韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領の今月23、24日の日本訪問をめぐり、中国メディアの環球時報は26日、「韓国の対日接近には実務的考慮がある」とする文章を掲載した。著者は黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員の笪志剛(ダー・ジーガン)氏。

文章はまず、「李氏の訪日は多くの議論を引き起こした」と記し、韓国の歴代大統領が一般的に就任後初の外交訪問で米国を選ぶ慣例を打破しただけでなく、韓国が民主憲政を実施して以降、敏感な光復節がある8月に日本を訪れた最初の大統領になったと言及した。

また、「両国はさらに17年ぶりとなる会談後の共同文書発表で、経済、安全保障など多くの分野での協力強化を約束した」と紹介し、「李氏は野党時代の立場を改めて日本との距離をさらに縮めた。これは新政権が韓日関係の『雪解け』を進めていることを示唆している」とした上で、「李政権は発足以来、国益に基づく実用外交の理念を掲げ、韓国の調整力を示すことを模索してきた。その代表例が今回の『シャトル外交』を利用した日本との関係強化であり、李政権の韓日関係発展における三つの考慮を映し出している。だが、今回の韓日首脳会談後も両国関係の発展は依然課題に直面している」と論じた。

文章で挙げられたのは、日本との安全保障協力、経済協力、都市や地方ガバナンスにおける協力の3点だ。

一つ目の安全保障協力について文章は、「韓日協力を通じた米日韓安全保障メカニズムの調整だ」とし、この分野で韓国は日米との連携が不可欠だが歴史問題や現実的矛盾を巡る日本との対立は米国に日米韓協力に対する不安を抱かせたとの見方を示した。

二つ目の経済協力については「韓日協力の拡大を通して韓国の対米依存を減らすことだ」とし、日本と韓国は産業における役割や技術協力などにおいて一定の補完性を持っていると指摘。2024年の日韓貿易は770億ドル(約11兆3600億円)余りで韓国は150億ドル(約2兆2100億円)の赤字、日本から韓国への投資は61億ドル(約9000億円)とのデータを示した上で、「米国の関税と投資圧力の下、韓国が対日協力を安定させ拡大することは経済界の訴求に合致し、過度な対米依存がもたらした韓米交渉における不利な立場の修正につながる」と指摘した。

三つ目の都市や地方ガバナンスにおける協力については「参考にして協力することで発展を阻む壁を突き破ることだ」とし、「韓日はともに少子高齢化や地方の人口減少に直面している」と言及。さらに「東京とソウルの首都一極集中問題は高度に類似している」と述べてから「今回、人口減少や首都一極集中など共通の課題について両国が協議体設置で合意したことは両国の都市発展や地方ガバナンスに新たな解決策を提供するかもしれない」と論じた。

文章はこうした説明の後に「今回達成された経済と安全保障の共通認識には関連する影響も伴う」と続け、「経済について言えば、第三者を排除しない限り韓日協力は全体的に利が害を上回る」と評した。

一方、安全保障については「成り行きを楽観できない」とし、「韓日の警戒対象は北東アジアに集中しており、地域内の緊張を引き起こしやすい」などと論じた。

また、「韓国は対日関係を軌道に戻そうとする中、米国の有形無形の圧力に直面している。これは外交上は日本と連携して『盟友無視』の米国に対応する底力を強めたい一方、安全保障上は日本と連携して『盟友の団結』に対する米国の賛同を得たいというジレンマの所在だ」と述べた上で、「日本との協力強化は経済面では米国のリスクを和らげるのに役立つ。しかし、長期的な安全保障において韓米同盟抜きは難しい」との考えを示した。(翻訳・編集/野谷)

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