鶴巻温泉の老舗宿「陣屋」で、鈴廣かまぼこの「万能すりみパウダー」(以下、すりみパウダー)を使った新たな日本料理が生まれました。
「万能すりみパウダー」は、良質な魚のすり身を独自の製法でパウダー状にした商品です。
すりみパウダーが日本料理の現場でどのように使われ、料理人はどのような活用法や可能性を感じているのか。陣屋 総料理長・藤本厚さんにお話を伺いました。
鶴巻温泉 陣屋の会席料理に登場した「羽二重豆腐」
今回、すりみパウダーを使用したのは、日本料理のコースに登場する前菜「羽二重豆腐」です。提供されるのは、魯山人会席、夢浮橋会席、逸品会席の各コース。全10品で構成される会席料理のうち、羽二重豆腐は2品目に登場します。季節の味わいを少しずつ楽しみながら、これから続く料理へと舌を整えていく一皿です。
大切にしているのは「自分の料理を作る」こと
藤本さんは、都内の飲食店で約30年にわたり経験を積み、2014年に陣屋へ。現在は総料理長として、陣屋の料理を支えています。
料理において大切にしていることを尋ねると、藤本さんはこう話します。
「一番大切にしているのは、自分の料理を作るということです。時代に合わせて、自分の料理を新たに構築していくことをすごく意識しています」
師匠から受け継いだ技術を土台にしながら、時代に合わせて、自分自身の料理を作っていく。その考えの根底にあるのが、陣屋の料理を形づくる「水」と「出汁」です。
陣屋で使うのは、秦野の水。
「和食の基本は大切にしています。その軸がしっかりしていれば、時代に合わせた表現や新しい素材、自分らしい表現や新しい挑戦も自然と料理の中に落とし込めると思っています」
すりみパウダーも、単に便利な粉末素材としてではなく、料理人が自分の味を表現するための素材として、この一皿に取り入れられました。
季節とストーリーをひと皿に。庭のはっさくを使った羽二重豆腐
藤本さんが料理で大切にしているもう一つの要素が、「印象」と「ストーリー」です。「ただ美味しいだけではなく、印象に残る料理にしたいんです。季節があり、庭の景色があり、陣屋という場所があり、その一皿からいくつものストーリーを感じてもらえたら嬉しいですね」
鱶鰭 楓冬瓜 山菜茶巾
羽二重豆腐には、カニ、昆布出汁、そして陣屋の庭で収穫したはっさくのジュレが重なります。ふんわりとした口当たりの中に、すりみパウダー由来のしこっとした食感、野菜のシャキッとした歯ざわり、出汁のなめらかさが感じられます。陣屋の庭の恵みと、すりみパウダーが組み合わさることで、季節の情景が浮かぶ一皿に仕上がっています。
冷凍すりみにはない、すりみパウダーの扱いやすさ
藤本さんにとって、すり身はもともと和食で慣れ親しんできた素材でした。椀種や蒸し物、揚げ物など、和食の現場では幅広く使われています。その中で、すりみパウダーを使って実感したのが、扱いやすさでした。「ロスがなく、計画的に作りやすいということを実感しました。
冷凍すりみは、一度解凍すると基本的には使い切る必要があります。必要量に対して多めに解凍せざるを得なかったり、半端が出たりすることもあります。
一方、すりみパウダーは粉末のため、必要な分だけグラム単位で計量できます。少量から使えるため、仕込み量を調整しやすく、計画的にメニューへ組み込むことができます。
「粉だとグラムで測って、細かいものが作りやすいです。また、誰でも同じように作れるようになりますね」
分量を数値化しやすいことは、再現性にもつながります。経験や感覚が重要な料理の世界においても、安定して同じ仕上がりを目指せることは、現場にとって大きな価値です。さらに、すりみパウダーは水分量を調整することで、弾力のある食感から、羽二重豆腐のようなふんわりとした食感まで表現できます。藤本さんも「幅が広いですね」と、その自由度を評価します。
必要な分だけグラム単位で計量できる
万能すりみパウダーと調味料を加えて攪拌し、流し缶に入れて蒸し上げる
食材の味を引き立てる、自分の味をつけやすい素材
