※本稿は、児玉光雄『大谷翔平の思考法 「できない」を「できる」に変える』(アスコム)の一部を再編集したものです。
■「才能」はダイヤモンドの原石
2022年8月9日、大谷選手は、対アスレチックス戦に「2番・投手兼DH」で出場。
6回4安打無失点で自己最多10勝目をマーク。1918年のベーブ・ルース以来、104年ぶり2人目の「2桁勝利&2桁本塁打」を達成し、昨季も含めて通算7度目の挑戦で、歴史の扉をこじ開けました。
この日は投手で6回無失点、打者では7回にダメ押しの25号ソロ。そして、7月6日の今季10盗塁と合わせ、MLB史上初の「トリプルダブル」も達成してみせたのです。試合後、大谷選手はこう語っています。
「単純に(今まで投打)2つやってる人がいなかったというだけかなと思う。それが当たり前になってくれば、普通の数字かもしれない」(スポニチアネックス2022.8.10付)
大谷選手のメジャーリーグにおける活躍は、彼の生まれ持った才能によって支えられていると多くの人々が考えています。しかし、本当にそうなのでしょうか?
ここで「才能とは何か?」について私の考え方を披露しましょう。才能はダイヤモンドの原石に似ています。ダイヤモンドは、原石のままでは商品にはなりません。
■自分が何の原石か見極める
たっぷり時間をかけてこの原石を研磨することにより、価値のある高価なダイヤモンドに変わるのです。
あるとき、大谷選手はこう語っています。
「常にきっかけを求めて練習しているというのはあります。ひらめきというか、こういうふうに投げてみよう、こうやって打ってみようというのが、突然、出てきますからね。やってみて何も感じなかったらそれでいいし、継続した先にもっといいひらめきが出てくることもあります。
常にそういうひらめきを追い求めているんです。自分が変わるときは一瞬で上達しますし、そういうきっかけを大事に考えて練習していますね」(『大谷翔平 野球翔年I日本編2013~2018』文藝春秋)
人は誰もが何かしらの才能を持っているものです。しかし、自分は何の原石なのか、まずはそれを見極めなければなりません。
「才能」という可能性を見極めて、そこに「鍛錬」という行為を積み重ねて、初めて私たちはその分野で成功をつかみ取ることができるのです。
■年齢と共に伸び続ける「結晶性知能」
一口に才能と言っても、そこには多くの可能性が存在します。たとえば、スポーツ界では「その種目の才能がある」という先天的な要素が必須になります。一方、ビジネス分野においては才能というよりは、「着想」とか、「ひらめき」といった後天的な要素が生命線になるでしょう。
あなたは「流動性知能」と「結晶性知能」という2種類の知能を知っていますか? 「流動性知能」の代表格は知識、計算、思考といった言語機能が主役になる知能です。学生時代のテストや受験勉強がその典型例です。
一方、「結晶性知能」は、キャリアを積むことによって得られる非言語のスキルのこと。大谷選手のバッティングやピッチングは結晶性知能の典型例でしょう。この2種類の知能と年齢との相関関係を図表1に示します。
図を見てもわかるように、結晶性知能は年齢と共に右肩上がりのラインを描きます。
つまりこの知能を獲得するには長いキャリアが求められるのです。人間国宝と言われる特殊な才能を極限まで高めた人たちのスキルは結晶性知能であることは明白でしょう。
これからの時代で求められるのは、間違いなく「結晶性知能」です。もはや記憶力の優劣でその人間の優劣を判断するのは時代遅れです。
■「稀少価値」と「ニーズ」で個を磨く
キーワードは「稀少価値」です。その仕事に社会的ニーズがあり、その分野で稀少価値のある人はますます引っ張り蛸になるでしょう。
大谷選手は打つことも投げることも一流ですが、投打で一流になるという着想は、これまでの野球選手の概念を根本的に変えてしまったと言えます。およそ100年前に活躍したベーブ・ルースと比較されることもありますが、置かれた時代がまるで違うのです。普段の心構えについて、大谷選手はこう語っています。
「オフに取り組んできたものが試合で出来た時はもちろん嬉しいですけど、練習の中でも『うまくなる瞬間』を感じるときがあります。そういうときは嬉しいですね」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)
メジャーリーグという習熟したプロ社会では、「投げる」「打つ」どちらかの才能が不可欠ですが、現代のスポーツ界では不可能であるとされた「打者」と「投手」の両面で頂点を目指すという大谷選手特有の着想が彼を希有なアスリートに仕立てたのです。
誰もが安価で手に入れることのできる情報の価値は近年著しく下落しています。自分の「売り」を「稀少価値」と「社会のニーズ」という2つの尺度で判断して、そのスキルを極限まで高めることに努めてください。
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児玉 光雄(こだま・みつお)
スポーツ心理学者
追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問。京都大学工学部卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学修士。『逆境を突破する技術』『上達の技術』『一流の本質』など著書多数。
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(スポーツ心理学者 児玉 光雄)

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