中国メディアの参考消息は8月29日、「中国では長江の船までもが電動化されている」とするフランスの経済紙レゼコーの記事を紹介した。

記事はまず、「中国はバッテリーに関する専門知識を活用し、船舶を含むあらゆる輸送手段の電動化を進めている」とし、「長江のほとりにあり、三峡ダムからほど近い人口400万人の都市、宜昌の港では、焼けつくような暑さの中、乗船を待つ人々が群がっている。

ブリッジでは、地元の少数民族の衣装をまとったダンサーたちが、特色あるパフォーマンスで乗客を出迎えていた。数分後、長江三峡1号が音も黒煙も出さずに出航した。全長100メートル、最大1300人を乗せられるこの船は、2022年に就航した中国最大の全電化クルーズ船だ」と伝えた。

その上で、「電動化によって運営コストが50%削減された」とする国営クルーズ会社のツアーガイドのコメントを紹介し、「新世代の電気船を開発しているのは中国だけではない。しかし、中国には明確な強みがある。それはバッテリー大手の寧徳時代新能源科技(CATL)だ。世界の動力用バッテリーの約40%を供給するCATLは今年、世界最大規模の株式公開を達成し、宜昌に新工場を開設済みだ」と伝えた。

記事はさらに、「宜昌は三峡ダムからわずか50キロという立地のおかげで、豊富で安価な電力供給を誇っている」とし、「ここでは電気代はガソリンの3分の1だ。長距離輸送の必要がないからだ。長江の船舶は長らく石炭とガソリンを燃料としてきた。三峡ダムの運用が本格的に開始されて以来、船舶数が急増し、汚染を引き起こしている。内陸水路輸送の利点を生かしつつ、環境保護にも配慮していかなければならない」とする地元政府関係者のコメントを紹介した。

記事は「中国は、輸出能力を備えた業界のリーダーを育成することを目標に、自動車以外の輸送分野全体にバッテリーの技術的優位性を拡大している」とし、「長江三峡1号の乗客のほとんどが電動船だということに気づいていないが、中にはその技術に感銘を受けた人もいる。武漢から来たというあるカップルは、夜陰に紛れて手をつないで船を降りながら、電動船は環境に優しく安全だと語った」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)

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