強盗殺人は刑法で最も重い犯罪の一つだ。そうした重罪の実行犯として少年4人が逮捕されたことに驚(きょう)愕(がく)する。
少年たちはなぜ犯行に加わったのか。動機や経緯の解明が急がれる。
 事件は14日午前、栃木県上三川町の住民の男性から「強盗が入り、家族がバールで殴られた」との110番通報で発覚した。
 男性の妻が死亡し、息子2人が負傷した。通報から約30分後に栃木県警が逮捕したのは神奈川県に住む高校生(16)だった。
 翌日、別の高校生(16)を逮捕。その次の日にも2人と、16歳の高校生計4人が相次いで逮捕された。
 現場からは刃物1本とバールが押収された。亡くなった妻には数十カ所もの刺し傷があったという。残忍な犯行に戦(せん)慄(りつ)を覚える。
 事件から3日後には指示役とみられる20代の夫婦も逮捕された。少年4人を合わせた6人は事件当日に初めて全員で顔を合わせたとみられており、警察は匿名・流動型犯罪グループ(匿流)が背後にいるとみて捜査している。

 現場付近では4月以降、不審な車やバイクが目撃されていた。事件の前には被害者の親族が怪しい車がいると通報。ナンバープレートが盗難品であることが分かり、県警は車内にいた茨城県の男(41)を逮捕している。
 一連の事件は今回と関係しているのか。事前に通報があっても防げなかったことを考えれば、警察の対応が適切だったのかの検証も必要だ。
 指示役の夫婦のさらに上位に指示役がいる可能性もあり徹底解明を望みたい。
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 匿流はSNSを利用して名前も知らない者同士がつながり犯行に及ぶ。
 2022~23年に東京など5都府県で相次いだ強盗事件で指示役は「ルフィ」と名乗り、フィリピンから日本の実行役に指示を出していた。
 SNS上の「闇バイト」に応じて集まる実行役の多くが20代以下の若者だ。今回さらに低年齢化しており一層深刻な事態と言える。
 少年の1人は被害者宅に押し入る際、無免許で運転している。「同学年の仲間に誘われた」との供述もあり、友人・知人関係を通じて実行役が集められた可能性もある。

 指示役の夫婦は携帯で逐次指示していたという。自らは手を汚さず若者を利用して犯罪を実行させていたとしたら悪質性は高い。
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 匿流は実態がつかみづらい。県内ではおととし、全国にまたがる「ヤミ金グループ」の拠点が発覚し、地域に衝撃を与えた。指示役の1人は昨年ベトナムで逮捕されたものの、全容解明には至っていない。
 栃木の事件でも、約1カ月前には被害者の親族が窃盗被害に遭っていた。県警が警戒を強めていた中での犯行であり、地域社会の不安は計り知れない。
 実行役の低年齢化も進んでいる。警察は首謀者の摘発も含め、若者たちに届くような啓発強化も急がなければならない。 
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