識作業での捜査員への対応で、まったく異なる姿を見せた、容疑者の“豹変”ぶりだった。(MBS記者 髙島大介)

異様な雰囲気に包まれた南丹市へ

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3月26日、私は大阪から応援記者として南丹市に入った。市立園部小5年の安達結希さん(11)が行方不明となっていると発表された翌日だった。

各社の記者が警察署前や小学校前にこぞって張り付くなか、私は手がかりを求めて警察車両の動きを追い、府立るり渓自然公園の方面へと向かった。

すると、観光者向けの駐車場に停まっている京都府警の濃い水色のバンを発見。さらに県道から分岐し、車が2台すれ違うのがやっとの狭い道をおよそ10分進むと、坂の上に建つ一軒の住宅の前に2台の警察車両が停まっているのを見つけた。

「ここが結希さんの自宅に間違いない」

私は意を決して、急な坂を登り玄関へと向かった。

「はい」消え入りそうな声で答えた黒ずくめの男

【独自ルポ】逮捕前の安達優季容疑者と接触 消え入りそうな声で憔悴も…丁寧に記者に応対 直後、警察には「あまりに淡々とした事務的対応」 若手記者が感じた「ギャップ」と底知れぬ「違和感」 京都男児遺体遺棄
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自宅にインターホンは見当たらなかった。

玄関の扉越しに声をかけると、中から人が歩いてくる気配がした。

ゆっくりと開いた扉の隙間から現れたのは、30代前半に見える細身で猫背の男だった。

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黒縁のメガネに、黒色のパーカー、そして黒色のジャージのズボン。

全身を黒で固めたその男こそ、後に死体遺棄容疑で逮捕されることになる結希さんの養父・安達優季容疑者(37)だった。

「結希くんのご家族の方でしょうか?」

私の問いかけに、男は言葉を発さず小さく首を縦に振った。声が極端に小さく、ジェスチャーでしか肯定を読み取れないほどだった。

さらに「父親ですか?」と重ねて尋ねると、彼は一瞬、答えるのをためらうような仕草を見せた。

そして、力のない細い声で「……はい」とだけ言い、視線を地面に落とした。

その後のやり取りの間、彼は一度も私の目を見ることはなかった。

憔悴しきった、こけた頬が印象的だった。

憔悴しながらも見せた“丁寧さ”

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「結希さんが着用していた服装の特徴は?」
「普段どんなお子さんですか?」
「ご家族からの呼びかけやメッセージはありませんか。少しでも早期発見の手助けがしたいのです」

些細な手がかりでも知りたい私に対し、安達容疑者はこう答えた。

「今は…丁寧なお願いをされて申し訳ないのですが、そんなお話しできる状態ではなくて。すみません」

その拒絶の仕方は、驚くほど丁寧だった。

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子どもが行方不明になり、極限の精神状態にある家族に取材を申し込めば、激しく拒絶されたり、怒りをぶつけられたりすることを覚悟していた。

しかし彼は、震えるような声ではあったが、言葉を選び、取材者である私に対して、気を遣うような素振りさえ見せた。

京都府警が公開した結希さんの写真の提供を求めた際も、「府警に一任していますので」と短く応じ、静かに扉を閉めた。

その瞬間の私は、「なんと丁寧な人なのだろう」と、“悲劇の渦中にいる父親”に同情の念を抱いた。

直後の鑑識作業で見せた“淡々とした”姿

しかし、その直後に目撃した光景が、私の中に拭いきれない違和感を残した。

私が安達容疑者と会話した約15分後。

自宅敷地内で、京都府警による鑑識作業が始まった。

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安達容疑者は捜査員に付き添われ、自宅前に停められた1台の黒色の車のそばに立った。後に、結希さんの遺体を運んだとされる、あの車だ。

驚いたのは、警察官とやり取りする際の彼の態度だった。

先ほど玄関先で見せた、消え入りそうな声でうなだれる姿はどこへ行ったのか。

彼は捜査員の問いかけに対し、身振り手振りを交えながら、驚くほどハキハキとした口調で答えているように見えた。

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自分の車の、それも行方不明の息子に関連するかもしれない捜査を前にして、彼はあまりにも淡々と、事務的に見えた。

感情を一切排したその受け答えは、憔悴した父親というよりは、まるで業務報告を行う人物のようでもあった。

憔悴や丁寧な言葉遣いの裏に何が…

【独自ルポ】逮捕前の安達優季容疑者と接触 消え入りそうな声で憔悴も…丁寧に記者に応対 直後、警察には「あまりに淡々とした事務的対応」 若手記者が感じた「ギャップ」と底知れぬ「違和感」 京都男児遺体遺棄
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あの玄関先で見せた、憔悴しきった様子は一体何だったのか。

丁寧な言葉遣いの裏で、彼は何を隠そうとしていたのか。

それから約3週間後、警察の粘り強い捜査を経て、死体遺棄容疑で逮捕された安達容疑者。

逮捕前の任意の聴取では、「首を絞めつけて殺した」という旨の供述をしていたという。

逮捕の報を聞いた今、あの時感じた、彼の「妙な落ち着き」の意味を考え続けている。

(MBS報道センター 髙島大介:大阪府警捜査一課担当として殺人などの凶悪事件の現場を取材。自転車の青切符制度など交通違反に関する特集も制作)

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