北京証券取引所への新規上場を目指す、蘇州駿創汽車科技(833533/北京)が5月10日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。860万株を発行予定で、公募価格は12.5元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。

 同社は2005年設立の民営企業で、15年に株式会社化した。自動車部品の研究開発、生産、販売を中核業務とし、フォード、GM、フォルクスワーゲン、日産、トヨタ、吉利、BYDなど国内外の自動車メーカーや、その部品メーカーなどを中心に自動車部品を提供している。設計、技術・工程開発、金型開発・製造、精密射出成形、金属部品加工、システム部品組立を一体化した総合製造・サービス能力を実現した。また、新エネルギー車の普及、二酸化炭素排出削減に伴う車両軽量化の流れの中で、鋼鉄より軽量なプラスチック部品の開発に積極的に取り組んでいる。
 
 2021年12月木の売上構成比は、自動車用プラスチック部品が85.68%、金型が10.62%、自動車用金属部品が3.68%。
自動車用プラスチック部品のうち、新エネ車用機能部品が約6割を占める。

 世界の自動車産業の発展に伴い、中国の自動車部品市場は持続的な発展を遂げてきた。2011年に1兆9778億元だった市場規模は、17年にはほぼ倍増の3兆8800億元まで成長した。18年には自動車市場の成長が停滞したことで対前年比約13%減少したが、19年より再び増加に転じ、20年には3兆6310億元にまで回復した。また、中国の自動車輸出額は増加し続けており、15年の2903億元から20年には3909万元にまで伸びた。

 自動車の販売台数は世界、中国ともに2018年より減少傾向が続いているが、新エネ車の普及に伴って25年前後に大きな買い替えサイクルが到来することが見込まれ、新エネ車向けの部品ニーズは今後も大きく成長するものとみられる。

 
 同社は設計から組み立てに至るまでの一貫した業務サービス能力を持っていること、市場のニーズに素早く柔軟に対応できる技術力、良質で安定した顧客リソース、高い品質力といった点で強みを持っている。一方で、経営規模や資金力がライバル企業に比べて劣っており、上場により資金調達チャネルを増やし資金力を高めることが、さらなる発展の上で必須となっている。また、原料価格の高騰や為替レートの変動に伴う利益率の低下や、売上高の約9割が上位5社に集中していることなどが経営上のリスクだ。
 
 2021年12月の売上高は3億4540万元(前期比)、純利益は2806万元(同)。2022年1~3月期の業績について具体的な予測を出していないが、新型コロナの感染増に伴い上海にある顧客の製造工場が相次いで生産停止して注文の執行が遅れたため、当期および1~6月期の業績に一定の悪影響が生じるとしている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)