「Isolation」(’70)/John Lennon
孤立とは本人の意思とは無関係に時を選ばず訪れるものという場合と、自らが望んだ結果として迎え入れるものである場合もありますが、経験上、大切な人を失った時の喪失感においては時間の経過でどちらにもなり得ると捉えています。「Isolation」はアルバム『John Lennon/Plastic Ono Band』(邦題:ジョンの魂)に収録されたジョン・レノンの初のソロアルバムに収録された作品で、当時、ビートルズ解散後のジョンと妻ヨーコの置かれた状況から生まれた、ジョンの心理が綴られたものとして周知されていますが、喪失感を抱えた時に聴いてもじわじわと静かに沁みて、自身の心を深く掘り下げるのに打ってつけの曲。ジェフ・ベックとジョニー・デップのカヴァーも必見です。
「Home」(’07)/Foo Fighters
フーファイターズはロックのイメージが強いバンドですが「Home」に代表される美しいバラードも彼らの魅力。
「Hymn For The Weekend」(’15)/ Coldplay
先日の東京ドーム公演も大盛況だったColdplay。7作目のスタジオアルバムとしてリリースした『A Head Full Of Dreams』に収録された「Hymn For The Weekend」は、ゲストヴォーカルにビヨンセを招いて大ヒットしたバンドの代表作のひとつで、酷く落ち込んだ時、つらい時、天からやってくる天使に救われるというストーリーが描かれているのと中毒性のあるメロディーから、救いを求めて何十回とリピートして聴いてしまう曲です。インドのムンバイで撮影されたMVでは、煌びやかで美の化身のようなビヨンセとボリウッドのファッションアイコンであるソナム・カプールが登場する極彩色の世界が繰り広げられており、バンドが色とりどりに染め上げられていく映像美を堪能できます。
「It’s A Beautiful Day」(’95)/Queen
1995年11月6日、フレディ・マーキュリー亡き後、ブライアン・メイ、ジョン・ディーコン、ロジャー・テイラーが制作したアルバム『Made In Heaven』の1曲目を飾ったのが「It’s A Beautiful Day」。1980年にミュンヘンでのアルバム『ザ・ゲーム』のセッション時に、フレディが即興演奏したヴォーカルとピアノがベースとなり完成されたこの曲は、遺された素材で紡がれた曲なだけに3分に満たないとても短い作品です。しかしながら、聴く度にその先に続くはずだったストーリーを聴いてみたかったと思うこと自体が現実と向き合うことにつながり、想像力を駆り立てられます。沈んだ気持ちを一気に浮上させてくれる、フレディのパワフルで迷いない歌声に胸を打たれること必至です。
「Love Me」(’90)/BUCK-TICK
「喪失感」とは大切な人やものを失った時に抱く感情で、その人が大切に思うものがあるからこそ生まれてくるものであり、悲しみだけではなく、さまざまな気持ちが複雑に絡み合ったもの。「空虚感」とはぽっかりと穴が空いてしまったかのように虚しさを感じる心の状態を指し、自分の一部を失ったような感覚に襲われるとあり、失ったものが大切であればあるほど心に空いた穴は大きくなるそうです。
TEXT:早乙女‘dorami’ゆうこ
早乙女‘dorami’ゆうこ プロフィール:栃木県佐野市出身。音楽を軸にコンサート制作通訳、音楽プロモーション、海外情報リサーチ、アニメや人形劇の英語監修及び翻訳、音楽情報ウェブサイトにて執筆。