「要介護になるとおむつか支給されるって聞いたことがあるけど、どんな人が対象なの?」
「要介護者のおむつ券はずっと支給されるの?」
このような疑問を抱いたことはないでしょうか。
この記事では、要介護者に対するおむつの支給制度についてわかりやすく解説していきます。
在宅介護をする場合、おむつ代は日々の積み重ねで家計を圧迫することがあると思います。そんなとき、おむつ支給制度を知っていることで、在宅介護の味方になってくれるかもしれません。正しく制度を理解していきましょう。
自治体からのおむつ支給制度
おむつだけでなく、介護用品の支給事業は、地域支援事業の任意事業として位置づけられています。
この事業は自治体によって異なりますが、多くの自治体でおむつ代の支給(おむつ券など)を実施しています。
対象者は自治体によってさまざまであり、ホームページなどをチェックする必要があります。
支給される条件、新規申込者の要件
支給の条件は自治体によって異なります。
厚労省からの2020年11月9日の事務連絡では、以下の要件が示されました。
任意事業における介護用品の支給に係る事業の取扱いについて【支給要件】(1)本人課税(第6~9段階)の新規・既存利用者については、対象外。
本人非課税・世帯員課税(4~5段階)の新規・既存利用者の支給上限は年間6万円。
(2)新規利用者については、高齢者の個別の状態を踏まえて必要性を個別判断することとする。ただし要介護4以上であれば、以下の方法によらず、支給の対象となる場合もある。
①要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ。
※例外的な取扱いとして、認定調査票の「ズボン等の着脱」等の項目の「特記事項」を踏まえ、別途必要性が認められる者についても対象となる。
②要介護認定を受けていない者からの申請や、申請時点で要介護認定時の状態から変化している場合は、市町村職員が認定調査と同様の方法で必要性を確認する。確認に際しては、ケアマネジャーや地域包括支援センター職員に依頼することも可能とする。
対象市町村は、平成26年度に当該事業を実施している市町村であって、第7期介護保険事業計画期間中に当該事業を実施している市町村に限る。
この通知の要点をまとめると、ポイントは以下の3つになります。
- 新規申込者の要件としては、すでに事業を実施している市町村とする
- 本人が課税されている場合は対象外。世帯員が課税されている場合は支給上限あり
- 多くの介護を要する場合でなければ支給されないこともある
おむつ支給の制度の申請方法
おむつ支給の制度の申請方法も自治体によって異なりますが、似ている点も多いため、大阪府大阪市と東京都世田谷区を例に解説します。
大阪府大阪市
介護が必要な高齢者を介護するご家族に、介護用品と引き換えることができる給付券を交付。
- 介護用品支給申請書・同意書
- 要介護高齢者の介護保険被保険者証
- 介護保険認定調査票の写し(要介護3の方のみ)
東京都世田谷区
自治体の制度を有効活用して在宅介護をサポートしてもらおう!
このような事業は、種類によって財源が異なります。
地域支援事業の任意事業の財源の内訳は以下のとおりです。
- 国(38.5%)
- 都道府県(19.25%)
- 市町村(19.25%)
- 1号被保険者保険料(23%)
資金の一部を国や都道府県が負担していることがわかります。
しかし、このような事業は今後も継続するということは保証されていません。
2020年11月9日に厚生労働省は、地域支援事業の任意事業として実施されてきた『おむつなど介護用品の支給事業』を2024年3月末まで延長するという事務連絡をしました。
ひとまず2024年3月末までは延長されることが決まっていますが、その後はさまざまな可能性があることも理解しておく必要があります。
【パターン①】
2024年4月以降も地域支援事業の任意事業として実施
【パターン②】
2024年4月以降は市町村特別給付に変わる
【パターン③】
2024年4月以降は保健福祉事業に変わる
パターン①とパターン②・③の違いは財源です。
パターン①は、国や都道府県が一部を負担してくれますが、パターン②・③は1号被保険者保険料100%の財源となり、その市町村の保険料を引き上げることにつながります。
今後の政策にも注目していかなければいけませんね。
今回は在宅介護で役立つ、自治体からおむつが支給されるサービスを紹介させていただきました。おむつ支給の制度や申請方法、支給される条件など把握することができたでしょうか。
おむつの支給制度は自治体ごとに申請方法や対象者、対象商品などが異なります。
おむつ代は在宅介護をするうえで、大きな負担になることも多いです。経済的負担を少しでも軽減させて、できる限り長い間住み慣れた在宅生活が送れるように制度を活用しましょう。