紀伊半島に甚大な被害をもたらした水害から15年。被災をきっかけに「ドングリ」を使って災害を防ぐ活動を始めた女性の思いを取材しました。

総降水量1,000mm超の記録的な大雨 県内で56人が犠牲に

「助けに行かなきゃって思ったけど…できることがなかった」土砂...の画像はこちら >>

和歌山県・那智勝浦町。住民らが鎮魂のキャンドルに手を合わせます。15年前の9月4日、豪雨が町を襲いました。

2011年に発生した台風12号では、総降水量1,000mmを超える記録的な大雨が降り、和歌山県では各地で地滑りや土石流が発生し、56人が犠牲となりました。

なかでも那智勝浦町は死者・行方不明者が29人と県内で最多の被害者数となりました。

土砂崩れに巻き込まれ友人を亡くす…「私にはできることがなかった」

「助けに行かなきゃって思ったけど…できることがなかった」土砂崩れで友人亡くした女性の覚悟“ドングリの苗木”で災害に強い山づくり「10、20年先も諦めず広げていきたい」【紀伊半島大水害から15年】
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那智勝浦町出身の奥川季花さん(30)。当時は高校1年生でした。

(奥川季花さん)「夜中に父親に起こされたときには、この一面全部湖のような状態でした」

奥川さんは無事でしたが、同じ中学校に通っていた幼なじみが自宅で土砂崩れに巻き込まれ、亡くなりました。

(奥川季花さん)「友人から(幼なじみが)いなくなったっていうのを聞いて。助けに行かなきゃって思ったんですけど、私にはできることがなかった。それがすごく私のなかでは悔しい出来事としてある」

会社を立ち上げ防災事業を展開 使うのはドングリ!?

「助けに行かなきゃって思ったけど…できることがなかった」土砂崩れで友人亡くした女性の覚悟“ドングリの苗木”で災害に強い山づくり「10、20年先も諦めず広げていきたい」【紀伊半島大水害から15年】
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同じ後悔を繰り返したくない。奥川さんは大学生のころからインターンシップなどを通して山が抱える課題を学んできました。卒業後は林業の会社へ就職し故郷を襲った山への知識をさらに深めていきました。

そして、5年前に「ソマノベース」という会社を立ち上げ、災害を防ぐための新たな事業をはじめました。

「助けに行かなきゃって思ったけど…できることがなかった」土砂崩れで友人亡くした女性の覚悟“ドングリの苗木”で災害に強い山づくり「10、20年先も諦めず広げていきたい」【紀伊半島大水害から15年】
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(奥川季花さん)「コンクリートの上に落ちるとすぐにダメになっちゃうんで、それをちょっとレスキューしている感じです」

拾っているのはドングリです。

奥川さんはドングリから苗木を育てるキット「戻り苗」を販売。購入した人は自宅などで約2年間大切に育てます。

成長した苗木は、放置され土を支える力が失われた山へと届けられます。土砂崩壊のリスクが高い場所に植えて災害に強い山づくりを進めています。

「戻り苗」の植樹ツアーに約20人が参加 広がる想い

「助けに行かなきゃって思ったけど…できることがなかった」土砂崩れで友人亡くした女性の覚悟“ドングリの苗木”で災害に強い山づくり「10、20年先も諦めず広げていきたい」【紀伊半島大水害から15年】
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奥川さんの想いは広がっています。

今年1月「戻り苗」を山に植えるツアーが開かれ、約20人が参加しました。2年間育てた苗木とは一旦お別れです。

(参加者)「自然界も厳しいので、強く育っていってほしいなと思います」

これまでに販売された「戻り苗」は約4000本。今年も500本の苗木が山に植えられる予定です。

(奥川季花さん)「今回だけにとどまらずに、育った様子も見ていただきたいですし、今植えていただいた子たちがドングリを落とすときもぜひ、一緒に拾いに来ていただけると、すごくいいなと思っています」

「10年、20年先も、諦めずに広げていきたい」

「助けに行かなきゃって思ったけど…できることがなかった」土砂崩れで友人亡くした女性の覚悟“ドングリの苗木”で災害に強い山づくり「10、20年先も諦めず広げていきたい」【紀伊半島大水害から15年】
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植樹から約8か月がたちました。

(奥川季花さん)「(鹿が)かんだ跡があって。見回りをしていく必要がある」

小さな苗木が森を守る木へと育つには20年かかるといいます。成長を見守るため、奥川さんは何度も山へ足を運びます。

紀伊半島大水害から15年。奥川さんが活動を続けるのは、あの日から変わらない想いがあるからです。

(奥川季花さん)「自分自身が何もできずに悔しかったこととかっていうのは、やっぱり15年たっても何か終わるっていうものではない。森を守って災害を無くしたいっていう同じ思いを持った人たちを、この事業を通して増やしていきたいなと思っているので。10年、20年先も、諦めずに広げていきたいなと思っています

(2026年9月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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