NewJeansが語る、全世界待望の2nd EP『Get Up』で見せた成長、グループのダイナミクス

2023年07月21日(金)18:00

NewJeansが語る、全世界待望の2nd EP『Get Up』で見せた成長、グループのダイナミクス

2022年に電撃的なデビューを果たしたK-POPガールグループのNewJeans（ニュージーンズ）。今夏、メンバーのMINJI（ミンジ）、HANNI（ハニ）、DANIELLE（ダニエル）、HAERIN（へリン）、HYEIN（ヘイン）が2nd EP『Get Up』とともにさらなる高みに挑む。

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一気にスターダムを駆け上がったNewJeansの短いながらも爽快なストーリーには、ひとつだけ群を抜いて特別な日付がある。2022年7月22日だ。この日を境に、5人の無名のティーンエイジャーは、世界からもっとも熱い視線を集める存在となった。「人生でいちばんハラハラどきどきの日になると思っていました」とMINJIは言う。「とても幸せでしたが、不安もありました」。HAERINは、デビューシングル「Attention」のMVの公開を待っていた時のことを次のように振り返った。

「私たちはみんな、とにかくデビューのことだけを考えていました。実際、公開を待ちながらカウントダウンをしていたのを覚えています！」

2022年の夏、彗星のように現れたMINJI、HANNI、DANIELLE、HAERIN、HYEINの5人は（メンバー全員がティーンエイジャーで、最年長のMINJIが19歳、最年少のHYEINが15歳）K-POP界に旋風を巻き起こした。4曲収録の1st EP『New Jeans』によって彼女たちは、2022年にもっともブレイクした新興アーティストとして注目を集めたのだ。音楽再生やコンテンツ消費トレンドなどを分析するLuminateのデータによると、NewJeansの楽曲のオンデマンド型の音楽ストリーミング回数は、全世界で8300万を超える。さらには、デビューからたった一年弱でマクドナルドやリーバイス、コカ・コーラなどのグローバル企業とのコラボレーションを実現した。それに加えてメンバーそれぞれがグッチやシャネル、ルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドのアンバサダーとしても活躍している。

「いつも言っていることなのですが、本当に信じられません」とDANIELLEは英語でコメントし、にっこりと笑った。

2023年2月末、5人は韓国・ソウルの聖水洞（ソンスドン）にあるスタジオに集結した。ここはもともと小さな町工場が立ち並ぶインダストリアルなエリアだったが、数年間にわたるリノベーションを経て、いまではカフェやギャラリー、ファッションブランドのポップアップストアなどが軒を連ねる、おしゃれなエリアに生まれ変わったのだ。街の至るところにNewJeansの広告が張り出されている。そこから数ブロック離れた場所には本人たちの姿が。笑いながら、おしゃべりに花を咲かせている。

NewJeansの5人は、世界がもっとも注目するガールグループのメンバーで、想像を超えて足がついている。韓国のエンタメ業界を代表する大手HYBE傘下のレーベル・ADOR（All Doors One Room）の所属アーティストなのだ。そしてこのレーベルを率いているのがミン・ヒジン氏。少女時代をはじめ、K-POPのビッグネームをプロデュースしたベテランだ。ミン氏とNewJeansの5人は手を取り合って、ノスタルジックなY2Kを全面的に押し出した、パワフルなヴィジュアルコンセプトを構築した。それはMVからメンバーのファッション、さらにはマーケティング素材に使われるフォントに至るまで、徹底的に落とし込まれている。

MINJI（Photo by Nikolai Ahn for Rolling Stone）

新しい音楽でさらなる飛躍へ

インタビュー当日は、偶然にもシングル「Ditto」がMelon（韓国版Spotify）のデイリーチャート記録を塗り替えた日でもあった。なんと「Ditto」は、10週連続でチャートのトップに君臨し続けたのだ。「こうしたことに、ただただ驚いています。『どういうこと？　なにが起きているの？』の連続なんです」とDANIELLEが言った。

2022年7月22日にグループに関する事前情報がほとんどない状態で「Attention」のMVがリリースされたのは、K-POP界において前代未聞のことだった。通常、K-POPレーベルは新しいグループのデビュー曲が公開される前にメンバーをひとりずつ紹介していく。

