2024年5月8日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、米国政府がベトナムを市場経済国と認めるかどうかに関する聴聞会を実施すると報じた。

記事は、米商務省が8日にベトナムを市場経済国と認めるか否かに関する聴聞会を開催すると紹介。

国内の鉄鋼メーカーやメキシコ湾沿岸のエビ漁業者などからは市場経済国認定に反対する声が出ているとし、鉄鋼業労働組合の関係者が「国内製造業の基盤を侵食し、サプライチェーンの柔軟性を破壊する。また、中国の不公平な貿易商品が米国に流入するルートとしてのベトナムの役割が強化される」と主張していることを伝えた。

また、「非市場経済国」と認定されているベトナムは中国やロシア、ベラルーシ、アゼルバイジャンなどと同様に米国から高い反ダンピング関税が設定されていることから、小売業者などからはベトナムの市場経済国認定を歓迎する声も出ていると紹介した。

その上で、ベトナムの市場経済国認定を取り巻く背景について「ベトナムは経済改革により非市場経済国から脱したとの認識を持っている」とし、ファム・ミン・クン首相が昨年ジャネット・イエレン米財務長官に対し「市場経済国化」することでベトナムの地位が米国の「友好国」としての地位にふさわしくなると述べ、市場経済国認定を求めたと紹介。米国も両国関係の発展が中国に対するけん制になるとの認識を持っており、バイデン大統領が昨年ハノイを訪問した際に両国関係を「全面的な戦略パートナーシップ」と表現したことを伝えている。

その一方で、バイデン大統領は11月の大統領選挙で労働組合の票を囲い込みたい思惑があり、特に激戦州ペンシルバニアの鉄鋼労働者を重要視していると指摘。

バイデン大統領はベトナムとの戦略的な関係強化と、選挙戦における労働組合票の獲得との間で板挟みになっていると評した。(翻訳・編集/川尻)