好調だった中国経済だが、米中対立が続くなか、新型コロナのパンデミックや不動産の締め付けなどもあって2021年には成長が鈍化した。それゆえ、中国国内では「このままではかつての日本のようになる」という見方もあるようだ。
中国メディアの観察網はこのほど、中国は「失われた30年を経験した日本と同じ轍を踏むのか」と題する記事を掲載した。

 記事によると、中国ではかつての日本は将来の中国の姿だと思っている人が多いと紹介した。その理由は「発展の軌跡が似ている」からだ。これまで中国は、日本の成長をなぞるようにして発展してきた。今の中国の1人当たりのGDPも、都市化率も、産業も、1970年代や1980年代の日本を見ているようだと主張した。これから中国が直面しようとしている、高齢化や出生率、若者の「低欲望」も、すべて日本が経験してきたことだと指摘している。


 しかし記事は、「中国は次の日本にはならない」と断言した。そう言える理由の1つとして「人口が多いこと」を挙げた。内需が大きい中国では、当時の日本ほど貿易に依存せずに済んでいるとした。また各産業も発展していて、電子商取引も巨大化しており、製造業の分野でも製造大国から製造強国へと転換していて、教育も不動産も改革が進んでいるので、かつての日本とは全然違うとしている。

 また「米国に対する態度」も異なるので、日本の轍を踏むことはないと主張した。日本経済は「米国からの圧力に屈して」大打撃を受けたが、「中国は圧力に負けない」と宣言している。
記事は、東芝機械ココム違反事件を引き合いに出し、日本は何ら悪いことをしていない会社を守れず米国の言いなりになったが、中国は違うと強気の姿勢を見せた。また、中国は国内のサプライチェーンが完備されているとし、新疆綿を扱う会社などが米国のブラックリストに乗っても「恐くない」と主張した。

 記事の中国人筆者は自信満々だが、記事も認めているように多くの中国人は「中国がかつての日本の姿をなぞる可能性」を強く意識している。中国も日本のバブル経済と崩壊後についてよく研究していると言われるが、本当に日本の轍を踏まずに済むかどうかはまだ不透明と言えそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)