そうすることで、オーディエンスの期待感を高めていくのだ。だが、NewJeansの画期的な戦略は見事に成功した。翌日の7月23日には、さらに中毒性の高いシングル「Hype Boy」をリリース。ひとつひとつのストーリーがつながっている4本のMVを同時公開した。こうして世界中のオーディエンスがNewJeansというグループ名を知った。

「ミン・ヒジン代表は、デビュー前に私たちを招いて、料理でもてなしてくれました」と最年少メンバーのHYEINは回想した。

「ミン・ヒジン代表は、私たちに『デビューEPのティザーの公開方法について、なにか希望はある？』と訊いてくれたんです。きっと、私たちがどう答えるか興味があったんだと思います。そこで私は『ティザーなしで、いきなりMVを公開するのが楽しいと思います』と提案しました。すると『そうなの？　奇遇ね。私たちもそうしようと思っていたの！』という答えが返ってきたんです」

HANNI（Photo by Nikolai Ahn for Rolling Stone）

1st EP『New Jeans』は、たった4日間で44万4000枚以上というプレオーダー数を記録した。これは、K-POPガールグループのデビューEPとしては新記録だ。だが、2023年には自ら打ち立てた記録をシングル『OMG』が塗り替えた。プレオーダー数は、『New Jeans』の約2倍だった。『OMG』は一躍TikTokトレンドとなり、シンプルなダンスチャレンジ動画や「Ditto」のMVで使われたビデオカメラ風のエフェクトの再現動画、さらにはタイトル曲「OMG」のサビをフィーチャーしたクスッと笑えるミームなどがネット上にあふれた。

DANIELLE（Photo by Nikolai Ahn for Rolling Stone）

この日は、2023年7月21日リリースのNewJeansの2nd EP『Get Up』が発売される数カ月前だった。新作がリリースされることに対し、彼女たちはファンと同じくらい興奮している。「新作は、とにかくなにからなにまで……フレッシュな感じです」とHANNIが言った。「これまでリリースした楽曲と比べると、よりバリエーションに富んでいることは確かです。音楽のジャンルやダンスのスタイルに限らず、私たちが表現しようとしていることや、皆さんに見ていただきたい姿という点からみても、さらに多彩になったと思います」。さらにHANNIは続ける。「私たちは、まだ誰も試したことのないような、あるいはあまり馴染みのない音楽の領域に足を踏み入れようとしているんだと思います」

リリースを前に、MINJI、HANNI、DANIELLE、HAERIN、HYEINはかつてないほど忙しい毎日を送っている。それでも、彼女たちにはひとつひとつの瞬間を楽しむキュートな方法があるようだ。「前に何度か、レコーディングスタジオにポラロイドカメラを持っていったことがありました」とDANIELLEが笑いながら振り返った。「レコーディングが終わるたびに、マイクと一緒に自撮りをするんです。その時のレコーディングの思い出を残すために」（撮影に加わったHAERINも「私も、レコーディング後にポラロイド写真を撮りました。でも、ぴったりのアングルがなかなか見つからなくて。5枚以上は撮ったと思います」と楽しそうに回想した）

HAERIN（Photo by Nikolai Ahn for Rolling Stone）

パフォーマンスから伝わる、以心伝心のような感覚

彼女たちがNewJeansのメンバーとして活動するようになってから約1年が経つ。だが、メンバー同士の付き合いはそれよりも長い。デビューに向けて、長期にわたって準備をしたり、練習をしたりしてきたのだ。そのせいか、5人の間にはベテランに匹敵するケミストリーがある。これについて彼女たちは、グループのダイナミクスをサンドイッチにたとえた。もちろん、そこには冗談も混じっているのだが、彼女たちはこうした細かい点にもとことんこだわっているのだ（サンドイッチのたとえは、ライブ前にメンバー全員で手を握るというルーティーンを想起させる）。

5人は、楽しそうにサンドイッチのたとえを解説してくれた。具材を挟むパンはHANNI。いつも笑顔で何事にも積極的なDANIELLEは、シャキシャキとした歯応えが魅力の根菜とレタス。MINJIはたまごで、HAERINは柔らかく熟したアボカド。冗談を言うのが大好きで、4人のメンバーからかわいがられているHYEINはハムとチーズだ。

