紘向さんは高校入学前の春休みを利用して家族で沖縄を訪れた。ミーバイなど地元福岡の海では見られない魚に魅了され、来る度にいとこたちと釣りを楽しんでいるという。昨年夏に釣り場で仲良くなった沖縄の高校生から「サメが釣れる」と教わり、今回は漫湖を選んだ。
4日間の滞在中、父親の友樹さん(46)と毎日通うも3日連続の「ボウズ」。へこんでいたところ、最終日に大物をたぐり寄せた。
午前8時半、15センチのボラを餌にスタートした。1投目から15分後。最初は根掛かりと思った引きはどんどん強まり「ただ物じゃない」と確信した。激しい抵抗で釣り糸が切れないよう、汗だくになってさおを握り続けた。小雨の中、格闘は1時間も続いた。にょろにょろ動く細長い生き物が水面に現れた。
オナガウツボは世界最長のウツボとして知られ、西インド洋から西太平洋に広く分布する。名前の通り尾が長く、海外の文献では全長4メートルとの記述もあるという。豊見城市の漫湖水鳥・湿地センター職員が2011年に標本にした個体は全長1・3メートルだった。
「存在は知っていたが、まさか自分で釣る日が来るとは思わなかった」と紘向さん。見たことのない魚に出合える沖縄がもっと好きになった。
巻き尺を持っておらず、ウツボも弱っていたため、すぐに放した。体長は2・4メートルの愛用のさおをゆうに超えたが、実測できなかったのが心残り。それでも「中学生最後の思い出になった」と喜ぶ。
夢は生物学者。「好きな分野を広げ、探求したい。新種も見つけたい」と将来を思い描いた。
■都会すぐそばにまだ謎ありそう
沖縄科学技術大学院大学海洋生態進化発生生物学ユニットの前田健研究員の話 オナガウツボは汽水域に住むウツボの仲間だが、見かける機会は多くない。サイズが大きくても水面にはあまり姿を見せず、目立たないのでどの程度の個体数が生息しているのか、どのように生活しているのかもあまり分かっていない。漫湖は多くの人が暮らす都会のすぐそばだが、まだ知られていないこともたくさんありそうだ。

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