知らない人はいないであろう音楽番組『ミュージックステーション』を、音楽ブロガー・レジーが定点観測する連載コラム「月刊 レジーのMステ定点観測」。

【動画】Mステ出演アーティストのMV

2019年7月のMステの放送は通常放送4回(2日、9日、23日、30日)。
例によって謎のVTR企画は多数あったものの、基本的にはアーティストの生パフォーマンスを中心とした“Mステのあるべき姿”が展開された月だったように思います(そんな矢先に10月からの放送枠変更と“リニューアル”が発表されましたが……)。

前後編でお届けする今回、まずは8月のMステを盛り上げたこの方々の話題からどうぞ。

WANIMA:今、旬な邦ロックバンドが大挙した8月のMステ_01

夏と言えば“夏フェス”という世相を反映してか、8月のMステにはたくさんのロックバンドが出演してフェスさながらのステージを繰り広げました。[前編]ではその模様をまとめてお送りします。

2日のMステに出演して『三ツ矢サイダー』のCMソングにもなっている「夏のどこかへ」を披露したWANIMA。2017年には紅白歌合戦にも出演していますが、今年の夏も各局の大型歌番組にも複数登場するなど、すっかり“お茶の間を賑わすロックバンド”として定着した感があります。
この日も三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの山下健二郎との交流が明かされ、芸能の世界にもすっかり居場所を作っている様子がうかがえました。

9日のMステには3組のロックバンドが出演。ロックリスナーにも評価されている面々が1回のMステにこれだけまとまって登場するというのもなかなか珍しいです。

■Official髭男dism:今、旬な邦ロックバンドが大挙した8月のMステ_02

最初に登場したのはOfficial髭男dism。「Stand By You」「Pretender」に続いて3度目の登場となる彼らが披露したのは、『熱闘甲子園』のテーマソングともなっている「宿命」。蔦谷好位置プロデュースによるこの曲も、勇壮なホーン、キャッチーなサビのメロディ、高校球児の心情を捉えた歌詞など、不特定多数の心をつかむ楽曲として死角なし。


この日はボーカルの藤原 聡も特に気合が入っていたようで、カメラワークに合わせて決めポーズを作るなど派手なアクションが目立ちました。2015年5月29日のMステで星野 源が気合入りまくりの「SUN」を披露していたのを思い出しました。

フジファブリック:今、旬な邦ロックバンドが大挙した8月のMステ_03

続いてはこの日がMステ初登場となったフジファブリック。様々なアーティストからもカバーされている夏の名曲「若者のすべて」を披露した彼らですが、この日は2009年に急逝したオリジナルメンバーの志村正彦と映像でコラボレーションするという特別な演出でのパフォーマンスとなりました。

このバンドのギタリストで今ではボーカルも務める山内総一郎の歌で始まり、途中志村の映像とともに彼の歌が挿入され、最終的にふたりの声が重なるパートもありながらエンディングに向かっていくという構成は、とても胸に迫るものでした。

元々、志村がMステに出たいと思っていたというエピソードも演奏前に明かされており、そんな話もまたこの日のステージをよりエモーショナルなものにしていました。


やはり演奏前のトークで学生時代コピーしていたと話していたOfficial髭男dismの面々にとっても感慨深いパフォーマンスだったのではないでしょうか。

RADWIMPS:今、旬な邦ロックバンドが大挙した8月のMステ_04

最後に演奏したのがRADWIMPS。この日は映画『天気の子』の主題歌でもある「グランドエスケープ(Movie edit)feat.三浦透子」と「愛にできることはまだあるかい」を新海 誠監督が編集した特別映像とともに披露。彼らのMステ出演は同じく新海誠監督の映画『君の名は。』の主題歌「前前前世」を披露した2016年8月以来。

オープニングでは野田洋次郎が久々のタモリとの絡みを喜んでいました。
バックにコーラス隊を従えて行われたこの日のパフォーマンスは“荘厳”という言葉がふさわしいもので、RADWIMPSが“気鋭のロックバンド”にとどまらない“時代を背負った存在”となっていることを感じさせてくれるものでした。

サカナクション:今、旬な邦ロックバンドが大挙した8月のMステ_05

6月に引き続いて8月23日のMステに出演したのがサカナクション。この日は最新アルバム『834.194』にも収録されておりシングルカットもされた「モス」を、別会場から披露。

クラブイベントのなかで演奏するというコンセプトの下、熱狂するオーディエンスの真ん中でのパフォーマンスとなりました。“お客さんにもみくちゃにされながら演奏する”という映像はなかなか衝撃的で、今回も「Mステで何かやってくれるサカナクション」という期待に応えてくれました。

10月からの放送枠変更でMステにおけるこういう方々の扱いがどうなるかまだ分かりませんが、変わらずこういったバンドの熱気を届けてほしいですね。


[前編]はここまで。[後編]ではMステに初登場した大物について取り上げたいと思います。

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)

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【2019年8月2日放送分 出演アーティスト】
HiHi Jets & 美 少年(ジャニーズJr.)「おいで、Sunshine!」
WANIMA「夏のどこかへ」
三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「SCARLET」
賀来賢人×門山葉子「愛を感じて」
三浦祐太朗「横須賀ストーリー」
キマグレン「LIFE」

【2019年8月9日放送分 出演アーティスト】
A.B.C-Z「Crush On You」
日向坂46「ドレミソラシド」
Official髭男dism「宿命」
DA PUMP「P.A.R.T.Y. ~ユニバース・フェスティバル~」
フジファブリック「若者のすべて」
RADWIMPS「グランドエスケープ(Movie edit)feat.三浦透子」「愛にできることはまだあるかい」

【2019年8月23日放送分 出演アーティスト】
GENERATIONS from EXILE TRIBE「DREAMERS」
Hey! Say! JUMP「ファンファーレ!」
サカナクション「モス」
milet「us」
スキマスイッチ「Revival」
CHEMISTRY「Angel」「Point of No Return」

【2019年8月30日放送分 出演アーティスト】
King & Prince「koi-wazurai」
miwa「リブート」
Foorin「パプリカ」
ラストアイドル「青春トレイン」
真心ブラザーズ「サマーヌード」
矢沢永吉「黒く塗りつぶせ」「ヨコハマ Uo・Uo・Uo」(※正式表記はoにマクロンが付きます)