シンガポール華字メディアの連合早報はこのほど、中国の製造業の景気指数が景気拡大・縮小の境目となる50を5カ月連続で下回ったことを取り上げ、今年の国内総生産(GDP)成長率目標の5%前後を死守するため年内に国民生活分野への投資を拡大するとの専門家の予想を紹介した。
記事はまず、中国国家統計局が8月31日に発表した8月の製造業の景気指数は49.4で、7月と比べて0.1ポイント改善したものの、ブルームバーグとロイターの予想の49.5を下回り、景気拡大・縮小の境目となる50を5カ月連続で下回ったことに触れた。
そして、国家統計局の統計官である趙慶河(ジャオ・チンホー)氏は、「前月比での上昇は景気水準の改善を示している」と解説したが、小売業や不動産業など業種別の事業活動指数は依然として境目を下回っており、景気見通しの弱さを示唆していると伝えた。
また、ロイター通信がエコノミストの話として、中国は不動産業界が低迷しているだけでなく、雇用不安の増大や地方政府の巨額債務、異常気象、輸出の低迷など多重の試練に直面していて、今年のGDP成長率5%前後という野心的な目標達成は難しいと伝えたことも紹介した。
記事はその上で、重慶大学の姚樹潔(ヤオ・シュウジエ)教授(経済学)が「中央政府から地方政府に至るまで、5%前後という目標の死守に向け全力を尽くすだろう。これは特に重要だ。なぜなら今年は第14次5カ年計画の最終年だからだ。この目標が達成されなければ、次の5カ年計画に大きな影響が及ぶことになる」と分析し、政府は成長率目標達成に向けた遅れを取り戻すため、年内に教育や医療、高齢者介護など国民生活への投資を増やす可能性があると予想していると伝えた。(翻訳・編集/柳川)