※本稿は、ピョートル・フェリクス・グジバチ『世界の一流は「部下」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■上司と部下のお互いが「腹の底」を語り合う
欧米企業や外資系企業の一流のマネジャーに顕著な傾向ですが、成果を出し続ける優秀な上司には、共通点があります。
仕事に対するモチベーションの「原点」に目を向けて、上司と部下が腹を割って本質的な「ダイアログ」をしているのです。
「あなたにとって、仕事とは何か?」
「私たちの会社の存在意義は、どこにあると思うか?」
「この成果を上げることで、どんな社会貢献できるのか?」
上司にとっては、仕事に対するフィロソフィ(哲学)や人間性が問われることになりますが、折に触れて、お互いが「腹の底」を語り合い、考え方を共有することで、ビジネスパーソンとしてだけでなく、一人の人間としての成長を目指しています。
日常のコミュニケーションを通して、上司と部下が「垣根」を取り払うことで、信頼関係の熟成を図っているのです。
日本企業の上司と部下には、ダイアログが足りていないように思います。
忙しい時間の中で、たとえ5分であっても、人間としての本質に関わる対話を交わすことに「煩わしさ」を感じているのかもしれません。
■イギリス人の上司に指摘されてハッとしたこと
子どもの頃ならともかく、いい大人になって、自分の未来を語ることに「照れ臭さ」を覚える人もいるはずです。
どんな理由があっても、チームや部下の成長を促すためには、ダイアログは不可欠と考える必要があります。
僕がまだ30代の若手社員だった頃のエピソードを紹介します。
その当時、僕はモルガン・スタンレーで組織開発の仕事を担当していました。
30歳を超えたばかりですから、まだ尖っていて、頑固でプライドが高く、上司にとっては扱いづらい部下だったと思います。
僕の直属の上司は、ドーンさんというイギリス人の女性でした。
圧倒的に仕事のできる厳しい人でしたが、2人の小さなお子さんを育てるソフトな語り口の優しい上司でもありました。
彼女は時間が空くと僕に話しかけてきて、2人であれこれと雑談をしました。
部下である僕のことを、本気で理解しようとしてくれていたのだと思います。
ある時、「あなたは何が欲しいのかわからない」という話になって、彼女にこんな言葉を投げかけられました。
「If you want something, ask for it」
日本語に訳すと、「何か欲しいものがあるならば、自分から求めなさい」 という意味になります。
その頃の僕は、「自分がどうなりたいのか?」を上司に率直に伝えることはなく、自分の考え方や価値観について話し合うこともありませんでした。
もしかすると、僕が社会主義や共産主義を経験したポーランドで生まれ育ったことも、少なからず関係しているかもしれません。
■部下は自ら手を上げることが求められる
人に全幅の信頼を寄せるという経験をあまりしてこなかったため、上司である彼女の目には、「ピョートルは自己開示が足りない」と映っていたのだと思います。
欧米企業や外資系企業では、上司から仕事が降りてくるのを待つのではなく、部下は自ら手を上げて、自分がやりたいと思う仕事に積極的に取り組むスタイルが求められます。
そのためには、「自分はどんな仕事をしたいのか?」、「どうなりたいのか?」、「自分のキャリアをどう積み重ねたいのか?」など、部下は自分の意思を鮮明に言語化して、上司にハッキリと伝える必要があります。
部下が自分から上司に意思を伝えなければ、上司は部下のキャリアアップに適したタスクを指示したり、それをサポートすることができません。
部下の思いを知らないままで仕事を続けたのでは、上司は自分の考えを一方的に部下に押し付けてしまうことになるのです。
モルガン・スタンレーに在籍した当時の自分を振り返ってみると、初めてグローバル企業で働くことで、日常的に緊張を強いられて、気持ちが萎縮していたのかもしれません。
驚くほど有能な人たちに囲まれて仕事をすることに、コンプレックスや気後れを感じていたのかもしれません。
上司のアドバイスを耳にして、「そうだったのか!?」と一気に視界が広がりました。
不安を隠して虚勢を張り続けていた僕の胸に、上司の言葉がストレートに突き刺さったのです。
■仕事に対するモチベーションが爆発的にアップ
上司の心優しい助言に導かれた僕は、その日を境にして、積極的に自分の意思を上司に伝え、時間が許される限り、前向きな議論を重ねるようになりました。
そのおかげで、アグレッシブな気持ちで、仕事と向き合える日々が始まりました。
「自分の意思を上司にハッキリと伝える」という新たな視点を手に入れたことで、仕事に対するモチベーションが爆発的にアップしたように思います。
その1年半後、仕事の成果が認められて、僕は出世をして、彼女のチームから離れることになりました。
会社の上層部から、「まだ早いのでは?」という反対の声もあったようですが、彼女は、「私はあなたを支援しますよ」と微笑んで、優しく背中を押してくれました。
僕は今でも、「If you want something, ask for it」というフレーズを、彼女が授けてくれた大切なギフト(贈り物)と考えており、折に触れて、現在の会社のメンバーに語りかけています。
成長過程にある部下にとって、上司と部下が腹を割って語り合うことは、上司が考えるよりも遥かに効果が高いように思います。
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ピョートル・フェリクス・グジバチ(ぴょーとる・ふぇりくす・ぐじばち)
プロノイア・グループ代表
TimeLeap取締役。連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。ポーランド出身。モルガン・スタンレーを経て、グーグルでアジアパシフィックにおける人材育成と組織改革、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。『ニューエリート』(大和書房)ほか、『0秒リーダーシップ』(すばる舎)、『PLAYWORK』(PHP研究所)など著書多数。
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(プロノイア・グループ代表 ピョートル・フェリクス・グジバチ)

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