誰もがイメージするサンドイッチとは少し違うかもしれないが、5人にとってそんなことは重要ではない。「ひとりひとりが、なくてはならない存在なんです」とMINJIが言った。「ひとつでも欠ければ、サンドイッチにはなりませんから」

言葉を使わなくても5人の心が通じ合っている様子には、驚くべきものがある。実際、こうした以心伝心のような感覚は、彼女たちのパフォーマンスからも伝わってくる。どうやら彼女たちは、互いをちらっと見るだけでコミュニケーションをとっているように思えるのだ。「緊張して不安な時は、アイコンタクトで伝えます」とMINJIが言った。ステージ上で繰り広げられるメンバー同士のやり取りは、NewJeansのライブのトレードマークともいえるかもしれない。だが、これらは自然に生まれたものだった。その後、パフォーマンスディレクターから勧められたのを機に、積極的に行なうようになったそうだ。

HYEIN（Photo by Nikolai Ahn for Rolling Stone）

世に送り出した楽曲が次々と前作を上回るなか、レコーディングはメンバーたちの日課となった。「楽曲を自分のものにするのは、本当に大切なことです」とHANNIが言う。「そのほうがリラックスして歌えますから。私たちは、なるべく全員一緒に曲を聴き、時間をかけて話し合うようにしています」とDANIELLEが微笑みながら言った。「英語の発音に関しても、助け合っています。英語が得意なメンバーもいるので！」

NewJeansの人気は凄まじく、いまでは誰もが彼女たちの曲を聴いているような気さえする。それに対し、メンバーたちはどのような音楽を聴いているのだろうか？　「私もNewJeansを聴いています」とMINJIが笑いながら答えてくれた。自分たちの楽曲のなかでも、特にリミックスを聴くのが楽しいそうだ。「少し前のことですが、楽屋で『OMG』のR&Bバージョンをみんなで聴きました」とHANNIが続ける。「数日前は、『Hype Boy』シティポップバージョンを聴いていました。こうしたリミックスを聴くのが楽しいんです」

大きな目標のひとつ、単独公演

それよりも彼女たちを夢中にしているのが、7月21日リリースの2nd EPの楽曲だ。「いままでリリースした楽曲は全部大好きです。でも、2nd EPの曲は、まさに自分が聴いていて楽しいと思える曲なんです」とHANNIが興奮気味に言った。「こうした曲が自分たちの曲だなんて、とても幸せですし、感謝の気持ちでいっぱいです」

NewJeansの5人には、まぶしすぎる未来が待っている。彼女たち自身も、新作ごとに世間の期待を超えたいと願う。そのためにも、練習室に集まっては、過去のライブの映像を見直し、改善点をみつけるのだ。「あとから振り返るほうが、改善点をみつけやすいですから」とHAERINが言った（これについてMINJIは「家は休むための場所です。だから、家ではぜったいにしません！」と冗談混じりに強調した）。

2023年後半は、いったいどんなことが待っているのだろう？　不安の混じる気持ちでそう考えながら、彼女たちは「未知」や「出現」、「無人地帯」といった言葉を使ってこれまでの道のりを表現した。NewJeansは、はやくも多くの成功をつかんだが、まだまだ挑戦していないことも山ほどあるのだ。「私たちは、短い間でこんなに遠くまできました。それでも、『まだこれもやっていないし、あれもやっていない！』とみんなで話すのです」とMINJIが言った。「やっていないことの多さに、改めて驚かされます」

さらにMINJIは、それよりも大きな目標がたくさんあると語った。NewJeansの単独公演もそのひとつだ。8月には米・シカゴで開催される音楽フェス「ロラパルーザ」に出演することが決まっている。それだけでなく、ほかにもさまざまなイベントにも出演する予定だ。だが、単独での公演はまだ未知の領域なのだ。大きな目標のほかにも、叶えたい小さなこともあるそうだ。それはなにかと尋ねると、「遊園地に行くとか」という答えが返ってきた。いかにもティーンエイジャーらしい解答だ。

「遊園地に行くという小さなことに加えて、NewJeansとしてどんな未来が待っているかを想像すると、本当にワクワクします」とMINJIが続けた。「楽しい未来が待っているはずです。いまは、なにもかもが新しく感じられるので、毎日が興奮の連続です」

from Rolling Stone US

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