BTSが世界34都市・85公演を巡るツアーの日本公演『BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN JAPAN』が、4月17日・18日にわたって、東京ドームで開催された。2日間で計約11万人を動員した同公演。
ライターの岸野恵加による、2日目のレポートをお届けする。

【ライブ写真を見る】『BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN JAPAN』

4月9日に韓国・高陽の総合運動場メインスタジアムでスタートしたワールドツアー『BTS WORLD TOUR 'ARIRANG'』。東京ドームは2つ目の開催地であり、BTSが全員揃って日本でコンサートを行うのは、実に7年ぶりとなる。

3年9カ月ぶりのニューアルバムとしてBTSが3月20日にリリースした『ARIRANG』は、デビューからの13年間で彼らが築き上げてきたBTSの形、そして人々の中に積み上げられているBTSのイメージをすべて解体し、再構築するような強い意思を感じさせる作品だった。グループの再始動に際し、Netflixで公開されたドキュメンタリー『BTS: THE RETURN』にてリーダーのRMは「何を守り、何を変えるべきか決めなきゃいけない。実験を重ねて、”BTSらしさ”を見つけ出そうとしている」と強い眼差しで語っていた。

その渾身の作品を引っ提げ、ついに日本のARMY(BTSファンの呼称)と再会したBTS。今回のツアーにおける最大の特徴は、会場の中央に配された円形のステージを、客席が全方位から取り囲む360度の構成だ。中央の円から四方に花道が伸び、「すべての席の観客に没入感を味わってほしい」という彼らの思いが表現されている。そして韓国の民謡「アリラン」をタイトルに据えたアルバムとリンクするように、ステージ中央には韓国の景福宮にある慶会楼をモチーフにしたパビリオンが配され、ステージ床面のデザインには韓国旗に込められた哲学を反映。メンバー全員が韓国出身である彼らが、再始動に際して改めて向き合ったグループのルーツやアイデンティティが反映された。

BTS、7年ぶりの東京ドームで描いた「再構築」の一日

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

開演前にはSEとして韓国の伝統音楽が流れ、すでに場内は『ARIRANG』ムード一色。
開演時間が近づくにつれ、客席のARMYからは待ちきれないとばかりにペンライトのウェーブと「BTS!」コールが自発的に起こり、熱気が充満していく。大きな旗を掲げたダンサーがステージに駆け込むと、ブラックレザーの衣装に身を包んだBTSのRM、Jin、SUGA、j-hope、Jimin、V、Jung Kookが堂々と姿を表し、場内は地鳴りのような悲鳴に包まれた。

ライブの幕開けを告げたのは、鋭い剣の音が響きわたる強烈なオルタナティブヒップホップ「Hooligan」。j-hopeのパートを筆頭にメンバーが個性をアピールしていき、不敵に笑うような「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA」のパートに同期するように、勢いよく炎が噴き上がる。7人と再会できた喜びを爆発させるARMYの熱気に呼応して、BTSもボルテージを上げていった。

最初の挨拶でJung Kookは「7年ぶりに東京ドームに帰ってきました。ARMY、本当に会いたかったですよ!」と伝え、目をつぶってARMYの歓声を噛み締める。Jiminは「久しぶりに新しいツアーをスタートするので、本当にワクワクします。一生懸命準備した分、僕たちも頑張りますよ!」とガッツポーズし、SUGAは「今回のツアーではいくつか新しい挑戦をしました。少し慣れない部分があっても、最後まで楽しんでくれたら嬉しいです」と呼びかけた。

メンバーそれぞれが充実したソロ活動で培ってきた経験も反映し、バラエティ豊かな楽曲が収められた『ARIRANG』。Diploがプロデュースに名を連ねたグランジロック「Like Animals」では感情を静かに爆発させるような歌声が観客の胸を打ち、「2.0」では回転する円形ステージの上で、7人がキレのいいダンスパフォーマンスを展開。
〈brand new〉というフレーズを繰り返し、アップデートした自分たちの姿を高らかに打ち出した。そしてアルバムの1曲目を飾った「Body to Body」では、曲中にサンプリングされた「アリラン」の一節を観客が大合唱。文化や言語の壁を超えて、BTSとARMYがひとつになった。

『ARIRANG』の楽曲を中心としたセットリストながら、もちろんBTSの代表曲や人気曲も多数披露。「Run BTS」ではJung Kookがカメラで自撮りをしながら観客を盛り上げ、「MIC Drop」ではイントロでARMYがメンバーの名前を大きな声で叫び、BTSは圧巻のシンクロダンスを披露しながら、全くぶれない歌声で高揚感を高める。そして大ヒット曲「Butter」「Dynamite」では、メンバーがリレーダンスをしたり、笑顔でピースをしたり、仲睦まじく等身大の表情を見せた。

