体質や気分に合わせた自由な飲み方「スマートドリンキング」を推進するスマドリ株式会社は、飲む人も飲まない人も、自分らしく乾杯できる店舗「SUMADORI Meets(スマドリミーツ)」を2026年4月3日にオープン。
そして、2026年5月13日から5月31日までの期間、同社と跡見学園女子大学・中西ゼミの学生らが企画・立案した「タイムトラベル展 ~一杯から始まる、時代の旅~」が開催されます。
会期前日に行われたメディア発表会では、跡見学園女子大学の学生がプロデュースする体験型イベントの企画背景や目的、展示内容の詳細が発表されました。
若い世代の飲み方の価値観が大きく変わっている
冒頭では、スマドリ株式会社 取締役の元田 済氏が登壇し、今回の体験型展示イベントの開催背景を説明しました。
2022年6月に渋谷センター街で「SUMADORI Meets」をオープンし、産官学が共創して“飲み方の多様性”を尊重し合える社会の実現に取り組む「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」が立ち上がりました。
その後、スマートドリンキングや適正飲酒のあり方について考え、社会実装する活動を続けていくなかで、「若い世代の飲み方の価値観が大きく変わっている」と実感しているといいます。
「飲む・飲まないの二択ではなく、自分にとって心地よい選択をする。そんな考え方が、自然に広がってきていると感じています。そして、2026年4月にオープンした『SUMADORI Meets』では、若い世代の方々が考えたことを社会実装していく場として位置づけ、今回のタイムトラベル展はその第一弾となる取り組みです」(元田氏)
大学生自身の視点で、「これまで」と「これから」の飲み方を見つめ直す。
一人ひとりが自分らしい飲み方を考えるきっかけとなり、スマートドリンキングという考え方が広がっていく。
本企画を通して、「渋谷から新しいドリンクカルチャーが生まれていくことを期待している」と元田氏は話しました。
渋谷から全国の自治体へ広がる「スマートドリンキング」
続いて、一般社団法人 渋谷未来デザイン 理事・事務局長の長田 新子氏、渋谷区副区長の松澤 香氏が加わり、「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」の取り組みの現在地と今後の目標について語るトークセッションが行われました。
このプロジェクトの発端は、飲む人と飲まない人が自然に共存できる場が少なく、さらにはコロナ禍を経て人々の飲み方そのものが大きく変わったことにあります。
こうしたなか、昨年には20~39歳を対象に飲酒に関するインターネット調査を実施。
全国平均と渋谷エリアでどのような違いがあるのかを見比べたところ、「お酒は無理して飲むものではない」という意識は全国平均で69.6%に上り、飲酒に対する価値観が大きく変化してきていることが分かりました。
また、「スマートドリンキング」という考え方の認知率は全国で約50%、20~30代では約60%に達するなど、若い世代を中心に浸透してきています。
特に渋谷エリアではその傾向がさらに顕著で、「お酒は無理して飲むものではない」という回答は75.8%と、全国平均より高い結果に。
「ノンアルコール飲料や微アルコール飲料を積極的に選んでいる」という回答も、渋谷では45.6%と全国平均を大きく上回っているとのこと。
この調査結果に対して、元田氏は「渋谷エリアの飲食店でノンアル・微アルの選択肢が増えていることに加え、普段の飲み会でもノンアルや微アルの選択肢が自然に受け入れられていることが大きい」と考察しました。
「特に渋谷エリアで特徴的だったのは、『飲み会という場そのものが好き』という回答が全国平均より高かった点です。お酒を飲むことそのものよりも、人と集まる場やそこでの交流を大切にする価値観へシフトしていることが、今回の調査から見えてきたと思います」
この活動をサポートする渋谷区副区長の松澤氏は、本プロジェクトの意義について次のように説明しました。
「渋谷区は『ちがいを ちからに 変える街。渋谷区』という理念を掲げ、ダイバーシティ&インクルージョンを基本構想の大きな柱としています。飲む人も飲まない人も、同じ場所でそれぞれのスタイルを楽しめることは、まさにこの理念を体現する重要なテーマだと感じています。
飲み会の過ごし方にもさまざまな選択肢があり、その多様性を尊重し、誰もが心地よく参加できる場をつくる。それこそが本プロジェクトの価値であり、渋谷区の目指す姿にも通じるものだと考えています」(松澤氏)
