シャンソンはフランス語で「歌謡」という意味。
その特徴は物語性。「クゥプレ」と呼ばれるストーリー部分と「ルフラン」と呼ばれる繰り返し部分で構成され、日常会話や語り、隠語を交えてつづられる歌詞が魅力。
日本でシャンソンが披露されたのは1927年の宝塚レビュー「モン・パリ」が始まり。1930年には「パリゼット」が公演され、そこで歌われたシャンソン「リラの花咲く頃」は「すみれの花咲く頃」と言い換えられ、今も宝塚のシンボルソングになっている。ここからNHKラジオなどを経て、シャンソンは全国的ブームに。30年代は淡谷のり子、50年代に入ると宝塚を退団した越路吹雪が「愛の讃歌」「サン・トワ・マミー」など数々の名曲を日本に紹介。
1951年、銀座に日本初のシャンソン喫茶「銀巴里」がオープン。以降、美輪明宏、青江三奈、戸川昌子らを輩出。三島由紀夫や寺山修司、なかにし礼、吉行淳之介ら文化人が集い演出に参加。そして岩谷時子、なかにし礼らにより、原曲と異なる「日本人に共感できる独自の訳詞」が作られ、「ニッポン・シャンソン」が独自の音楽として確立された。
そして80年代に入ると「銀巴里」を発信地として「金子由香利ブーム」が訪れる。
2024年、いよいよパリオリンピック開催。パリと日本をつなぐ歌として、東京オリンピックの閉会式ではシャンソンの代表曲「愛の讃歌」が歌われた。さらに、タカラジェンヌから日本シャンソン界の女王となった越路吹雪が、生誕100周年を迎える年であり、まさに日本のシャンソン・イヤーといえる2024年。この記念すべき年にBS民放初の「日本のシャンソン」に特化した番組が放送決定した。
登場するのは、シャンソン歌手・クミコを中心とした豪華アーティストたち。美輪明宏、金子由香利、戸川昌子など、多くの名歌手を輩出したシャンソン喫茶「銀巴里」で1982年にデビューをしたクミコにとって、最初のシャンソンとの出合いは、越路吹雪の楽曲だったという。クミコは今年、そんな越路吹雪の名曲「愛の讃歌」や「アプレ・トワ」を新録したニューアルバムの発売も決定。「銀巴里」の遺伝子を今も引き継ぐシャンソン歌手・クミコが、銀巴里の時代を再現する。
番組では、シャンソンを歌い続けているクミコと、タカラジェンヌから日本シャンソン界の女王となった越路と同じく、宝塚を背景に持つ安蘭けいとの対談。
キャストはクミコ、松村雄基、安蘭けい、日野真一郎(LE VELVETS)、ア・ラ・シャンソン(きゃんひとみ&メイリー・ムー(星屑スキャット)&ソワレ)、レジョン・ルイほか。
■クミコ コメント
子供の頃、テレビに映る越路吹雪さんに釘付けになりました。そこで越路さんの歌う歌がシャンソンだと知りました。学生の頃、日本にやってきたシャルル・アズナブールの公演に行き、その色っぽさに衝撃を受けました。
シャンソンには、いろんな愛があります。愛がてんこ盛りです。そして、その愛はうまくいかない人生そのものを表現しているかのよう。愛ってやっぱり一筋縄じゃいかないのだとわかります。それがオモシロイ。
シャンソンに縁のない方にも、ぜひご覧いただきたい番組となっています。いろんな愛がたっぷりと味わえるはずです。日本人が歌うニッポン・シャンソン、どうぞご覧ください。