2025年6月6日、シンガポールメディアの聯合早報は、中国の電気自動車(EV)大手のBYDが5月下旬に発表したEVとPHVの計22車種についての買い替え優待制度による値引きをきっかけに引き起こされた価格競争の影響で、同社の時価総額が2週間で200億ドル(約2兆8900億円)以上減少したことを報じた。
記事は「ブルームバーグによると、香港市場に上場しているBYDの株価は過去最高値から13%下落した。
BYDは5月にEVとPHVの計22車種について、買い替え優待制度により最大34%の割引を発表し、自社開発した先進運転支援システム「天神之眼」を一部モデルに無料搭載することで消費者の興味を引こうとしたが、5月末までの販売台数は年間目標の32%しか達成しておらず、反応はいまひとつだという。また、小鵬汽車(XPeng)や吉利汽車(ジーリー)、零跑汽車(リープモーター)などの競合企業がシェアを伸ばしており、BYDの年間目標の550万台の達成を疑問視する声も広がっている。
オーストラリアのソロモンズ・グループのアジア太平洋地域投資ディレクター、アンディ・ウォン氏は「BYDの最近の株価の動きは、市場の利益率圧迫に対する懸念と、EV業界全体に対する心理面の勢いが弱まっていることを反映している。成熟し、競争が激化したEV市場において、大幅値引きだけに頼っていては顕著な販売台数の回復や増加を実現するのは難しい」と指摘した。(翻訳・編集/原邦之)