BTS、7年ぶりの東京ドームで描いた「再構築」の一日

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本公演では統一された世界観が貫かれており、演者が衣装チェンジを行う時間にもただ映像を流すのではなく、特殊効果やダンサーの演技を交えて、没入感を途切らせない工夫が凝らされていた。アルバムのタイトル曲「SWIM」ではダンサーが手にした布で見事な”波”が作り出され、7人がその中を泳ぐように、儚くも美しい舞で魅せる。エネルギーを全放出するような激しいダンスパフォーマンスを得意とするBTSだが、大人になった彼らが新たに作り出す芸術を、存分に堪能できたような感覚を覚えた。

「IDOL」ではアリーナの外周を、7人が大勢のダンサーを引き連れて猛々しく行進。ダンサーの手にはLEDが眩しく輝く旗が握られ、メンバーはスタンド席のARMYと至近距離で心を交わす。会場構成上、公演中はほかにもメンバーが入退場の際に客席通路を通過するシーンが多く、世界に名を轟かせるBTSがすぐそこを歩いている光景は、どこか不思議に感じられた。
しかしそれは、常に「僕たちは決して特別な人ではない」と話し、驕らず歩み続ける彼らの姿を、そのまま表しているかのようでもあった。

BTS、7年ぶりの東京ドームで描いた「再構築」の一日

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

観客に撮影や録音が禁止されているため、世界各地とは異なる光景が広がる日本公演。ARMYがスマホを掲げず、音楽とパフォーマンスに全集中する姿にBTSも胸を打たれたようで、客席を見渡しては感慨深げな表情を浮かべる姿が印象的だった。RMは「僕は、スマホを消して、2時間1つの作品に集中できる、映画館で過ごす時間が好きなんです」と前置きしてから、「だから東京ドームに来ると聞いた時、すごく楽しみでした。今日は皆さんが、スマホよりも自分の目で僕たちを見てくれました。それが本当に嬉しかったです。この2時間、皆さんが僕たちを映画の中にいさせてくれました。僕は皆さんのおかげで映画の主人公になれました」と感動を表現し、ARMYからも大きな歓声が上がった。

BTS、7年ぶりの東京ドームで描いた「再構築」の一日

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

j-hopeも「今素直に伝えたいのは、(海外)ツアーのスタートを東京で迎えられて本当に良かったということです。マジですマジ。皆さんの反応が想像以上で、本当に感動しました」と笑顔に。そしてSUGAは「気のせいかもしれませんが、男性のファンの方が増えているような気がしました」と伝え、確認するように男性だけに歓声を求めると、「これは気のせいではなかったですね。
本当に増えていたみたいです」と満面の笑みを浮かべていた。またJiminは「皆さんが温かく迎えてくださったおかげで、本当に幸せです」と心のこもった手紙を読み上げ、Jinは「久々の公演で、緊張してしまったらどうしようとメンバーと心配していました。でもARMYの皆さんがしっかり楽しんでくれたおかげで、すごく幸せで嬉しかったです」と感謝を伝える。

『BTS WORLD TOUR ARIRANG'』は、BTSとしても韓国アーティストとしても過去最大規模となる、34都市85公演を全世界で開催予定。2027年にも日本での追加公演開催が予告されている。公演中に「好きすぎて滅!」「領域展開」といった話題のフレーズを多数披露し、会場を沸かせていたVは、「このエネルギーのままツアーを安全に回って、また日本に戻ってきます」と、ARMYとの再会を誓った。あっという間の約2時間半、ラストを飾ったナンバーは、「君が呼べばどこへでも駆けつける」という決意を歌った「Into the Sun」。客席が夕焼け空のようなオレンジのペンライトの光に染まる中、BTSとARMYの再会を誓うように、優しい歌声が響いた。

『BTS WORLD TOUR ARIRANG IN JAPAN』セットリスト

4月17日(金)公演
1. Hooligan
2. Aliens
3. Run BTS
4. they don't know 'bout us
5. Like Animals
6. FAKE LOVE
7. SWIM
8. Merry Go Round
9. 2.0
10. NORMAL
11. Not Today
12. MIC Drop
13. FYA
14. Burning Up (FIRE)
15. Body to Body
16. IDOL
17. Come Over
18. Butter
19. Dynamite
20. Save ME・Crystal Snow
21. Please
22. Into the Sun

4月18日(土)公演
1. Hooligan
2. Aliens
3. Run BTS
4. they don't know 'bout us
5. Like Animals
6. FAKE LOVE
7. SWIM
8. Merry Go Round
9. 2.0
10. NORMAL
11. Not Today
12. MIC Drop
13. FYA
14. Burning Up (FIRE)
15. Body to Body
16. IDOL
17. Come Over
18. Butter
19. Dynamite
20. DOPE・FOR YOU
21. Please
22. Into the Sun


BTS、7年ぶりの東京ドームで描いた「再構築」の一日

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