卓球女子シングルス世界ランキング元1位で、東京都パリで五輪連覇を果たした中国の陳夢(チェン・モン)(31)が、番狂わせを演じられて破れてトイレに2時間こもった過去を語った。
陳はこのほど対談番組に出演した際、かつて経験した「暗黒の時期」を聞かれると、「ある試合が終わった後、トイレの中にこもりました。
また、転機となった出来事について「たぶん、釜山で行われた世界選手権(2024年の第58回世界卓球選手権団体戦)だと思います。私たちと日本チームが決勝を戦い、3-1で中国が勝利し優勝しました。第2試合で(早田ひなに)負けて第5試合、当時対戦したのは今の日本の有望な若手(張本美和)だったと思います。わずか15歳でしょうか。
そして、「全体的な気持ちとしては、良くありませんでした。でも、向き合わないわけにはいきませんでした。この試合は決勝でしたし。もしまた負けたら団体戦で私が2ポイント失うことになります。(それは)まるで罪人のように感じる、そういう状態でした。恥ずかしくて帰国できないなって」としつつ、「会場ではみんなが中国チームの応援をしてくれていて、力が沸いてくるのを感じました。その時、どんなに状態が悪くても、自分が分からなくても、試合に勝てるということを突然発見しました。急に、別の能力が引き上がったのを感じました。それまでは自分の状態が良い時は勝てていたので。
陳はパリ五輪女子シングルス決勝での孫穎莎(スン・インシャー)を下して連覇を達成したが、中国では孫の人気が非常に高いこともあり、会場では一部の孫のファンが陳に向けて中指を立てたり、ヤジを飛ばしたりする騒動があった。また、SNS上でも陳に対する誹謗中傷が過熱した。中国ではこうしたファン同士の中傷合戦や、選手への付きまとい行為など「飯圏(ファンサークル)」問題が深刻化している。
中国のSNS・微博(ウェイボー)では「陳夢が番狂わせを演じられた後トイレに2時間こもる」がトレンド入り。ネットユーザーからは「最も大きなプレッシャーはファン同士の対立だろう。もはや単なるスポーツの勝負ではなくなり、誰がその場にいても大きなプレッシャーを感じていたはず」「プレッシャーをはねのけて立ち直った陳夢はすごい」「陳夢が落ち着いた人で良かった。このことが彼女のすごさをさらに証明している」「誠実でたくましく、勇気があり、責任感が強い」「努力があったからこその成果」「これからきっとますます良くなるよ」といったコメントが寄せられている。(翻訳・編集/北田)