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しかしアヴリル・ラヴィーンがこのシーンの女王として復活したり、トラヴィス・バーカーがアメリカを代表するドラマーの座についたりと、この音楽の奇妙なレガシーを予想できた者は誰もいなかっただろう。オリヴィア・ロドリゴは初のツアーでアヴリルの「Complicated」をカバーした――まさに、タスキをつないだ形だ。
ポップパンクは進化を遂げ、音楽用語として当たり前に使われるようになった。とくに女性のリスナーやパフォーマーは、ポップパンクこそが自分たちを表現するジャンルだと主張している。
マシン・ガン・ケリーがまさにいい例だ。彼は「本物」のポップパンクか否かという議論を呼んだが、以前だったらばからしく思えたかもしれない――このジャンルに純粋主義者が出てくるなんて、誰が思っただろう? だが、賛否両論もこのジャンルの魅力のひとつだ。「ロックスターの時代は終わったという記事を読んだ」と、マシン・ガン・ケリーはアメリカン・ミュージック・アワードで発言した。「でも俺にはピンピンしてるように見えるけどね!」
系譜をたどるとラモーンズにまでさかのぼる。彼らは1970年代、汗臭い麻薬まみれのCBGB全盛期に「1-2-3-4!」と叫んでパンクロックを定義した。だが忘れてはならないが、そもそも彼らが影響を受けたのはバブルガム・ティーンポップ、1970年代に頂点を極めたボーイ・バンド、ベイ・シティ・ローラーズだった。
ボーイ・バンドとパンクロック
2014年、オーストラリアのファイヴ・セカンズ・オブ・サマーがブレイクした時、ボーイ・バンドとパンクロックの垣根は永遠に取り除かれた。彼らはワン・ダイレクションのオープニングアクトを務めた際、グリーン・デイやニルヴァーナのTシャツ姿でパンクロックのギターリフを演奏し、スタジアムを揺るがせた。当時彼らと話をした時、ファイヴ・セカンズ・オブ・サマーが本物かどうか議論したがる「純粋主義者」がいることに、彼らは腹を抱えて笑った。「人々を混乱させるのは楽しいね」と、ドラマーのアシュトン・アーウィンが言った。
そうした言葉は預言となった。ポップパンクがリバイバルした主な理由は、ポップ界の女性たちがこれぞ自己表現の手段だと主張し、ポップパンクをかつてないほど多様なものにしたからだ。
ジェイデンのような若いアーティストがよりポップになってきているとか、blink-182がラスベガスでレジデンス公演を始めたとか、ポップパンクの「正統性」「元祖」をめぐる議論が盛り上がっている。それらも含めて、このジャンルが長い年月を経て重要性と影響力を増し、こんな風にいい歳の取り方をするとは誰も思っていなかっただろう。
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from Rolling Stone US