18日開催の『RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』(広島グリーンアリーナ)で、山本アーセンと対戦するヒロヤ。昨年大みそか大会で神龍誠に敗れてから7ヶ月、フライ級戦線の生き残りをかけて再起戦に挑む。

 RIZINデビューから2年、負けるたびに立ち上がって強くなったヒロヤは、その成長ストーリーで多くのファンを感動させてきた。しかし、現在は2連敗中で後がない状況に追い込まれており、今回は結果はもちろん、内容も求められる。そんな試合に向けて、記者会見で「覚悟」と語ったヒロヤに、じっくりと胸のうちを聞いた。

■神龍誠のタイトルマッチを見て「自分もいけると強く感じた」

――大会まで残り1ヶ月ですが、体はかなり仕上がっているように見えます。ご自身での手応えはどうですか?

【ヒロヤ】けっこうイイ感じですね。やっと対戦相手が決まったことで、練習も一段階進むというか。ゴールがない状態でも強くなっている実感はもちろんありましたが、ゴールに対してスパーリングを重ねるたびに精度が高まってきていると感じます。相手が決まると、減量や朝起きた時の気持ちなど、すべてにおいて気合いが変わってくるので、やはり相手が決まっている方がいいですね。

――記者会見では、非常に険しい表情だったのが印象的でした。他の選手がダニー・サバテロ選手のトラッシュトークで笑っている場面もありましたが、ヒロヤ選手だけは終始引き締まった表情だったので、それだけこの試合への覚悟が大きいということですね。

【ヒロヤ】そうですね。プロとして会見を盛り上げたいという気持ちもありますが、この試合はどうしても自分が絶対に勝たないといけない。重圧を強く感じているわけではないですが、心のどこかにそれがあるのかもしれません。今日、初めて対戦相手のアーセン選手を目の前にして、いろいろな気持ちが入ったのだと思います。

――対戦相手のアーセン選手とは、これまで会場ですれ違うこともあったかと思います。対戦相手として向かい合って、何か感じるものはありましたか?

【ヒロヤ】フェイス・トゥ・フェイス撮影の時に、彼から少し声をかけられたのですが、自分はそれを無視したというか。そこからはお互いに試合モードに入ったのかな、という雰囲気はありました。

――昨年は元谷友貴選手、神龍誠選手という強豪相手に2連敗となりました。タイトルに絡む上位陣と戦ってみて、壁の高さを感じましたか? それとも手応えを感じましたか?

【ヒロヤ】元谷選手との試合は、経験で上回られたという「壁の高さ」をもちろん感じました。でも、大みそかの神龍戦で3ラウンド戦ってみて「なぜ勝つことができなかったのか」という理由を再確認できたんです。先日の扇久保(博正)選手と神龍選手が戦っている姿を見て、「自分もいけるな」と強く思っています。

――「チャンピオンになった神龍選手とあそこまでやれた」という自信になったのでしょうか。

【ヒロヤ】正直、あの試合を自分では高く評価していません。「俺ならもっとできたはずだ」という気持ちの方が強いです。それを出せなかったのが自分の実力ですし、この7ヶ月間は、どうすれば練習通りの動きを試合で出せるかということにフォーカスした、良い時間だったと思います。

■RIZIN参戦当初とは違う“2連敗の重み”と、王座へ向かう現在地

――練習でできていることを試合で出すのは、キャリアを重ねても難しいものですか?

【ヒロヤ】そうですね。いろいろな戦略がある中で、過去に神龍選手とは練習したこともあったので、「この展開になりたくない」という思いが頭をよぎり、それがネックになってしまった部分が3ラウンドにありました。それは経験して変えていくしかないですし、過去は変えられないですから。

――現在は2連敗中ですが、メンタル的に影響はありますか?

【ヒロヤ】もちろんあります。ファイターは勝ってこそ価値が高まるし、僕は格闘家なので、2連敗は本当に悔しいです。今はとにかく勝ちたい、その一心ですね。

――RIZIN参戦当初も2連敗(伊藤裕樹戦、中村優作戦)がありましたが、あの頃の「若いチャレンジャー」としての立ち位置と、実績を積み昨年はフライ級グランプリにも出場した今とでは、失うものへの恐怖など心境に変化はありますか?

【ヒロヤ】そういうことがよぎる時もありますが、考え出したら終わりだと思っているので。失うものはありますが、そこを気にしていたら前には出られませんし、最初の頃の気持ちのまま歩むべきだと感じています。トップ選手と戦って感じたのは、お客さんが盛り上がるカードで戦うことも大事ですが、今は「フライ級で一勝ずつ段階を踏んで全員倒し、俺が絶対にチャンピオンになりたい」という気持ちが、神龍選手の試合を見てより強くなりました。

――同世代の神龍選手がチャンピオンになったことは、大きな刺激になりましたか。

【ヒロヤ】「この階級で世代交代が起きたら、自分はその選手を追いかけることになるだろうな」と1年くらい前から想像していました。それがもうこの段階で来たか、という感じですね。

――以前はアメリカ修行もされていましたが、今回の試合に向けた取り組みは?