藤本さんが、すりみパウダーの一番の魅力として挙げたのは、食材の味を邪魔しないことでした。「すりみパウダーは、味としては脇役でいいのかなと思っています。今回の羽二重豆腐にはカニを使っていますが、カニの味を損なわないようにできる。
従来のすり身は、すでに塩分を含んでいることが多く、味を整えるためにみりんや砂糖などを加える必要がありました。すりみパウダーは、その必要が少ないため、料理人が意図した味に近づけやすいと言います。
「自分なりの味をつけやすい。他の材料の味を含ませたり、引き立てたりしやすいですね」
これは、すりみパウダーが主役として前に出る素材ではなく、料理人の表現に余白を残す素材であることを意味しています。カニの味を生かしたいときはカニを、出汁を生かしたいときは出汁を、庭のはっさくを生かしたいときはその爽やかさを。すりみパウダーは、それらの素材を支えながら、魚のコクと食感を加えていきます。
料理人が作りたい味をじゃませず、むしろ引き立てる。藤本さんの言葉からは、すりみパウダーが“便利な素材”にとどまらない可能性が見えてきます。
つなぎ、揚げ物、椀種へ。広がるすりみパウダーの可能性
すりみパウダーの活用は、羽二重豆腐だけにとどまりません。藤本さんは、すりみパウダーの使い方として「打ち粉のような使い方も面白い」と話します。
「小麦粉や片栗粉の代わりに、すりみが使えると思いました。つなぎとして使うと、魚の旨みが加わっておいしくなります」
素材同士をつなぐために使う。揚げ物の衣や具材をまとわせるために使う。小麦粉の代わりとして使うことで、アレルギー対応の一助になる可能性もあります。
実際に、藤本さんは揚げ物にもすりみを活用しているといいます。
「海老に卵白をつけて、すりみパウダーをまぶして、枝豆やとうもろこしをつけて揚げたり。そういう魅せる揚げ物を作るときに使っています」
海老や帆立などの素材に、すりみパウダーをつなぎとして使うことで、野菜をまとわせ、見た目にも華やかな揚げ物に仕立てることができます。さらに、魚の旨みが加わることで、味わいにも奥行きが生まれます。
椀種や蒸し物にも応用しやすく、カニのスープなど、合わせたい素材に直接すりみパウダーを加えることで、より濃厚な味わいを作ることもできると藤本さんは話します。
すり身を一から作るには、時間も手間もかかります。すり鉢でなめらかになるまで摺り続ける作業は、若手の職人が担ってきた大切な仕事でもありました。その技術の価値は残しながらも、すりみパウダーは、料理人がより自由に、より計画的に、すり身という素材を扱うための選択肢になります。
料理人の表現を支える、新しいすり身のかたち
すりみパウダーについて、藤本さんはこう語ります。「少量でも使えてロスなく作れる。自分なりの味をつけやすい。他の材料の味を含ませたり、引き立てたりしやすい」
使いたい分だけ使えること。食材の味を邪魔しないこと。水分量や合わせる素材によって、食感や味わいを調整できること。
それらはすべて、料理人が自分の料理を作るための自由度につながっています。
陣屋の羽二重豆腐に生かされたすりみパウダーは、便利な粉末素材というだけではありません。水、出汁、季節の食材、庭の恵み。料理人が大切にするものを受け止め、ひと皿の中で静かに支える素材です。
食材の味を引き立て、料理人の表現に余白を生む。
「万能すりみパウダー」は、日本料理の現場においても、新たな可能性を広げています。
鶴巻温泉 元湯陣屋
神奈川県秦野市・鶴巻温泉に佇む老舗旅館。小田急線「鶴巻温泉駅」から徒歩4分、都心からも訪れやすい立地にありながら、一万坪の緑豊かな庭園に包まれた静かな時間を楽しめます。URL:https://jinya-inn.com/tsurumaki/
鈴廣かまぼこ「万能すりみパウダー」
価格:50g5袋入 2,916円(税込)50g10袋入 5,249円(税込)
100g10袋入 10,498円(税込)
URL:https://ec.kamaboko.com/shop/goods/list.html?cid=surimi