例えば、普段なら楽しい時間を提供してくれたテレビバラエティーにも、その放送内容が不謹慎であったり震災を連想させるようなものであると、人々は強い拒絶反応を示す。そして、こうした震災の影響からテレビ各局は番組内容の変更や延期を迫られている。
「今回の震災では津波の被害がとても大きかったので、水難を連想させるような番組は特にご法度のようです。震災直後の16日に放送が予定されていた『密室謎解きバラエティー脱出ゲームDERO!』(日本テレビ系)が『はじめてのおつかい傑作選』に差し替えられたのは、そうした理由からでしょう」(業界関係者)
自粛や延期が相次ぐテレビバラエティー。いかに大半の視聴者が日常生活に戻ったからといって、それ以前と同じような内容を放送するわけにはいかないのだろう。
「3月31日に放送された『ぐるナイ』(日本テレビ系)の『ゴチになります!』に苦情が殺到したという記事が『週刊女性』(主婦と生活社)に載りました。食べる物にも困っている人がいるのに、食べ物でゲームをするなんてもってのほかだということです。
この『ぐるナイ』に代表されるように食べ物を扱うバラエティー番組は数多い。一大ジャンルとも言えるフード系バラエティーだが、震災後からは、ほとんどその内容が変更されている。例えば、人気バラエティー『お試しかっ!』(テレビ朝日系)の目玉企画「帰れま10」も、3月11日以降の放送を見ると、これまでの食べ物ランキングを当てるゲームから、カラオケで全国1位を取らないと帰れないという内容になっている。また、特にフード系というわけではないものの、フジテレビは4月2日に予定していた『IPPONグランプリ2011~春の陣~』の放送を延期。
4月14日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)では、急きょ、義援金募集を目的に「ハンマーオークション」が開催された。同番組にも食べ物を扱う人気企画が目白押しだっただけに、すでに4月28日には第2回のハンマーオークションが収録を予定されている。今後しばらくはこうしたバラエティー番組の再編成が続くことが予想される。だが、中にはゴチのように、不謹慎だという非難を受けながらも放送を決行する番組もある。どちらが良いとか悪いとかいう問題ではない。
(文=峯尾)
(※画像は「密室謎解きバラエティ 脱出ゲーム DERO!」(日本テレビ系)公式ホームページより)