上海証券取引所のメインボードへの上場を目指している、北京福元医薬(601089/上海)が6月21日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1億2000万株を発行予定で、公募価格は20日に発表する。
同社は1999年に北京万生薬業有限責任公司として設立した民営企業で、2019年に株式会社するとともに現社名となった。薬品製剤および医療機器の研究開発、生産、販売を主業務としており、薬品製剤は心臓血管疾患、慢性腎臓病、皮膚疾患、消化器疾患、糖尿病、精神・神経系、婦人科系などの領域を網羅しており、医療機器は加湿酸素吸入装置を主製品としている。
世界の医薬市場は経済の発展、人口の増加、高齢化、市民の健康意識の高まりによって安定的な成長を遂げており、WHOによれば世界の1人あたり衛生支出額は2015年の823米ドルから18年には926ドルと年平均で約4%増加した。これに伴い世界の医薬市場規模も拡大し、19年には9550億ドルに到達、24年には1兆1150億ドルにまで成長するとみられている。地域別では欧米や日本といった先進国・地域がなおも世界市場の主導的地位にあるもののその成長ペースは鈍化しており、代わりに中国、ブラジル、インドといった新興医薬市場が急成長を遂げている。
中でも中国の医薬市場の成長は著しく、国内の医療衛生費用は2010年の1兆9980億元から20年には7兆2306億元と年平均13.73%のハイペースで増加し、1人あたり衛生費用も1490元から5146元と約3.5倍にまで増えた。薬品末端市場の売上高も13年の1兆984億元から19年には1兆7955億元にまで拡大、20年は政府が数量ベース集中調達制度を実施したことにより販売価格が低下して売上高が減少したものの、それでも1兆6437億元の市場規模となった。
同社は幅広い分野の製剤を取り扱っており、市場競争力が高いこと、高い研究開発力を持つこと、リスク管理を徹底した生産体制を整備していること、大手医薬流通企業との提携により、全国の病院、衛生サービスセンター、診療所、薬店で販売されていること、研究開発、生産、調達、販売の各セクションで優れた人材を確保していることなどを強みとする一方で、さらなる発展に向けては資金調達力、一層のハイレベルな人材確保が課題となっている。また、中国政府が2018年から段階的に進めている薬品の集中調達制度の対象製品から外れた場合の業績低下、ジェネリック薬・新薬の開発リスクなどが、経営上のリスクとして存在する。
2021年12月期の売上高は28億3771万元(前期比11.93%増)、純利益は3億1812万元(同21.09%増)。22年1~3月期の売上高は7億4771万元(前年同期比22.43%増)、純利益は8559万元(同42.86%増)。