「人の弱みにつけこんだ『カツアゲ』あるいは『みかじめ料』的な要求だったと理解しております」(福岡県議会・吉松源昭議員)。

福岡県議会の吉松源昭議員(元県議会議長)は議長就任前の2019年、当時自民党県議団の幹事長だった中尾正幸副議長から1000万円を要求されるなどして、総額約2000万円を渡したと主張しています。

一方、吉松県議が録音した“音声データ”を聞かされた中尾副議長は「AIによる改ざん」の可能性を指摘し、その後「99.99%以上、中尾氏の声」との分析結果を突き付けられますが、金銭授受を否定しています。

福岡県議会の“政治とカネ”をめぐる問題。一体なにがあったのか?中尾副議長は罪に問われる可能性はあるのか?亀井正貴弁護士への取材を踏まえ解説します。

「大金やけんね。管理しとかんと」“録音データ”に残された声

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2020年から1年間議長を務めた吉松源昭県議は7日の会見で「議長就任までに計5回、自民党県議団幹部に約2000万円を渡した」と主張しました。その上で、中尾幹事長(当時)との会話として「録音データ」を公開しています。

<録音データ>録音:吉松県議
(中尾副議長とされる人物)「明日、松本(自民党県議団)会長が荷物を預かります。ちょっとね、大金やけんね。管理しとかんと」

「自分の音声ではない」AIによる“改ざん”の可能性も指摘

【弁護士解説】福岡県議が主張「自民党県議団幹部に約2000万円を渡した」議長ポストへの上納金か 贈収賄などの可能性を指摘も「おそらく時効が成立している」
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「1000万円を要求された」と名指しされた中尾副議長は、金銭の授受はもちろん、音声についても自分ではないと全面否定しました。

(中尾正幸副議長)「(録音データについて)いやぁ、よく似てるんですけども、本当に記憶にないので。6年前で記憶にない」

14日の会見では金銭授受を重ねて否定し、録音データはAIなどによる“改ざん”の可能性もあると話しました。

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(中尾正幸副議長)
会話も含めて信ぴょう性に乏しいと思っています。私は疑っています」
「目の前に本当に1000万円があったら、1000万円というキーワードを本人が言いませんか?もしくは相手に言わせようとしませんか?証拠として残したいのならば、なおさらそうではないでしょうか?」
「ちょっといろんな方に聞いたら、ボイスレコーダー自体もiPhoneだったと思いますけど、改ざんできるというふうに」
「(Q意図的に編集された可能性もあると?)という可能性もありますよね。

私はそう思っています」

「音声は99.99%以上、中尾氏の声」分析結果を突きつけられると…

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しかし記者から、音声は科学的に「99.99%以上、中尾氏の声」でありAI生成された音声であるという可能性は極めて低い」「編集された可能性も低い」という分析結果を突きつけられると…

(中尾正幸副議長)
「声紋が一致して、にわかに信じられませんけど、科学的にそうであれば、私の言った言葉なんでしょうね
「声紋も一致した会話もあるかもしれませんけど、お金は受け取っておりません!

録音データは自分のものだと認めたものの1000万円の受け取りについては、強く否定しました。

“大金”の意味は「わかりません」

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録音データの“大金”という発言については…

(中尾正幸副議長)
「わかりません。1000万円とか100万円でも大金。10万円でも大金と思うやないですか?“大金”というのは、お金という感覚やないですか。何かのお金だったんでしょう」

県民はこの答えに納得しないのではとの問いには…

(中尾正幸副議長)「いや、いいです」

ゴルフ代「1000万円」お車代「計125万円」…

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吉松県議によると、議長就任までに自民党県議団幹部に払ったお金は以下の通りです。

▼2018年12月
⇒ゴルフ代「550万円」
▼2019年10月
⇒中尾正幸幹事長(当時)に求められ
ゴルフ代「1000万円」
▼2020年1月
⇒新年会「約90万円」
▼2020年4月
⇒会食「約50万円」お車代5人「計125万円」
▼2020年6月
⇒ゴルフ代「200万円」

議長ポストは“売買”されているのか?

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議員による選挙で選出される県議会の議長(福岡県議会の場合は4分の1以上&最多)。発言の許可など議会の進行役を担い、賛否同数なら可否を決定する権限を持ちます。
    
福岡県議会では最大会派の自民党県議団の幹部に、「議長は1000万円」「副議長は500万円」を支払う“噂”を聞いていたと吉松県議は話していて、他の県議からも「お金を渡した」という発言が出ています。

「収賄・贈賄や政治資金規正法違反の罪にあたる可能性」

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亀井正貴弁護士は「収賄・贈賄や政治資金規正法違反の罪にあたる可能性」を指摘します。

(亀井正貴弁護士)
「地方議会の議員は投票権を持っていて、これは公務員としての職務権限ですが、特定の候補者を議長にするために他の議員に働きかけたりするのも職務に関する密接関連行為で、そういう行為に対して対価を渡せば、受け取った方は収賄罪が、渡した方は贈賄罪が成立する」
「また、個人が個人に対して金品を寄付すると政治資金規正法違反で罰則がついてくる」

「議長=政治家の成功モデルだと考えている議員はたくさんいる」

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関西の地方議員からは「果てしなく前近代的な話」「十数年前、鮒寿司を配る議員はいた」「議長=成功という古い価値観や資金集めの点でなりたい議員も」などの声が聞かれました。

(MBS米澤飛鳥解説委員)
「地方議会の議長・副議長は他の議員より待遇が良いという面もあり名誉もある。なりたいという人は少なくない」
「関西の議員に話を聞くと『今の時代にこういうことあるんや』と驚く方が多かった。議長=政治家の成功モデルだと考えている議員はたくさんいると」
「今回の件は議会や議員の信頼性が揺らいでしまう事態なので、何があったのか全貌を明らかにすることが必要だという意見が多かった」

同じような構図の疑惑で判例も?「ただ、もうおそらく時効が成立している」

【弁護士解説】福岡県議が主張「自民党県議団幹部に約2000万円を渡した」議長ポストへの上納金か 贈収賄などの可能性を指摘も「おそらく時効が成立している」
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亀井弁護士によると、過去にも今回と同じような構図の疑惑があり、処罰されている例があるということです。

(亀井正貴弁護士)
「地方議会の議長になるためにお金を渡した行為、逆に幹部の側が『お金を出さないと議長になれないぞ』と言ってお金を請求した行為、これらが処罰されている例がある」

今後立件されるという可能性は…

(亀井正貴弁護士)
「ただ、もうおそらく時効が成立している収賄の時効は5年、贈賄の時効は3年、政治資金規正法違反の時効も3年。つまり5年経てば時効となり起訴できない」
「福岡の別の地域で同じようなことが行われているかもしれない。それらを含めて捜査する可能性はある」

吉松県議は時効が成立していることを分かった上で告発したのでしょうか…?

(亀井正貴弁護士)
「通常こういったケースは表に浮上してこない。刑事処罰を受けないという状況になった時に何らかのトラブルが起きて、そこで発覚してくるというケースがある」

「表に上がってこないが…」他の地域では起こりうる?

今回のような疑惑が他の地域でも浮上してくる可能性はあるのでしょうか?

(亀井正貴弁護士)
「おそらく慣行的に行われていて、地方では可能性はある。表に上がってこないので、分からない」

(2026年7月15日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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