米大手音楽出版社Downtown Musicと大型契約を締結したConcord Music Publishingがビヨンセ、レディー・ガガ、エリック・クラプトン、ジェイ・Z、アデルの楽曲の著作権の一部を取得。

大金が動く音楽業界の著作権フィーバーはまだまだ続く。
米現地時間4月26日、テネシー州ナッシュビルをはじめ、ニューヨークやロサンゼルスにオフィスを構える音楽出版社Concord Music Publishing(以下、Concord)は、大手音楽出版社Downtown Music(以下、Downtown)が所有/共同出版した14万5000曲からなる全ポートフォリオを取得したと発表した。

今回の契約によってConcordが手に入れた楽曲には、アデル、アレサ・フランクリン、ビヨンセ、カントリーミュージシャンのブレイク・シェルトン、ブルーノ・マーズ、カントリーミュージシャンのキャリー・アンダーウッド、デヴィッド・ボウイ、エリック・クラプトン、ザ・グレイトフル・デッド、ジェイ・Z、レディー・ガガ、マドンナマルーン5、マーヴィン・ゲイ、メアリー・J・ブライジ、ヒップホップ・アーティストのモス・デフ、モトリー・クルー、ニュー・オーダー、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、レイ・チャールズ、サンティゴールド、サム・スミス、スティーヴィー・ワンダー、The 1975など、そうそうたる大物アーティストのものが含まれる。

はっきり言っておくが、上記アーティストたちはスティーヴィー・ニックスやボブ・ディランらとは異なり、自作の全楽曲カタログを直接売却したわけではない。Downtownは特定の著作権の所有者であるだけでなく、作曲家の代理人でもあるのだ。ビヨンセの「Halo」の共同作曲者ライアン・テダーと、レディー・ガガ&ブラッドリー・クーパーのデュエット曲「Shallow」の共同作曲者アンソニー・ロッソマンドもDowntownの音楽出版部門と契約している。というわけで、この度Downtownはこうした楽曲の著作権をConcordに売却したことになる。


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Concordが発表したプレスリリースには、インストゥルメンタルR&B/ファンクバンドのブッカー・T&ザ・M.Gsの「Green Onions」、女性コーラスグループのマーサ&ザ・ヴァンデラスの「Dancing in the Streets」、モトリー・クルーの「Home Sweet Home」、エリック・クラプトンの「Change the World」、マルーン5の「Moves Like Jagger」、サム・スミスの「Stay With Me」などのヒット曲がハイライトとして紹介されている。契約の金銭的条件は明らかにされていないものの、米Music Business Worldwideは4億ドル(約430億円)前後と予測する。

「Concordは、我々が光栄にもこの14年にわたって築き上げてきた比類なきカタログの最高のホームとなるでしょう」と、Downtownの創業者兼CEOのジャスティン・カリフォヴィッツ氏は述べた。「Concordがこれらの作品の価値を理解していることはもちろんですが、今回の取引は現代の独立系音楽セクターの真の強みを証明してくれました

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プレスリリースによると、著作権の売却を通じてDowntownは、同社の中核を担う音楽出版サービス事業、シンクロ権事業、作曲家のための著作権管理プラットフォーム・Songtrustによりフォーカスするための手段と余力を手に入れたいと考えている。

これに加えて、今回の契約によってジョージ・ガーシュウィン・エステート(遺産管理団体)、ジョン・レノン&オノ・ヨーコ、マイルス・デイヴィス、ジョン・プライン、ウータン・クラン、ライアン・テダー/ワンリパブリックを含むDowntownの出版管理部門の全顧客は影響を受けない。