ネットでは、中国を訪問したトランプ米大統領一行が15日、帰国の途に就くために飛行機に乗り込む直前に、中国側から受け取った品をすべて廃棄したとの情報が駆け巡った。ドイツメディアのドイチェ・ベレは、この情報が真実と訴えるために拡散した画像が、人工知能(AI)を使った、いわゆる「フェイク」だったと指摘し、実情の調査結果を紹介する記事を発表した。

「トランプ大統領一行が中国からの贈り物をすべて投げ捨てた証拠」として拡散した画像では、駐機中の米国の大統領専用機の手前に大きなごみ入れの容器が置かれ、赤や黒、金色を基調として「贈り物」に見える箱や紙包みが山積みになっている。また、今しも赤い箱を捨てようとする男性の姿も写っている。この画像は、米国からトランプ大統領一行に随行して訪中した記者による、X(旧ツイッター)への投稿とされた。

この画像はユーチューブ(YouTube)やスレッズ(Threads)でも、「画像があって真相がある」「外交の震撼する名場面」「信頼など全く存在しない」などの文言も添えて拡散され、100万回以上のクリックや数万の「いいね」を獲得する投稿も出現した。

ドイチェ・ベレは問題の画像について「本物のエアフォース・ワン(米大統領専用機)の写真と比較すると、ネット上で拡散している画像にある飛行機は、窓の数や位置が明らかに一致していない」「機体上部のラインが著しく変形していることが容易に見て取れる」「飛行機のドアには、本来ならあるはずの米国の国章が見えない」などと指摘。さらに、「私がこの画像の撮影者だ」と主張する人物も見当たらないという。ドイチェ・ベレはこの画像について、「AIを使って合成されたもの」との判断を示した。

この「中国からの贈り物をすべて投げ捨て」との情報の発端となったとみられるのは、米紙「ニューヨーク・タポスト」の記者のエミリー・グーディン氏のXへの投稿だ。グーディン氏は15日に、「米国側のスタッフは中国の官僚が配布したすべての物――証明書、そしてホワイトハウスの職員が配布した使い捨て携帯電話、代表団のバッジ――を回収し、私たちがエアフォース・ワンに搭乗する前に、それらをすべて集めてタラップの底部にあるごみ箱に投げ捨てた。中国からもたらされた物はいかなる物も飛行機に持ち込むことが許されない。私たちは間もなく離陸して米国に戻る」と投稿した。

グーディン氏の投稿は波紋をもたらし、また多くのメディアが引用した。ドイチェ・ベレがグーディン氏に対して「飛行機内への中国からのいかなる物品の持ち込みも本当に禁止されたのか。贈り物も含まれたのか」と問い合わせたところ、グーディン氏は「(この措置は)電子機器や公式の証明書材料に特化したもののようだ」と説明し、さらに「国として渡された贈り物の状況については確かではない。私はホワイトハウスに問い合わせたが、まだ回答をもらっていない」と付け加えた。つまり、「最大の情報源」とされたグーディン氏も、中国側からの贈り物が廃棄されたことを目撃していなかったことが分かった。

トランプ大統領の訪中直前に、米フォックス・ニュースは米国のシークレットサービスの元関係者やホワイトハウス元最高情報責任者の言葉を引用して、「大統領の随行員は(中国など)リスクが高い環境への訪問時に、個人の携帯電話を携帯してはならない。彼らは通常、簡便な『まだ情報が記録されていない端末』、臨時のノートパソコン、および厳格に制御された通信システムを支給される」「米国高官によって世界で最も攻撃的なサイバー環境とみなされている中で、これらの通信システムは監視、ハッカー攻撃、またはデータ漏洩に遭遇するリスクを最大限に低減することを目指している」と報じた。

米国当局が随行員に配布した電子機器などは、帰国の際に回収されるとされる。このような手配は、米中両国のサイバー空間での攻防が常態化していることを反映している。トランプ米大統領は帰路の飛行機内で、習近平主席と中国による米国へのサイバー攻撃について話したかどうかを尋ねられ、肯定的な回答をした。トランプ大統領はさらに、「彼(習近平主席)も我々が中国で行っている攻撃に言及した。彼らがやっていることを、我々もやっている。まるでスパイ活動のようなものだ」と説明した。(翻訳・編集/如月隼人)

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