「自分が生きている時間を使って、どうやったら他人を大切にできるか、良いインパクトを与えられるかを常に考えています。それは、自分の良いところだと自信を持って言えます」1998年生まれ、NY出身のアーティスト、Kona Roseは笑いながらそう語る。
本当の自分を否定してまで「なりたい自分」を目指すことには疲れた
1歳の頃に父を亡くし、母と共にNY、パリ、LAと土地を変えながら生活してきたKonaは4歳の頃から、東京で生活することになった。「私にブラックのカルチャーを教えるのは無理だけど、日本のカルチャーなら教えられる」そう考えた母に連れられて、日本人の家族と10年ほど生活を共にした。
![日本とLAの2拠点で活躍するシンガーソングライター・Kona Roseが語るセルフラブの力](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FNeutMagazine%252F4f%252FNeutMagazine_2023_11_21_67181%252FNeutMagazine_2023_11_21_67181_2.jpg,quality=70,type=jpg)
東京で暮らし始めて7年ほどたった頃、Konaは「アメリカに帰りたい」「日本を出たい」と母に言うようになった。「日本にいた最後の3年間くらいは、アメリカに帰りたいと思っていました。そのときにはもう気づいていたんですよね。日本にいて頭の中に浮かぶ『なりたい自分』は、自分が生まれ持ったものを否定するような像ばかりだということに。自分を受け入れずに周りの目を気にして、夏の間も太ももを隠すためにロングジーンズを履く自分に疲れたんです。どう頑張ったって、本当の自分じゃないように感じて、逃げたくなっていました」
日本では1種類だった「美しい」が、LAでは何種類もあった
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中学校を卒業し15歳を迎える年、Konaは再びアメリカに戻ることになった。母と共に、父の実家があるLAに移住した。
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LAに渡ったのとほぼ同時期に、Konaにはもう一つ大きな変化があった。音楽活動を始めたのだ。幼い頃からずっと音楽を仕事にするのが夢だったというKonaは、シンガーとしてステージに立ち始めた。「私は、3歳くらいからずっと音楽がやりたいと言っていました。ロックスターになるとか、ビヨンセになるとかずっと言っていたので、周りの人はみんな知っていました。それで、LAに引っ越してからは学校のフットボールの試合時に代表として国歌斉唱をしたり、日本でもブルース・アレイ・ジャパンというライブハウスの企画に呼んでいただいてパフォーマンスをするようになりました」
自分には音楽よりも気持ちを伝えられるものはない
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LAで高校を卒業した後、いくつかの大学で音楽を学ぶショートプログラムにも参加した。思春期を日本で過ごし、苦しい経験をしてきたなかでも、音楽への情熱は冷めなかったという。
Konaは、英語と日本語を自由自在に行き来しながら、歌詞に今思っていることを素直に乗せて伝えようとしている。たとえば、2023年8月にリリースされた「Like Whaaaaaat」はこんな気持ちが込められた曲だ。「細かいことは気にしないで、とにかく解放!縛られている概念や考え方を投げ捨てて、楽しくいこうというメッセージを込めました。特に日本で暮らす女性は、体型はこれが綺麗とか洋服はこれでなきゃいけないって強く感じていると思います。私も、日本に帰ってきたとき、LAで着ていたピチピチの派手な洋服は着れないって一瞬思ってしまったんですよね。でも、そういうのを全部取り払いたい。1度自信満々な自分になれたとしても、社会のなかで生きていると本当に自分を守るためには常に戦い続けないといけない。だから、そうやって戦っている人の力になるような曲を作りたいなと思って作りました」
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自分を信じることの大切さを今の私なら歌える
そして、12月12日にもEP「Matsuri」がリリースされた。Konaがこれまでの経験を通して感じる、自分を信じることの大切さが歌われている。「自分を信じる力を祝うための曲です。自分を信じることやセルフラブは、ずっとやりたかったテーマです。でも、私自身も前は自分を否定していたからこのテーマを扱うことを恐れていました。今なら、そのときに比べたら成長して、セルフラブの器が大きくなったので、できるかなと思いました。サウンドは、エネルギッシュで動きの多い東京をイメージしています。3年前くらいから作り始めた曲なのですが、歌詞は英語と日本語を混ぜたいと最初から思っていました。ミックスであるという私のアイデンティティも表したプロジェクトです」
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現在Konaは、再び東京に拠点を移し、LAと日本を行き来しながら活動中だ。CMやライブなど活動の場を広げている。最後に今後の目標を聞いてみるとこんな答えが返ってきた。「お仕事だけに限って言うと、アルバムを作りたいです。あとは、自分のライブツアーを企画してやってみたいです。仕事だけではなくて広い範囲で言うと、もっと人を愛せる人になりたい。頑張って自分を愛せるようになったら、人をもっと愛せるだろうと思っていたのですが、全くそんなことなくて……。愛にはいろいろな形があるし、いろいろな表現があるから、まだまだだなと思っています。でも私がもっと愛を伝えられるようになれば、より多くの人が自分自身を愛せるようにもなるかもしれません。自分がハッピーでいれば、周りの人もきっと影響を受けるから。自分を信じられずにやりたいことができていない人たちにも、私の作品を通して自分を愛する手助けができたらうれしいなと思います」
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Kona Rose
シンガーソングライター。1998年、NYマンハッタン生まれ。4歳から日本で過ごした後、15歳の頃から作詞をはじめ、高校入学を機にLAに移住。その後、NY大学やロンドンの音楽学校で音楽について学び、日本とアメリカのライブハウスで経験を積む。現在は、東京とLAを拠点に活動。NIZIUやTWICEなどのアーティストへの楽曲提供にも携わる。