昨今、世界的に大きな関心を集めているサーフィンに特化したウェーブプール。初心者から上級者まで最高のサーフ体験ができるというその施設は日本にも展開が始まっている。

今回は完成間近の本格的なウェーブプール「サーフスタジアム」を取材。サーフィンがレジャーとしてさらに多くの人に楽しまれる未来が、そこから見えてきた。

 


海の目の前に立つ人工波、新しいサーフィンの在り方

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サーフィンの醍醐味は波、自然と一体になれることだとサーファーは言う。だが、自力で海に漕ぎ出て、サーフボードを操り波に乗ることは簡単ではない。さらには波に乗る順番など、わかりにくい暗黙のルールやマナーもあるため、面白さにたどりつけず挫折する人も少なくない。

たとえ長年海に通ったとしても、ひとつとして同じ波はないため上達が遅い……など、サーフィンを楽しめるようになるまでのハードルは思いのほか高い。

「このプールでは、造波コンソールのキーボードで音楽を演奏するかのようにさまざまな種類の波を生み出せる。上級者に向けた大きめの波も初心者向けの小さな波も作れるうえ、水中に危険な装置もなく安全。

良く管理された環境のもと、誰でも安心してサーフィンの練習ができます」と話すのはサーフスタジアムジャパンの社長、安達俊彦さん。冒頭に記したサーフィンにまつわる多くの悩みを解決に導く、夢のようなレジャー施設がウェーブプールだという。

今夏オープンの「静波サーフスタジアム」を取材!波乗りを身近にするウェーブプールの価値
[左]ジャックオーシャンスポーツ 店長 長倉廣和さん Age 54●静岡県生まれ。プロサーファーとして活躍後、長年にわたりここ静波のサーフシーンの発展に尽力してきた。今回は地元サーフショップの立場から、サーフスタジアムへアドバイスをしている。 [右]サーフスタジアムジャパン社長 安達俊彦さん Age 66●東京都生まれ。大手航空会社勤務を経て現職に就任。前職から得意とする事業開発の手腕を活かして日本独自の開発チームを編成し、世界最高峰のウェーブプールを完成。サーフィンは未経験で、このプールで始める予定。

「サーフィンはパドリングをしている時間が全体の8割以上を占めるといいます。でもウェーブプールにおいては100%ライディングに集中できる。

海でなかなか自分の波が掴めない人でも上達しやすいんです」。

続けて地元サーフショップ、ジャックオーシャンスポーツの長倉廣和さんは中級者以上のサーファーに向けてこう話す。

今夏オープンの「静波サーフスタジアム」を取材!波乗りを身近にするウェーブプールの価値
サーフスタジアムがある静波海岸は関東、関西の双方からアクセスしやすい。昔から多くのサーファーが集まる人気のサーフエリアに極上の波が立つ新たなスポットが誕生した。

「空中に飛び出す技、エアリアルに最適な波もあります。必ず飛べる波を安定して作れるので、海では難しくても、ここなら反復練習ができます。コーチングもしやすいので、選手の育成にも最適な施設です」。

サーフィンはテクニックの上達も大きな楽しみだが、いい波に乗ることが神髄である。

サーフスタジアムでは、きっと誰もが憧れるであろうチューブライディングも夢じゃない。

今夏オープンの「静波サーフスタジアム」を取材!波乗りを身近にするウェーブプールの価値
プールには井戸水を使用。最新型の砂式ろ過装置を採用して水質対策も万全だ。周囲への環境負荷を考え、プール全体を白色に統一。水は自然の色で、天気により色彩が変わる。

「海におけるチューブに入れるような波は、テイクオフや波が巻くタイミングに合わせることが難しい。でもウェーブプールではテイクオフが簡単で、かつターンをひとつするだけで入れる『どうぞ入ってください!』というイージーなチューブを作れるので、あまり技量がなくてもメイクできるんです」と長倉さん。

今夏オープンの「静波サーフスタジアム」を取材!波乗りを身近にするウェーブプールの価値
同じ造波装置を使用したアメリカ・テキサス州のウェーブプール「BSRサーフリゾート」でのライディング。一般利用のほかにもトップサーファーのトレーニング施設、大会などサーフエンタテインメントの会場、学校の課外授業の実習場所などウェーブプールはさまざまな可能性を秘めている。

施設内にはテイクアウト可能なレストランがあり、波に乗らずともプールサイドでくつろぐだけでもいい。プールの外周、オレンジ色のラインの外はラグーンになっていて、子供の水遊びに最適だ。

海でサーフィンをしたいと思えば、スポットはすぐ目の前に古くからサーフィンが根付く静波海岸がある。

プールで遊んだあと、リアルな海でもすぐにテクニックを試すことができるというのもメリットなのである。

ここから、サーフィンは新しい楽しみ方を手に入れ、より多くの人に迎え入れられるレジャーに進化する。

静波サーフスタジアム@PerfectSwell
今夏オープンの予定のウェーブプール施設。造波装置はアメリカン・ウェーブマシン社の「パーフェクト・スウェル240型」を採用。さらに日本のプール造成技術の粋を集めた構造により、乱流の影響を受けないパーフェクトな波を生み出せる。サーフセッションの料金は1時間5000円からを予定。

予約方法などは随時更新予定なので、HPをチェック。

住所:静岡県牧之原市静波2315-6
www.surfstadium-japan.co.jp

PEDRO GOMES、熊野淳司、高橋賢勇、清水健吾、鈴木泰之、柏田テツヲ=写真 小山内 隆、高橋 淳、大関祐詞=編集・文 加瀬友重、菅 明美=文