渋谷を起点として取り組みが始まり、今では全国へ広がっていることについて、「渋谷が新しいカルチャーやトレンドを生み出す街だからこそ、このような形で発展してきた」と元田氏は述べました。
「渋谷は多様性を受け入れる土壌があり、その点が大きな追い風になりました。また、渋谷未来デザインや渋谷区の後援も活動を前に進める原動力だったと感じています。
この取り組みは少しずつ広がりを見せ、今年2月には松本市でもスマートドリンキングプロジェクトが立ち上がるなど、他の自治体へ波及し始めています」
一方で、渋谷区は最先端のカルチャーが生まれる街であると同時に、新しい社会課題にも直面する街です。
区役所として街をより良くし、渋谷を訪れる来街者や地元住民、さらには渋谷に関わる全ての人々のウェルビーイング向上を目指しているものの、「行政だけで全ての課題を解決できるわけではない」と松澤氏は話します。
だからこそ、産官学の連携体制は非常に心強く、課題解決のためには不可欠だと松澤氏は強調しました。
現在、渋谷スマートドリンキングプロジェクトは渋谷区内の実践女子大学、國學院大學、青山学院大学と連携しており、さらにはこの活動が全国の大学にも広がりつつあります。
そんななか、学生のアイデアを社会実装していくうえで、「若い世代の視点や感覚」を大切にしているといいます。
適正飲酒というテーマは、どうしても堅苦しく捉えられがちです。それを「自分らしい飲み方」や「体験展示」のような形で変換し、学生の自由なアイデアや感性をできるだけ損なわないようにする。
こうした意識を大事にしながら、プロジェクトに取り組んでいると元田氏は説明しました。
今後は、SUMADORI Meetsを体験拠点にしつつ、大学生と一緒に企画するイベントを開催するなど、「スマートドリンキングを日常に取り入れ、自分らしい飲み方を楽しむ機会」をもっと増やしていくそうです。
松澤氏は、「渋谷は、どんな人が来ても楽しめる“おもちゃ箱”のような街。
本プロジェクトは産官学連携がうまく機能しているため、今後も積極的に後押ししていきたい」と抱負を語りました。
「自分だったらどう楽しむか」を問い直す体験型展示
その後、タイムトラベル展を企画した跡見学園女子大学・中西ゼミの学生たちが登壇し、体験展示の説明を行いました。
Z世代を中心に、「自分に合った飲み方を探したい」というニーズが高まっている一方で、従来の飲酒文化や知識に対して距離感や戸惑いを感じている人も少なくありません。
このような課題に対して、新しい価値観を押し付けるのではなく、自然と意識が広がっていくような体験を作りたい。
そのような想いが、今回の企画の出発点となりました。
展示では「Meet the History」と題し、古代から中世、大航海時代、江戸時代、禁酒法時代、スマドリ時代までの6つの時代を旅しながら、「人々とお酒の関わりを追体験できる」のが特徴となっています。
お酒を「飲む・飲まない」だけではなく、「自分だったらどう楽しむか」という視点を意識しながら企画を立案し、細部までこだわった世界観やイラスト、動画作成、カクテルづくりに至るまで全てゼミの学生たちが担当しました。
6つの時代を巡りながら、タイムトラベルのように旅をしていく。
時代ごとに異なる価値観を体験することで、「お酒との関わり方は一つではなく変化してきたもの」というメッセージを伝えるように意識したそうです。
お酒は時代とともに、その楽しみ方や意味合いを変えながら存在してきたからこそ、今の「当たり前」は絶対的なものではなく、常に変化し続けるものだと捉えることができるわけです。
「タイムトラベル展では、スマートドリンキングを単なる“飲み方”としてではなく、自分に合った飲み方を選べる“自由と柔軟性”として捉え直すことを目的としています。
大切なのは『飲むか・飲まないか』の二択ではなく、『お酒とどう向き合うか』を一人ひとりが自由に選べることだと考えています」(跡見学園女子大学 学生)
また、カクテル制作で重視したのは味だけではなく、グラスの形状や色合い、質感といった“五感”を通じた没入感も大切にしているとのこと。
実際に手に取って味わうことで、「この時代の人たちは、どんな気持ちでお酒を楽しんでいたのか?」と想像を膨らませるきっかけにもなっています。
このように、企画全体を通してスマートドリンキングを単なる知識や啓発で終わらせず、一人ひとりが「自分はお酒とどう関わりたいのか」を考え、その選択肢を自身の価値観として持ち帰ることを目指したそうです。
学生のコンセプトメイキングや、伝えたいメッセージがしっかりと企画へ昇華された、非常にクオリティの高さを感じる体験型展示だと感じました。
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