本作は、ベトナム戦争に従軍した元米兵アレン・ネルソン氏が、自らの戦争体験と帰還後の葛藤をつづったノンフィクションが原作。ネルソン氏は帰還後、PTSDに苦しみながらも、自身が戦争の“加害者”となった体験をもとに、日本全国で1200回以上の講演を実施。「ほんとうの戦争」を語り続けた。本作ではその証言をもとに、塚本監督が「戦争加害者の傷」というテーマに向き合った。
インタビュー映像で塚本監督は、ネルソン氏が自身の加害体験を隠さず語り続けたことについて、「普通だったら隠すと思うんです。でも、そのおかげで自分も知ることができた。戦争の恐ろしさが余計わかって、ますます戦争には近づいちゃいけないと思った」と語る。
さらに、「今は日本だけの心配じゃなくて、世界中がとっても怪しくなってきている」と現在の世界情勢への危機感も口にした。
本作を通して伝えたいことについては、「戦争を作る人ではなく、戦争によって動かされる人の方に、『戦争に行くとこうなる』ということを、ものすごく実感を込めて感じてもらうことが大事」と説明。ネルソン氏の人生を通して、戦争を過去の出来事としてではなく、これからを生きる人々に関わる問題として描こうとした思いを明かしている。
メイキング映像には、タイ、米国(ニューヨーク)、日本(沖縄)、ベトナムで行われた撮影の舞台裏を収録。塚本監督が自ら手持ちカメラを担ぎ、ヘリコプターへ駆け寄る姿や、戦場シーンで俳優たちと走りながら撮影する様子が映し出される。
塚本監督にとって初の4ヶ国ロケとなり、総勢約200人のスタッフとキャストが参加した過去最大級の撮影となった本作。規模が拡大しても、自らカメラを握り、俳優と同じ目線で現場に立つ“塚本スタイル”は変わらない。映像からは、作品に込めた切実な思いと、各国の撮影現場で積み重ねられた熱量をうかがうことができる。
本作は、「第83回ベネチア国際映画祭」コンペティション部門に加え、「第51回トロント国際映画祭」スペシャル・プレゼンテーション部門への正式出品も決定するなど、海外でも注目を集めている。
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