2026年10月9日、中国メディアの鳳凰網は、台湾・台北市長選を巡り、再選を目指す国民党の蒋万安(ジアン・ワンアン)市長の支持率のリードが急速に縮まり、もはや「楽勝」を期待できる状況ではなくなったとする海峡導報記者の論評を掲載した。
台湾のTVBSテレビが8日に公表した世論調査によると、蒋氏の支持率は49%、民進党の沈伯洋(シェン・ボーヤン)氏は41%だった。
記事は、この結果が直ちに選挙の勝敗を決定づけるものではないとしながらも、国民党にとって重要な警告だと指摘。これまで高い人気を誇り、再選が有力視されてきた蒋氏も、もはや「選挙運動をしなくても勝てる」と楽観できる状況ではないと論じた。
また、TVBSは中道から国民党寄りの立場とされるメディアであることから、国民党側も今回の調査結果を軽視することはできないとの見方を示した。
記事によると、蒋氏は現職市長という強みや国民党の安定した支持基盤に加え、再選への期待の高さでも優位に立ってきた。しかし、今回の世論調査は、圧倒的なリードを保っていた選挙情勢が、双方の激しい競り合いへと変わりつつあることを示しているという。
特に注目されるのは若年層の動向だ。20~29歳の有権者では沈氏の支持率が52%に達し、蒋氏の44%を上回った。蒋氏が比較的優勢だった40~49歳でも、蒋氏47%に対し沈氏45%と、差はわずか2ポイントに縮まった。
また、2022年の台北市長選で民進党の陳時中(チェン・シージョン)氏に投票したと回答した人の93%が、今回の調査では沈氏を支持した。さらに、前回選挙で無所属候補だった黄珊珊(ホアン・シャンシャン)氏に投票したと回答した人のうち、53%が沈氏を支持し、蒋氏を支持した39%を上回った。
こうした数字から、民進党が従来の支持層を固めただけでなく、若い世代や中間層にも支持を広げていると記事は分析している。
蒋氏の支持率が低下した背景には、市政運営を巡る問題や危機対応への不満が影響しているという。
蒋氏は市内の小中学校で学校給食を全面的に無償化する政策を推進しているが、複数の学校で給食を食べた児童・生徒が体調不良を訴える問題が発生。市当局の対応に批判が集まった。
TVBSの調査では、蒋氏の施政満足度は52%となり、5月の59%から7ポイント低下した。学校給食の問題への市当局の対応については、39%が「不満」と回答し、「満足」の32%を上回った。
記事は、未成年者の夜間営業施設への立ち入りを巡る問題なども挙げ、こうした生活に密着した問題への対応が、蒋氏の「安定した市政運営」というイメージに打撃を与えていると分析した。
さらに、蒋氏は当初、台湾全域で国民党候補の応援に回ることも期待されていたが、台北市長選の情勢が厳しくなるにつれ、自身の選挙対策に力を注がざるを得なくなっていると指摘。民進党による蒋氏の活動範囲を台北にとどめる戦略が、一定の効果を上げているとの見方を示した。
一方、沈氏は「台北大洋流」と銘打った各地での選挙活動や積極的なメディア露出を通じて知名度を高めている。こうした取り組みにより、沈氏は従来の強い政治的主張で知られる人物というイメージから、より幅広い有権者に支持を訴える挑戦者へと変わりつつあるという。
もっとも、台北市長選の情勢が完全に逆転したというわけではない。
沈氏の支持率41%は、依然として民進党の従来の支持基盤の範囲内にあり、支持層を大きく超えた広がりを獲得するまでには至っていない。
実際、今回の調査では「最終的に誰が当選すると思うか」との質問に、55%が蒋氏、20%が沈氏と回答した。候補者への支持率では差が縮まったものの、当選の見通しでは蒋氏が大きくリードしている。
なお、記事は、蒋氏が再選を確実なものにするには三つの課題があると指摘した。
第一に、学校給食や学校の安全に関する問題に、より透明性の高い具体的な対応を示し、市政への信頼を回復すること。第二に、国民党と台湾民衆党の支持層に加え、中間層や若年層の支持をつなぎ留めること。そして第三に、受け身の選挙運動から脱却し、具体的な市政の成果や将来構想を示して政策論争の主導権を取り戻すことだという。!1462025>[]
蒋氏が最近、台北松山空港のあり方を見直す構想などを打ち出しているのも、選挙戦の焦点を政策に引き戻そうとする動きと位置付けた。
記事は、台北市長選では依然として蒋氏が優勢だとしながらも、再選が確実な状況ではなくなったと指摘。11月28日の投票まで残り約50日となる中、失点をいかに防ぎ、態度を決めていない有権者をどちらが説得できるかが、最終的な勝敗を左右すると結論付けた。(翻訳・編集/耕雲)











