突然始まった妻の介護。特に家庭を任せきりにしていた私にとっては介護はもちろんのこと、家事なども初めての経験でした。
今回は、妻が倒れて介護が始まった経験から、もし私と同じ状況になった時に知っておきたいポイントについて紹介します。
突然の介護は不安ばかりです。同居家族の介護が始まるまでの期間や始まってから行うべき内容を知っていただき、少しでも負担を減らすことができれば幸いです。
妻の介護で夫が知っておきたいポイント3つ
「妻のために」という気持ちも大切ですが、実際それだけでは介護を続けることが難しいケースも多いです。在宅介護のデメリットを含めた必要な情報の入手、生活環境の整備があってこそ、介護を始める基礎ができ上がるのです。
夫婦二人暮らしで夫が介護するのであれば、在宅介護はメリットよりデメリットの方が多くあると感じました。
今だけを見つめるのではなく、将来を見据えた介護を考えておかないと、つまづく可能性があります。妻の介護を始めると決心した私は、どう考え行動すべきかポイントを3つ紹介します。
在宅介護はメリットよりデメリットが多い
在宅介護はデメリットが多いというのが本音ですが、在宅介護で感じた大きなメリットは、次の通りです。
- 住み慣れた家で過ごせる安心感を妻に与えられる
- 施設入所に比べて費用が抑えられる
- 愛情がさらに芽生える
デメリットも紹介します。
- 夫ひとりで介護を抱え込む可能性がある
- 夫の気力や体力が限界を越える可能性がある
- 経済的な負担が常に気になり、ストレスが増える
- 夫自身の健康が損なわれることもある
- 介護生活が続くと社会から孤立する可能性がある
私の経験としては、デメリットの方が大きく感じました。また、常に不安との戦いになることも考えられます。
介護保険サービスを知り利用する
2つ目のポイントは、介護保険サービスを知り、可能な限り利用することです。
40歳になれば給与から天引きされる介護保険料。介護に関係のない生活を送っていた私にとって大きな痛手でしたが、今となっては大きな助けになっています。
介護保険サービスは介護者にとって強い見方ですが、その内容は自ら情報収集しないと、活用範囲が狭まります。
住民票がある市町村の福祉課や地域包括センターにあらかじめ確認し、介護保険サービスを利用する体制を整えることが大切です。
仕事をしているとなかなか時間をつくれないかもしれませんが、手続きが遅れると介護と仕事の両立が難しくなる可能性があるため、注意してください。
会社の制度を可能な限り活用する
会社の制度は可能な限り活用しましょう。会社は仕事と介護の両立のため、育児・介護休業法に基づくさまざまな制度を設けています。
介護準備を始める前に、労務担当者に介護休暇や介護休業のほか、会社独自の福祉制度を確認しておいてください。手続きに必要な書類や取得可能日数、条件などを早めに知ることで、適切な対応をとることができます。
在宅介護を始める前に確認しておきたいこと5つ
介護を始める前に確認しておきたいことがあります。特に介護者が夫であれば、仕事に加え家事や家計の管理など今までと異なる生活になるため、さまざまな問題への対処が遅れます。
介護生活へ入る前に行動しておくことが大切です。ここでは、介護をはじめる前に確認しておきたいことを5つ紹介します。
要介護認定を受けておく
介護保険サービスを利用するためには、要介護認定を受けなければなりません。要介護度によって、利用できるサービスが異なるため、お住いの市町村の窓口で申請しておく必要があります。
なお、認定を受けるには、主治医の意見書や認定調査などを経て審査に入るため、日数がかかります。認定後もケアマネジャーとの契約やケアプランの確認などすべきことが多いですが、焦らず1つずつ確実に行いましょう。
利用する介護保険サービスを決めておく
利用できる介護サービスは大きく分けて、「通所」「訪問」「短期入所」の3つです。要介護者となる妻の心身の維持向上や夫の休養を目的に利用するものです。
介護保険サービスを組み合わせることによって介護者の負担感は減りますが、利用回数に応じて料金が増えることも考慮しておきましょう。また、施設で使用する日用品などは実費になるため、注意してください。
自宅の介護環境を整えておく
自宅内に介護ベッドや車椅子などの福祉用具を配置するだけで、快適さは変わります。ケアマネジャーやリハビリ担当者、福祉用具業者などのプロの目による指導や助言のもと、自宅内の環境を整えることが大切です。
介護に慣れるまでは知見や経験のある福祉関係者の意見を聞き、快適な環境づくりに努めましょう。
介護用品を準備しておく
介護用品は、慣れるまではすべて買い揃えるのは避けたほうが無難です。病院や施設で使用している介護用品が本人の身体に合っているとは限りません。
特におむつカバーやパッドなど、直接肌に接する介護用品は妻の感覚に頼るしかありません。介護用品は必要なものを徐々に買い揃えていくことで、余計な出費を抑えることができます。
基本的な介護知識を身につける
自宅で介護を始めるには、基本的な介護知識を身につける必要もあります。本や動画でも介護に関する情報は得られますが、実践力はつきません。
まずは、行政が行っている介護教室などで介護の基本を身につけ、退院または退所までにイメージをつかむことをおすすめします。介護は日々の生活の中で少しずつ慣れていくため、応用を学ぶ前に基本を知っておくことがポイントです。
在宅介護を始めたら確認しておきたいこと3つ
在宅介護を始めたら確認しておきたいことがあります。慣れない介護生活は、自分が感じている以上に負担がかかります。ここでは、介護を始めたら確認しておきたいことを3つ紹介します。
介護リズムをつかむ
私の経験上、自分なりの介護リズムをつかむことが一番大切です。介護リズムとは、起床から就寝まで一定の生活パターンを確立することです。
男性介護者は仕事同様に完璧にこなそうとするため、時間を決めて必ず行動する傾向にあります。しかし、自分なりの介護ができるようになるには経験が必要になるので、まずは大まかな介護リズムをつかみ経験を積んでいきましょう。
動線を確保する
自宅内の動線確保も意識してください。介護生活をしていると自宅内の移動量が増えますが、介護用品などを動線内に放置すると妨げになり、思わぬ怪我につながります。
福祉用具を設置した後には介護用品を他の部屋に置くなど対策し、動線を確保するようにしてください。
医療従事者やケアマネージャーとのコミュニケーションを大切にする
医療従事者やケアマネージャーとのコミュニケーションを大切にすることも介護者の役目です。
介護は医療従事者やケアマネージャーの協力なしでは続けられません。自宅の状況は、介護者からの情報なしでは適切な医療や看護につなぐことはできないのです。
医療従事者やケアマネージャーと積極的にコミュニケーションをとり、信頼関係を構築しておくことで安心した介護を続けられるのです。

楽な介護で負担感を減らそう
介護者が10人いると、10通りの介護方法があります。
ただ、注意していただきたいことは、決して100%の介護を目指そうとしてはならないということ。100%を目指した介護はやがてストレスとなり、精神的な疲労が蓄積すると注意散漫になり、思わぬ怪我につながります。
そして、介護はいつまで続くか分かりません。始めにつまづくと気力や体力が続かず、介護に対する恐怖心を持つ可能性もあります。 早めにペースをつかめれば、徐々にスローダウンできて楽になるので、焦らないようにしましょう。