【ヒロヤ】今年はアメリカへは行かず、全部日本でやっていて、JTT(JAPAN TOP TEAM)をメインに、他にもいろいろなところで練習しています。この半年間で特に強化してきたのはグラップリングで、元谷戦と神龍戦を経て特に必要性を感じました。この2年、ビリー(・ビゲロウ)のおかげでレスリングはかなり強くなり、MMAで戦えるようになりましたが、仕留めるところが課題でした。自分はストライカーというよりグラップラーに近い感覚があるので、テイクダウンした後に極めきれるフィニッシュを重点的に磨いています。日本の選手は決まってる打ち込みとかは完璧にできるんですけど、海外の選手は「繋ぎ」や「際(きわ)」の部分が非常にうまくて、今の自分はそこにも自信があります。元谷戦での課題だったバックの展開を克服し、自分から極められるようグラップリングの技術を重点的にやってきました。メインはJTTの柔術コーチの竹浦(正起)さんにやっていただいて、伊澤星花選手のロイズジムでCOROさんにも教えていただいたので、かなり上達を感じています。

■強化したグラップリング、山本アーセン戦で問われる進化

――積み重ねてきたことを出す相手として、アーセン選手は非常にマッチしている?

【ヒロヤ】そうですね、お互い戦い方も似ていると思います。彼は生粋のレスラーで、MMAファイターとしても戦績以上の強さがあると感じます。強い時は本当に強いタイプで、自分もやってみないと分かりませんが、KOでも一本でもしっかりフィニッシュを狙っていきます。

――アメリカ練習で交流が生まれた高木凌選手とも練習されているのですか?

【ヒロヤ】ビリーが日本に来ているタイミングなどで、3人でレスリングやグラップリングをすることもあります。高木くんはフェザー級なので体格差はありますが、彼は本当に強いのでいい刺激になりますし、神戸大会での彼の試合(リー・カイウェンに1ラウンドKO勝ち)を現地で見て「俺も早く試合がしたい」と思いました。

――9月は京セラドーム大阪で『超RIZIN.5』、そして大みそか大会もバンテリンドームナゴヤと、今年後半は2つのドーム大会が控えています。今後のRIZINのスケジュールも意識されていますか?

【ヒロヤ】もちろん怪我がなければ出たいですが、今は考えないようにしています。目の前の試合に勝てなければ次はないですし、ここだけ、ここだけに今は集中しています。

――所属するJTTでは朝倉海選手が先月のUFCで初勝利を挙げるなど、良い雰囲気ができているのではないですか?

【ヒロヤ】はい、活気が出てきましたね。最近はDEEPなどに出場する若手ファイターも増えて、毎月誰かが試合をする環境になっています。以前はトップ選手が数人しかいなくて、RIZINに2~3人が出場するとその直後にジムに練習相手がいなくなる時期もありました。今は常に高いレベルで練習環境が保たれていて、いい選手もどんどん集まってきています。

■注目と逆風の中で貫く“ありのまま”の生き方

――注目度が高まる一方で、アンチの声や私生活への影響はどう感じていますか?

【ヒロヤ】知名度が上がることで良いことも悪いこともありますが、自分にとっては良いことの方が多いですね。周りの声はどうしても耳に入ってきますが、いつまでも「ありのまま」でいたいと考えています。それって意外と難しいけど、飾らず自分らしく生きていきたい。格闘技に対して嘘偽りなく向き合っていれば、残酷な結果もあれば美しい瞬間もある。それも含めて自分の人生だと思っています。

――背伸びをせずに、自然体でいるということですね。

【ヒロヤ】そうですね。「出る杭は打たれる」と言いますが、打たれながら学んでいくのも人生なのかなと思います。

――先月の会見では、昨年対戦した篠塚辰樹選手とのやり取りがネットでも盛り上がっていました。彼に対して何か感情の変化はありますか?

【ヒロヤ】特にはないですが、2年前の大みそかから東京ドームで戦うまでの5ヶ月間、ずっとアイツのことを考えていたので、やっぱり思い入れはありますよ。自分が勝ったから言えることかもしれませんが(笑)。あの試合で自分の知名度も上がりましたし、彼が男気を見せてMMAデビュー戦で俺の名前を出してくれたことで、あれだけ盛り上がったので、そこは感謝しています。彼がMMAで結果を出しているのは一回戦った身として、うれしさはありますね。

――篠塚選手は「次やったら絶対に倒す」とも言っています。

【ヒロヤ】でも、そうなるってことは、俺が上がってないことになるから、それはダメだと思ってるんで。アイツも自分で頑張るけど、自分はもっと上がっていかなければならないと感じています。

――ヒロヤ選手の親友の冨澤大智選手もそこに絡んでいますね。

【ヒロヤ】そこはそこで面白いなと思って見ています(笑)。

――最後に、改めて試合に向けた意気込みをお願いします。

【ヒロヤ】練習ではまだまだガシガシ追い込みます。減量はキツイですが、制限されている状態の方が逆に生きていて楽しいというか。神龍戦で眼窩底を骨折して、その後も肋骨を痛めて激しい練習ができない時期があり、「人生つまんねえな」と思っていました。戦っている時が一番楽しいんです。ようやくあと少し。怪我にだけは気をつけて、ファンが求める試合、そして何より俺自身のために戦いたいと思います。会場を一番盛り上げるので、任せてください。

◆『abc presents RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』
7月18日/広島グリーンアリーナ
【対戦カード】
・バンタム級タイトルマッチ
(王者)ダニー・サバテロ vs. (挑戦者)鹿志村仁之介
・カルシャガ・ダウトベック vs. 萩原京平
・太田忍 vs. イリスベク・ティレノフ
・ジョニー・ケース vs. 天弥
・ヒロヤ vs. 山本アーセン
・篠塚辰樹 vs. イ・ジェフン
・パク・シウ vs. 須田萌里
・大島沙緒里 vs. イ・イェジ
・昇侍 vs. 梅野源治
・佐々木信治 vs. 林RICE陽太
・芝宏二郎 vs. 遥心
ほかオープニングファイト4試合

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