昨今、世界的に大きな関心を集めているサーフィンに特化したウェーブプール。初心者から上級者まで最高のサーフ体験ができるというその施設は日本にも展開が始まっている。
今回は完成間近の本格的なウェーブプール「サーフスタジアム」を取材。サーフィンがレジャーとしてさらに多くの人に楽しまれる未来が、そこから見えてきた。
海の目の前に立つ人工波、新しいサーフィンの在り方
サーフィンの醍醐味は波、自然と一体になれることだとサーファーは言う。だが、自力で海に漕ぎ出て、サーフボードを操り波に乗ることは簡単ではない。さらには波に乗る順番など、わかりにくい暗黙のルールやマナーもあるため、面白さにたどりつけず挫折する人も少なくない。
たとえ長年海に通ったとしても、ひとつとして同じ波はないため上達が遅い……など、サーフィンを楽しめるようになるまでのハードルは思いのほか高い。
「このプールでは、造波コンソールのキーボードで音楽を演奏するかのようにさまざまな種類の波を生み出せる。上級者に向けた大きめの波も初心者向けの小さな波も作れるうえ、水中に危険な装置もなく安全。
良く管理された環境のもと、誰でも安心してサーフィンの練習ができます」と話すのはサーフスタジアムジャパンの社長、安達俊彦さん。冒頭に記したサーフィンにまつわる多くの悩みを解決に導く、夢のようなレジャー施設がウェーブプールだという。
「サーフィンはパドリングをしている時間が全体の8割以上を占めるといいます。でもウェーブプールにおいては100%ライディングに集中できる。
続けて地元サーフショップ、ジャックオーシャンスポーツの長倉廣和さんは中級者以上のサーファーに向けてこう話す。
「空中に飛び出す技、エアリアルに最適な波もあります。必ず飛べる波を安定して作れるので、海では難しくても、ここなら反復練習ができます。コーチングもしやすいので、選手の育成にも最適な施設です」。
サーフィンはテクニックの上達も大きな楽しみだが、いい波に乗ることが神髄である。
「海におけるチューブに入れるような波は、テイクオフや波が巻くタイミングに合わせることが難しい。でもウェーブプールではテイクオフが簡単で、かつターンをひとつするだけで入れる『どうぞ入ってください!』というイージーなチューブを作れるので、あまり技量がなくてもメイクできるんです」と長倉さん。
施設内にはテイクアウト可能なレストランがあり、波に乗らずともプールサイドでくつろぐだけでもいい。プールの外周、オレンジ色のラインの外はラグーンになっていて、子供の水遊びに最適だ。
海でサーフィンをしたいと思えば、スポットはすぐ目の前に古くからサーフィンが根付く静波海岸がある。
ここから、サーフィンは新しい楽しみ方を手に入れ、より多くの人に迎え入れられるレジャーに進化する。
静波サーフスタジアム@PerfectSwell
今夏オープンの予定のウェーブプール施設。造波装置はアメリカン・ウェーブマシン社の「パーフェクト・スウェル240型」を採用。さらに日本のプール造成技術の粋を集めた構造により、乱流の影響を受けないパーフェクトな波を生み出せる。サーフセッションの料金は1時間5000円からを予定。
住所:静岡県牧之原市静波2315-6
www.surfstadium-japan.co.jp
PEDRO GOMES、熊野淳司、高橋賢勇、清水健吾、鈴木泰之、柏田テツヲ=写真 小山内 隆、高橋 淳、大関祐詞=編集・文 加瀬友重、菅 明美=文