『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『告白』などで知られる中島哲也監督の8年ぶりとなる映画『時には懺悔を』(8月28日公開)のトークイベントが17日、横浜・ムービルで行われ、中島監督と、本作でスペシャルニーズスーパーバイザーを務めた安田一貴氏が登壇した。

 本作には、物語の中で大人たちの心を動かす少年・新役のしんすけをはじめ、スペシャルニーズのある子どもたち20人以上が、俳優として参加している。
イベントでは、子どもたちの安全を守りながら長期間の撮影を実現した舞台裏が語られた。

 スペシャルニーズとは、身体的、知的、精神的な障がいや病気、発達特性などにより、日常生活や社会生活で個別の支援や配慮を必要とする人や、そのニーズを指す。

 小児分野を専門とする理学療法士の安田氏は、キャスティングの段階から、子どもたちや家族と制作現場をつなぐ役割を担当。体調や安全面だけでなく、姿勢や抱き方、撮影環境まで細かく調整した。

 医療や福祉の観点から撮影を止める“ストッパー”になるのではなく、制作チームの一員として「どうすれば実現できるか」を考えたという。安田氏は「この映画を通して、子どもたちのいろいろな可能性が見えた」と語った。

 一方、中島監督は、スペシャルニーズのある子どもたちを“特別な存在”として扱うのではなく、ほかの出演者と同じように、物語を生きる一人の登場人物として撮影。子どもたちが登場する場面は、明るい光を当てたいという監督の意向から、すべて晴天の日に撮影されたことが明かされた。

 障がいのある子どもを実際にキャスティングし、長期間にわたるエンターテインメント映画の撮影に俳優として参加してもらうことは、日本映画ではほとんど前例のない試みだが、中島監督は「子どもたちとのふれ合いは、本作にとって大きな糧になった」とコメント。徹底した事前準備と現場での対話を重ねながら、それぞれが無理なく参加できる環境を作ることに努めた撮影を振り返った。

 イベントには、安田氏の母校である岩崎学園・横浜リハビリテーション専門学校で理学療法や作業療法を学ぶ学生をはじめ、卒業生、医療・福祉関係者ら約200人が参加。質疑応答では、学生たちから映画制作と支援の在り方について質問が寄せられた。


 本作は、打海文三の同名ミステリー小説が原作。家族との不和を抱えながら生きる孤独な探偵・佐竹を西島秀俊が演じ、満島ひかり、黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、佐藤二朗、役所広司らが共演する。過去に傷つき、絶望の中に生きる大人たちが、一人の少年との出会いによって変化していく姿を描く。
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