「ラテ神」100回記を記念した番組の公開収録に県内ラジオ3局の人気番組が集結した=3月29日、那覇市・琉球放送

 ラジオの面白さは、なぜテレビで成立するのか。
 琉球放送(RBC)で毎週金曜深夜に放送中の番組「ラジオの神回テレビで語る(ラテ神)」は、音だけのメディアであるラジオを“見せる”ことで、その魅力を発信してきた。
4月24日に放送100回を迎える番組は、何を実現したのか。ラジオコラムニストやきそばかおるさんに聞いた。
 ラテ神は、ラジオ番組の特に面白かった回(神回)をテレビで紹介するユニークな試みだ。ラジオとテレビの両方を持つ“ラテ局”の強みを生かし、飯島將太プロデューサーを中心に立ち上げられた。ラジオは本来、音声と想像力によって成立するメディアだ。それをテレビで扱うということは「面白さを別の言語に置き換える」作業に近い。
 北海道から沖縄までのラジオ番組を幅広く取材してきたラジオコラムニストのやきそばかおるさんは、「『ラテ神』は番組紹介を超えて、ラジオ文化そのものを可視化し、新たな聴取者層の開拓に成功している革新的な番組だ」と評価する。(社会部・真栄里泰球) 
「ラテ神」の2代目MCを務める琉球放送の沖野綾亜アナウンサー
―「ラテ神」100回の継続をどう見ますか。
やきそばかおる 「ラテ局なのに強みを生かしていない」という悩みは、全国の放送局が共有している課題です。その中で、ラジオの面白さをテレビで伝えるという発想自体がまず画期的です。
ただし成立させるには、ラジオ番組そのもの、パーソナリティ、リスナーからのメール、さらにテレビ的編集のすべてが面白くないといけない。どこか一つでも弱いと成立しません。
フォーマットを作るのは相当大変だったはずです。
―沖縄のラジオ局の特徴は。
やきそばかおる パーソナリティ同士の関係性が非常に良い点です。互いの面白さをよく理解した上で引き出し合っている。その結果、楽しんでいる空気が番組を通して伝わります。
 「ラテ神」はラジオを普段聴かない人にも、その楽しさが届くのが強みです。しかし、毎週あのクオリティを維持するのは簡単ではありません。他県の放送関係者に紹介すると、「毎週放送したとしても、あのクオリティを保ち続けるのは難しい」と返ってくることが多い。それくらいハードルが高い番組です。
 琉球放送は自社制作番組が多く、アナウンサーやパーソナリティの力量が高いという前提があるから成立している部分も大きいです。
「ラテ神」の飯島將太プロデューサー
―沖縄のアナウンサーやパーソナリティの強みとは。
やきそばかおる 例えば嘉大雅アナウンサーは「何がどう面白いか」を言語化する力がある。
ラジオで起きている出来事やメールの面白さを的確に捉え、トークとして再構成できるんです。
 面白さに対して非常に貪欲で、それを表現する努力を惜しまない。これまでに何度か琉球放送を訪れたことがありますが、ラジオのフロアは常にどこかで笑いが起きている。お互いに関心を持ち、好きでいる関係性があるからこそ、その空気が番組にも反映されているのだと思います。
―テレビでラジオを紹介する意義は。
やきそばかおる ラジオはどうしても「知る人ぞ知る」で終わりがちです。番組を楽しんでいる人の外側にどう届けるかは長年の課題です。
 「ラテ神」はテレビの編集の力でその壁を越えようとしている。単なる番組紹介ではなく、面白さそのものを体験させる構造になっています。
 テロップやサイドスーパー、画面の切り替えなどが非常に細かく、ラジオ番組の世界観に自然に入っていける。「ラジオの取扱説明書」を見ているような分かりやすさがあります。
―沖縄のラジオ文化の特質は。

やきそばかおる 自社制作番組の多さに加え、生活との距離の近さです。車社会であることに加え、「親が聴いていたから自分も聴く」という形で習慣が継承されている。朝からラジオが流れている生活が根付いています。
 そしてリスナーからのメールのレベルが高い。日常の細かな出来事や地域の空気がよく見える内容が多く、それ自体が面白いコンテンツになっています。番組とリスナーの関係が非常に密接です。
 100回記念企画では複数局の番組を取り上げました。これからは「他局だから競う」という段階ではなく、ラジオ全体のパイをどう広げるかが重要です。3局合同の取り組みはその象徴で、とても意義があると思います。
ラジオコラムニストのやきそばかおるさん
―「ラテ神」の今後の役割は。
やきそばかおる ラジオ独特の文化、特にメール文化やパーソナリティ同士のやり取りの面白さを発見させる入口となり得ます。
 ただし内輪的になりすぎると、新しい視聴者を遠ざけてしまう。
そのバランスを取ることが今後も重要です。
 沖縄以外の人にも知られ、口コミで広がっていくことが理想です。日常会話の中にラジオが入り込むきっかけになっていると感じます。
「ラジオの神回テレビで語る」では、放送100回を記念し、4月24日から4週にわたって、琉球放送「ミュージックシャワー・プラス・プラス」、ラジオ沖縄「ティーサージパラダイス」、FM沖縄「ゴールデンアワー」の3番組の“神回”を放送局の垣根を越えて紹介する。
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RBC「ラジオの神回テレビで語る」放送100回へ ラジオはなぜ“テレビで面白くなる”のか? やきそばかおるさんに聞く
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