シンガポールメディアの聯合早報は22日、「カボベルデの奇跡は中国のおかげ?」と題する記事を掲載した。
サッカーのワールドカップ(W杯)北中米大会グループHで、初出場の西アフリカの島国カボベルデは優勝候補の強豪スペインと引き分け、「今大会最大の番狂わせ」「奇跡」などと称賛された。
カボベルデは人口わずか50万人余りで、W杯出場国としては史上3番目に人口の少ない国。スペイン戦での歴史的な引き分けにより、これまで注目を集めることのなかった島国は一夜にして世界の注目の的になった。この試合で活躍したゴールキーパーのヴォジーニャのインスタグラムのフォロワー数は、大会前の5万から現在では1500万にまで激増している。
聯合早報によると、中国のメディアもこの活躍を相次ぎ報じており、カボベルデの活躍と中国を結び付ける報道が特に注目を集めている。中国メディアの紅星新聞は「カボベルデがW杯出場を決めた重要な試合は、中国の支援で建設されたスタジアムで行われた」「カボベルデは中国がW杯の夢をかなえるのを助けてくれたことに感謝している」などと報じ、この話題はSNS・微博(ウェイボー)のランキング上位に入った。
その後、中国新聞社をはじめとする複数の中国メディアも相次いで後追い報道を行った。報道によると、このスタジアムは2013年に完成し、同国独立後、初の国際基準を満たすスポーツ施設となった。当時のネヴェス首相は「これは中国が私たちのために実現してくれた夢。カボベルデ国立競技場は独立以来最大規模のプロジェクトの一つ」と発言していたという。
しかし、こうした報道にSNS上では疑問の声も上がった。微博の著名アカウントの一つは17日、「『カボベルデ政府が中国にW杯出場の夢をかなえてくれたことを感謝した』というのは一部メディアが作り上げた虚偽の主張であり、SNS上で注目やアクセスを集めるために無理やり作り出した話題だ」と投稿した。同アカウントは、「カボベルデ政府がW杯出場決定に際して中国へ特別な感謝を表明した事実はなく、中国メディアは10年以上前のスタジアム完成時の謝意表明を、今回のW杯出場と無理やり結び付けているだけ」と主張した。
また、「カボベルデがW杯出場を果たした要因は、海外でプレーする選手の発掘や帰化政策、選手や監督の努力によるものであり、中国が建設を支援したスタジアムが果たした役割は不明確」としたほか、「2018年にW杯出場を目指した際、同スタジアムでのカボベルデの戦績は1勝2敗で、旧スタジアムを使用した14年大会の2勝1敗を下回っていた。こうした成績の変化を中国が建設支援したスタジアムと結び付ける人はいない。ならば、今回のW杯出場を中国の支援によるスタジアムと結び付けるのもこじつけに過ぎない」と指摘した。
この話題はネット上でも活発な議論を呼んだ。多くのネットユーザーは、「カボベルデが中国にW杯出場の夢をかなえてくれたことを感謝した」という表現は、あたかもカボベルデ政府がW杯期間中に中国に謝意を示したかのような誤解を与えかねず、ミスリードだと指摘した。具体的には、「話題に便乗している」「手柄を横取りしている」との批判の声が上がり、カボベルデ自身の努力を中国の成果として演出しているとの声も聞かれた。
また、「どんなことでも自分たちなりの勝ち方を見つけるものだ」「なるほど、中国はこうやってW杯に参加していたのか」「中国代表がW杯に出られないのは、スタジアムの建設数がまだ足りないからなのか」といった皮肉交じりのコメントも寄せられたという。
一方で、「中国の支援によるスタジアム建設がカボベルデのスポーツインフラを改善し、現地サッカーの発展により良い環境をもたらしたことは事実であり、評価されるべき」とのユーザーも一定数いた。中国国際問題研究院発展途上国研究所の馬漢智(マー・ハンジ―)氏は「スタジアム完成後も中国側の技術支援は途切れることなく続いている。同国代表の本拠地であるだけでなく、国民がスポーツや文化活動に参加するための重要な場にもなっている」と説明した。
また、上海外国語大学中東研究所の趙軍(ジャオ・ジュン)氏も「プライアのスタジアム完成によってカボベルデはアフリカ大陸レベルのサッカー大会を開催できるようになり、代表チームの歴史的なW杯出場を後押ししたほか、国民のサッカー熱と民族的誇りを高めた」との見方を示した。中国は過去50年間でアフリカ各地に100カ所以上のスポーツ施設を建設支援してきた。
ただ、聯合早報の記事は「カボベルデとスペインの試合を振り返ると、最も印象的だったのはスタジアムではなく、GKの度重なる好セーブ、守備陣の粘り強い対応、そしてチーム全体の戦術遂行能力だった」と言及。「スペインのボール支配率は74%に達し、シュート本数は27本、うち7本が枠をとらえたが、いずれもGKヴォジーニャが好セーブで阻止した。さらに驚くべきことに、カボベルデのファウル数は試合を通じてわずか1回だった」と説明した。
そして、「結局のところ、サッカーをプレーするのは人であって、スタジアムではない。近代的なスポーツ施設はより良い練習環境や試合環境を提供し、サッカー発展の重要な基盤となり得る。しかし、それが長年にわたる人材育成や戦術理解、チームスピリットに取って代わることはない」と論じた。(翻訳・編集/北田)











