コロナ禍で劇場公開が見送られたディズニーピクサー作品が期間限定で劇場公開されている。3月29日から上映中の『あの夏のルカ』に続き、来週12日から『ソウルフル・ワールド』が公開。
監督を務めたピート・ドクターは、ピクサーの初期メンバーであり、現在のトップ(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)。今夏には新作『インサイド・ヘッド2』(8月1日公開)が控えている。奇想天外な設定と感動的な物語が一体となった傑作を生み出してきたピート・ドクターの代表作を紹介する。

■『ソウルフル・ワールド』

 2020年12月より動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」でされ、劇場未公開だった『ソウルフル・ワールド』。主人公はニューヨークでジャズ・ミュージシャンを夢見る音楽教師のジョー・ガードナー。ある日、憧れのジャズ・クラブで演奏するチャンスを手にするものの、運悪くマンホールに落下。
目が醒めると、“魂<ソウル>”の姿になっていた!?人間が誕生する前に、どんな性格や興味を持つかを決める世界に来てしまったジョーは、やりたいことがないソウルの女の子22番と出会い、奇跡の大冒険を繰り広げることになる。

 この奇想天外な物語は、ピート・ドクターが「23年の歳月をかけて製作した」「人生を経験してきた大人こそ、共感すると思う」とコメントしていたこん身の一作。自分だけのかけがえのない“人生のきらめき”に気づいていく、ピクサー史上“最も深い”感動作と言われる上質なストーリーが、誰も見たことがない“魂<ソウル>”の世界のビジュアル化した美しい映像と、素晴らしいジャズの演奏とともに描かれる。

 大きな画面と音響設備が整った映画館で観ると、臨場感や迫力は段違い。主人公ジョーの演奏部分は、昨年初来日公演が話題になったジョン・バティステ。本作で第93回アカデミー賞にて作曲賞&長編アニメ映画賞を受賞している。


■『トイ・ストーリー』(1995年※日本公開は96年)

 じつは、おもちゃたちは人間が見ていない所では自由に動いたり話したり、大冒険を繰り広げるが、人間が来るとピタっとその場に止まり、自由に行動できることを絶対に人間に知られてはいけない――そんな“おもちゃの世界”を描いた、ピクサーの長編アニメーション1作目にして、世界初のフルCG長編アニメーション『トイ・ストーリー』。この原案とアニメーター監督を務めていたのが、ピート・ドクターだった(監督はジョン・ラセター)。

■『モンスターズ・インク』(2001年※日本公開は02年)

 ピート・ドクターの初長編監督作が『モンスターズ・インク』。こどもたちの悲鳴を集めてエネルギーにする会社、モンスターズ株式会社で働く怖がらせ屋のサリーとマイクが主人公。ある日、人間の幼いこどもブーがモンスターの世界に迷い込んでしまう。サリーとマイクは人間の世界にブーを戻そうと奮闘する。
ユニークなモンスターの世界と感動的な物語が一つとなった傑作。

■『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年)

 原案・脚本・監督をピート・ドクターが務めた。さまざまな世界を舞台にしてきたピクサー作品の中で初めて人間を主人公とした作品。かつて冒険好きで夢見る少年だった元風船売りのカール・フレドリクセンは、亡くなった最愛の妻エリーとかつて交わした約束を果たすため、彼女との大切な思い出の詰まった家に1万297個もの風船を結び付けて人生最後の冒険へ飛び立つ。ストーリーを通して描かれる愛する人を想う気持ちに全世界が心を打たれた。

■『インサイド・ヘッド』(2015年)

 ピート・ドクター自身が親として感じた切実な思いや戸惑いが出発点となり、原案・脚本・監督を務めた『インサイド・ヘッド』。
11才の普通の女の子、ライリーの“頭の中の世界”を舞台に、頭の中に存在する5つの感情たち、ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミが、ライリーを危機から救うために奮闘する。「第88回アカデミー賞」長編アニメーション賞を受賞し、興行的にも大成功を収め、名実ともに全世界の人の心に残る作品となった。

 続編となる『インサイド・ヘッド2』は、ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの奮闘もあり、健やかな毎日を送っていたライリーの頭の中で、ある日、突然大きな“謎の警報”が鳴り響く。感情たちが暮らす司令部が壊されてしまうが、そこで新たに現れたのがオレンジ色の感情<シンパイ>だった。さらに新たな感情はシンパイだけではないようで…。思春期を迎えちょっぴり大人になった少女ライリーの頭の中で何が起きているのか!?脚本は前作と同じメグ・レフォヴ。
監督は『モンスターズ・ユニバーシティ』などでストーリースーパーバイザーを務めたケルシー・マンが務める。