外部環境の改善が相場を支える流れ。米利下げ観測が強まる中、昨夜の米株市場ではハイテク株比率の大きいナスダック指数が2.0%高と3日続伸し、史上最高値を更新した。労働市場の軟化で賃金インフレの警戒感が和らぎ、米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ確率が上昇している。中国景気の持ち直し期待も持続。国家統計局が公表した5月の製造業PMIは悪化したものの、民間が公表したPMIは大幅に改善している。
ただ、上値は重い。中国不動産業を巡る不透明感がくすぶっている。格付け会社のフィッチ・レーティングスは5日、中国の新築住宅販売額が2024年に前年比で15~20%減少するとの見通しを示した。従来予想(5~10%減)から下方修正している。それより先、シティグループが最新リポートで、中国の不動産市場がソフトランディング(軟着陸)に向かっているとの見解を示していただけに、水を差された格好だ。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、医療サービス企業の阿里健康信息技術(アリババ・ヘルス:241/HK)が6.5%高、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が5.6%高、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が4.4%高と上げが目立った。
セクター別では、半導体セクターが高い。
スマートフォン部材・組立の銘柄群も物色される。前記した舜宇光学科技のほか、丘タイ科技(1478/HK)が7.6%高、瑞声科技HD(2018/HK)が7.0%高、富智康集団(2038/HK)が7.8%高、比亜迪電子(BYD電子:285/HK)が2.2%高で取引を終えた。
半面、中国不動産セクターは安い。融創中国HD(1918/HK)が12.2%、旭輝(884/HK)が8.4%、世茂集団HD(813/HK)が8.2%、遠洋集団HD(3377/HK)が7.4%ずつ下落した。上述したように、物件販売の回復期待が後退している。融創中国は5日、5月の不動産販売が前年比で7割減少したと報告した。
一方、本土マーケットは続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.54%安の3048.79ポイントで取引を終了した。不動産株が安い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)