高齢者がデイサービスに行くことを拒否してしまうと、家族は困ってしまうことが多いと思います。
日中、仕事などの用事で家に居られないという事情があればなおさらです。
そこで、この記事では、デイサービスに行くことを拒否する要介護者への対策を詳しく解説していきます。
拒否する理由がわからず困るばかり…
デイサービスに行きたくないと高齢者が拒否する例は、少なくありません。筆者が関わった介護家族で以下のような事例がありました。
【事例】Aさん(50代・男性)
Aさんは、要介護1の実父(90歳)と同居しており、毎朝、実父がデイサービスに行くのを拒否することに困っていました。
デイサービスには週3回通っていますが「とにかく行きたくない」の一点張りで、デイサービスのスタッフが来ても、家を出るのに一苦労。スタッフにも申し訳ないし、何か対策できないかと悩むAさんなのでした。
デイサービスを拒否する方は、ときどきいます。原因は人それぞれなので、まずはその方が行きたくない理由を知ることが大切です。考えられる理由とその対策を次の項目で見ていきましょう。
拒否する理由に沿った対策を
まずは、デイサービスに行きたくない理由を知り、それに沿った対策を考えることが必要です。よくある拒否の理由と家族ができる対策を紹介していきます。
➀ほかの利用者と合わない
デイサービスに通うとなると、長い時間ほかの利用者とも過ごすので、相性は重要です。
特に関わらない場合でも「あの人がなんとなく苦手」という人がいたら、行くことも億劫になってしまうかもしれません。
本人の言動から、「デイサービスに行きたくないのはほかの利用者が苦手だから」という背景が見えたら、それに合った対策をしましょう。
苦手意識の強さによっても対策は違ってきますが、基本的には以下のような対応がおすすめです。
上記のような対応をしてもらえない場合は、思い切ってデイサービスを変えてみるのも良いかもしれません。
➁自由がなく居心地が良くない
デイサービスによっては、自由度が低いために居心地が良くないと感じることもあります。自立度が高い要介護者が「自由が少ない」と感じているのだとしたら、デイサービスの雰囲気と合っていない可能性が高いです。
デイサービスは、場所によって特色に違いがあります。最近では一部分に特化し、専門性が高いデイサービスも増えています。
例えば、以下のような特色を持ったデイサービスがあります。
- リハビリ特化型
- 趣味特化型
- 認知症対応型
- 小規模デイ(地域密着型通所介護)
自立度が高く活発な方は、レクリエーションの充実した趣味特化型やリハビリ特化型のデイサービスを選択するのがおすすめです。
逆に人見知りなど、少人数で居たほうが落ち着くという方は、小規模デイと相性が良いかもしれません。
ほかにも、楽しく通えるような取り組みを行っているところもあります。
- 食事に力を入れ、メニューも豊富に用意している
- レクリエーション機器が豊富であったり、内容が充実している
- 温泉水を使ったバスルームがある
上記のように、「何を求めるか」で選択すべきデイサービスが違ってきます。
本人の性格や特徴を踏まえ、どんなデイサービスが合っているかを考え直してみるのも対応策のひとつでしょう。
➂本人のプライドが高い
自立度が高く、介護サービスに頼るということを受け入れられない方もいます。
特にほかの利用者の介護度が高い場合、「自分はしっかりしているのに」と介護度が高い方と同じ場にいることを苦痛に感じてしまうこともあるかもしれません。
上記が理由でデイサービスに行くことを拒否する場合は、環境と合ってない可能性が高いため、➀➁のケースと同じような対策を取るのがおすすめです。
本人と同じ自立度レベルの利用者がいるデイサービスを選択したり、趣味友達ができそうな場所を選んだりするなど、本人が気兼ねなく通える工夫をしましょう。
➃スタッフと合わない
デイサービスのスタッフと相性が悪い場合もあります。
一部のスタッフのみ苦手ということであれば通い続ける選択肢もありますが、複数いる場合はそのデイサービスの雰囲気自体が合っていない可能性が高いです。その場合は、デイサービスの変更を検討することをおすすめします。
ケアマネに相談しながら、家族自身も本人に合いそうなデイサービスをリサーチしてみてはいかがでしょうか?
リサーチは、近隣のデイサービスをネット検索して、そこから公式HPを確認してみてください。
また、最近ではSNSやブログで活動内容を発信しているデイサービスも増えているため、デイサービスで過ごす姿をイメージしやすいかもしれません。
改善が難しそうであれば違う介護サービスを検討
通う曜日を変えたり、本人に合ったデイサービスに変更してみたりの対応をしてみても、どうしても行きたがらない場合もあると思います。
家から出ることや人との関わりが苦手な場合、無理にデイサービスに通ってもらうのは大変です。そのような場合は、デイサービスではなく訪問介護サービスを利用するという選択肢もあります。
訪問介護サービスは、同居家族がいても利用できる場合が多いです。
ただし、介護保険内で訪問介護サービスを受けられる時間は決まっています。それ以外の時間にサービスを利用したい場合は、保険外サービスを利用することになるので注意してください。
筆者の過去関わった方のなかには、要介護者のデイサービスへの拒否で訪問介護に切り替えた方がいました。
家族は、デイサービスを辞めたことで仕事に行けなくなり生活ができなくなる不安を抱えていましたが、機転を利かせ訪問介護サービスを利用しながら在宅ワークに仕事を切り替えたのです。
在宅ワークに切り替えたことで融通が利く生活になり、結果的に、介護家族と要介護者の両者が心にゆとりを持ちながら現在、充実した生活を送れているそうです。
このように、変化を恐れず思い切って行動してみた結果、うまくいくこともあります。
「デイサービスになにがなんでも行ってもらわなければ!」という考え方から、視野を広げると思いもよらない解決策に出会えるかもしれません。
本人に合った介護サービスを探そう
介護サービスのなかで、何が合うかは人それぞれ違います。
拒否が強い場合、利用している介護サービスが合っていない可能性もあります。本人の言葉の端々から出る本音を拾い、介護サービスに「何を求めているか」を見極めることも大切です。
充実した時間を過ごせるデイサービスを探してみたり、訪問介護サービスを上手く利用したりして本人と家族が納得する形にできたら理想的です。
両者の心の負担を軽減させる意味でも、適切な介護サービスの選択をしましょう。