中国景気の鈍化懸念がやや薄れる流れ。主要企業が報告した決算では、業績改善を示唆する内容が目立つ。また、中国当局は消費刺激策や産業支援策などで、中国経済を支える方針だ。ただ、上値は限定的。米中対立の警戒感がくすぶっているほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催も気がかり材料となった。通貨を米ドルにペッグする香港は、金融政策で米国に追随するため、FOMCの内容を見極めたいとするスタンスも強まっている。
ハンセン指数の構成銘柄では、スポーツ用品大手の李寧(2331/HK)が6.4%高、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が4.1%高、スポーツシューズ生産・販売大手の安踏体育用品(2020/HK)が2.9%高と上げが目立った。李寧の2023年通期決算は2割減益だったが、足元の販売は回復傾向。業績の持ち直しが期待された。そのほか、通信キャリア大手の中国聯通(チャイナ・ユニコム:762/HK)が2.2%高。同社が報告した通期決算は12%増益で、期末配当の増額が予定されている。
動画配信やオンラインゲームの銘柄群もしっかり。ビリビリ(9626/HK)が1.7%高、心動(2400/HK)が2.7%高、創夢天地科技HD(1119/HK)が2.9%高で前場取引を終えた。
他の個別株動向では、新興EVメーカーの小鵬汽車(9868/HK)が3.3%高。23年10~12月期決算の赤字縮小が材料視されている。
半面、香港の不動産セクターはさえない。恒基兆業地産(12/HK)が1.6%、新鴻基地産発展(16/HK)が1.5%、新世界発展(17/HK)が1.4%、恒隆地産(101/HK)が0.5%ずつ下落した。
一方、本土マーケットも反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.45%高の3076.67ポイントで前場の取引を終了した。エネルギー株が高い。公益株、金融株、不動産株、運輸株、インフラ建設株なども買われた。半面、ハイテク株は安い。消費関連株、医薬株も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)