米中貿易摩擦の過度な警戒感が薄れる流れ。10日にスイスのジュネーブで始まる閣僚級の米中通商協議に関しては、米側が第一歩として対中関税率を60%未満に引き下げる目標を設定していると関係者の話として伝わった(現在は145%の対中関税)。もっとも、その水準でも景気に与える影響は大きい。また、市場関係者の一部からは、交渉は難航するとの声も聞かれた。投資家のリスク選好度合いは高まらず、ハンセン指数なども安く推移する場面もみられている。投資家の様子見ムードが漂う中、商いも低調だった。一方、取引時間中に公表された4月の中国貿易統計では、米ドル建て輸出が予想を大幅に上回ったものの、相場に対する影響は限定されている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、香港に拠点を置く不動産や小売の上げが目立つ。恒基兆業地産(12/HK)が6.2%高、新鴻基地産発展(16/HK)が5.0%高、周大福珠宝(1929/HK)が3.8%高で引けた。
中国の銀行セクターもしっかり。中国農業銀行(1288/HK)が2.1%、招商銀行(3968/HK)が1.8%、中信銀行(998/HK)が1.5%、中国工商銀行(1398/HK)が0.7%ずつ上昇した。
消費セクターの一角も物色される。
一方、半導体セクターは急落。華虹半導体(1347/HK)が7.9%、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が4.8%、上海復旦微電子集団(1385/HK)が4.7%ずつ下落した。中国の国策半導体産業振興ファンド「国家集成電路産業投資基金」(大基金)が今年第1四半期(1~3月)に、SMICと華虹の株式を一部売却していたことが判明し、投資家心理が悪化している。また、華虹については、四半期業績の88%減益も売り材料視された。SMICの1~3月期決算は162%増益と堅調だったが、予想に届かなかったことも嫌気されている。ハンセン科技(テック)指数は0.9%安と下げている。
一方、本土マーケットは4日ぶりに反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.30%安の3342.00ポイントで取引を終了した。ハイテクが安い。不動産、自動車、素材、軍需産業、インフラ建設、証券なども売られた。半面、銀行は高い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)